l.dtd"> あなたの健康はお金で買えますか・・・? 【女医ドル】散らすか切るか、それが問題だ 盲腸よもやま話(下)


【女医ドル】散らすか切るか、それが問題だ 盲腸よもやま話(下)

女医ドル やすらぎの処方箋 オトコの元気術!

めでたく盲腸と診断がついたとして、次は治療方針です。大ざっぱに言えば、手術するのか、しないのか。手術しない場合は、絶食管理下で、抗生物質の点滴での「保存的加療」となります。俗に言う“散らす”というやつです。

 治療法を選択する際に決め手となるのは、重症度や発症時期など。腹膜炎の所見が強い症例では、同日中の緊急手術を考慮します。

逆にそれほど重症感がない症例や、症状が出てすぐに受診したケースでは、意外に抗生剤があっさり効き、手術せずにすむことがあります。

 判断に迷うのは、発症からの期間が長いケースです。というのも、進行しきった虫垂炎の場合、しばしば周囲の腸管(回腸や盲腸)に炎症を波及しており、術中所見によっては、その腸管まで切除してこなければなりません。

さらに、炎症が起こってからの時間経過のなかで、おなかのなかでは癒着がどんどん進み、それだけ手術の難易度が上がります。こうなってくると、手術によるベネフィット(効果)よりも、リスクの方を無視できなくなってきます。

 私自身も、そういった症例を何度か経験しました。発症2週間の女性患者で、炎症は右卵巣にまでおよび、痛みも強く熱は40度。こ

れはさすがにオペだろうと思いましたが、上級医の「これは相当大変な手術になりそうだから、全身状態が許すなら、まず抗生剤を投与して様子を見てから手術するほうがいい」との助言により、保存的加療(人体を傷つけない治療)を開始しました。

 翌日にはあっけないほどみるみる解熱し、腹痛もすみやかに消失。1度退院してから、2カ月後以降に手術を調整する運びとなりました。「手術しない勇気」を学べるのも、虫垂炎ならではかもしれません。

 まさに、たかが虫垂炎、されど虫垂炎。みなさんには、みぞおちや右の下っ腹が痛くなったら、ギリギリまで我慢せず、早めに近くの病院や救急外来を受診することをおすすめします。それが、われわれ外科医の苦悩を少しばかり減らすことにもなるんです。

 ■安川佳美(やすかわ・よしみ) 1987年北海道稚内市生まれ。2011年3月東京大学医学部医学科卒業。同年4月より医師臨床研修開始。13年7月より、多摩総合医療センター外科に赴任。東大在学中に書き下ろした「東大脳の作り方」はベストセラー。その他著書に「東大医学部」「東大病院研修医」がある。(株)カロスエンターテイメント所属。

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