あなたの健康はお金で買えますか・・・? 【女医ドル】ブームの影に潜む“弊害” ★安川佳美先生・腹腔鏡手術(前編)
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【女医ドル】ブームの影に潜む“弊害” ★安川佳美先生・腹腔鏡手術(前編)

腹腔(ふくくう)鏡=ラパロ手術とは、おなかを大きく開けることをせず、腹壁の何カ所かに最大数センチ程度の創を3-5カ所おき、そこからカメラや器具(マジックハンド状で先端の形状が用途によりいろいろある)を挿入し、カメラの映像を見ながら行う手術です。

 近年、多くの施設で腹腔鏡手術が普及し、デバイスもどんどん進化しています。私が勤務する多摩総合医療センター外科も例外でなく、腹腔鏡手術がとりわけ盛んなことで有名です。

胃がん、大腸がん、肝臓がんは9割以上腹腔鏡でやっていますし、食道がんも胸腔鏡と腹腔鏡を併用して行っています。急性虫垂炎や鼠径(そけい)ヘルニアの手術も、ほぼ腹腔鏡が選択されています。

 腹腔鏡手術の最大の強みは、何といっても低侵襲(身体への負担が少ない)で術後の回復が早いことです。たいていの患者が、翌日には自力で歩いています。もちろん、傷跡が目立たないという整容面でのメリットも大きいでしょう。

 とはいえ、まだまだ開腹手術に劣る点もあります。まず、手術の長時間化。操作自体に相応の習熟が必要であり、同じ術式の開腹手術とくらべると、プラス1-2時間は長くかかってしまいます。

 さらに腹腔鏡手術は、腹腔内の癒着に弱い面もあります。やはり開腹にくらべて視野が圧倒的に悪いため、腸管や脂肪組織が腹壁にべったりくっついていたりすると、もはや手も足も出ません。

高度な癒着に果敢に立ち向かっていっても、不十分な視野で出血がかさんで、やむなく開腹に移行…といったケースもあります。

 したがって、全身麻酔そのものが大きなリスクとなるような、高齢患者や手術時間を極力短縮したい心肺機能の悪い患者、何度も手術をしていて、癒着が進んでいそうな患者さんでは、開腹手術が選ばれる傾向にあります。

当院の外科で腹腔鏡を選択しない1割の症例は、大多数がこういった患者さんです。

 若手外科医にとっては、開腹手術ができる貴重な機会となるわけですが、それが上記のごとく難しい症例ぞろいというのは、ある意味ラパロブームの弊害かもしれません。

 ■安川佳美(やすかわ・よしみ) 1987年北海道稚内市生まれ。2011年3月東京大学医学部医学科卒業。同年4月より医師臨床研修開始。13年7月より、多摩総合医療センター外科に赴任。

東大在学中に書き下ろした「東大脳の作り方」はベストセラー。その他著書に「東大医学部」「東大病院研修医」がある。(株)カロスエンターテイメント所属。

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