l.dtd"> あなたの健康はお金で買えますか・・・? ハミガキ嫌いな子供が夢中に! IoT歯ブラシ「G・U・M PLAY」に盛り込まれた画期的工夫


ハミガキ嫌いな子供が夢中に! IoT歯ブラシ「G・U・M PLAY」に盛り込まれた画期的工夫

身のまわりのさまざまな物の「IoT(モノのインターネット)」化が急速に進んでいる現在、単に製品がネットにつながるという程度では、目の肥えたユーザーに見向きもされない。サンスターが販売するIoT対応“スマートハブラシ”「G・U・M PLAY(ガム プレイ)」も、開発の際にそうした悩みを抱えていたという。

 同社が導き出した結論は、「専用アプリのコンテンツを徹底的にこだわって作り込むこと」。IoT化のもたらす価値は、ハードウエアそのものにあるのではなく、アプリやクラウドサービスを通じた新しいユーザー体験や意識の改善にこそあると考えた。  「目指したのは『楽しさ』と『継続性』。最終的な目的は、ユーザーに歯磨きがうまくなってもらうこと」、開発を手掛けた松富信治氏はこう話す。この後編では、松富氏らがガム プレイ向けに開発した3つの専用アプリが具体的にどんなもので、どのような工夫が盛り込まれているのかを探っていく。

 前編(IoT歯ブラシがもたらす“口内革命”、サンスター「G・U・M PLAY」が歯磨きを楽しくする理由)で紹介したように、サンスターのスマートハブラシ「G・U・M PLAY(ガム プレイ)」には、「マウスチェック」と「マウスログ」という2つの基本機能が用意されている。これだけでも、やる気がある人なら毎日歯磨き状態をチェックしてスキルを高めていくことは可能だ。

 だが、筆者も含め、単調な効果測定と記録を日々コツコツと続けるのはなかなか難しいと感じる人もいるだろう。要するに“飽きっぽい”人だ。そういう人に物事を継続してもらうためのアプローチはさまざまあるが、やはり“楽しさ”を感じてもらうのが最も有効である。いわゆる「ゲーミフィケーション」の考え方だ。

 サンスターでもそのように考え、毎日楽しみながら歯磨きを上達してもらうために、3つの専用アプリを開発したという。具体的には、(1)知育アプリの「MOUTH MONSTER(マウスモンスター)」、(2)音楽アプリの「MOUTH BAND(マウスバンド)」、(3)ニュースアプリ「MOUTH NEWS(マウスニュース)」――という3つのアプリだ。以下、順番に見ていこう。

ハミガキを嫌がる子供が夢中になれる「マウスモンスター」

 歯磨きで苦労するのは、「自分の歯磨き」だけではない。自分自身はなんとかなるけれども、「子供が歯磨きを嫌がって困っている」という子育て世代も多いのではないだろうか。

 「ユーザーへのインタビューでも、子供に虫歯ができると、幼稚園や保育園で『駄目なお母さん』というレッテルが貼られてしまうのではないかと、プレッシャーを感じている人が多かった」とガム プレイ開発を手掛けたサンスターの松富信治氏(オーラルケアカンパニー日本ブロックマーケティング部)は話す。

 そんな人たちの強い味方になりそうなのが、知育アプリの「マウスモンスター」だ。このアプリは、口腔内細菌をモンスターに見立て、歯磨きをすることで倒していくというもの。ゲームを楽しむ感覚で、歯磨き習慣が身に付けられるというわけだ。

 マウスモンスターには、「1分モード」と「3分モード」がある。1分モードは、口に歯ブラシを入れることに慣れさせる段階の子供向け。最後に「しあげみがきしてね、ママとパパにたのんで、いっしょにやりましょう」というメッセージを出していることからも分かるように、まずは1分間、子供自身にやらせることで、歯磨きに慣れさせる。その後、親が仕上げ磨きをすることを想定している。

 残り30秒を過ぎると、巨大なボスモンスターが登場し、BGMがテンポアップ。うまく磨けているとフィーバー表示が出て、加点されていく。

 磨いているうち、ついついモンスターを倒すことに夢中になり、ゴシゴシと強く磨き過ぎることがある。そんなときは「もっとやさしく。モンスターといっしょにおくちのなかまで、いためちゃいますよ」とアラートが出る仕組みだ。

 磨き終わりには、点数とレベルが表示される。それだけではない。倒したモンスターを「モンスターブック」にコレクションできる仕組みも用意している。このように随所に、子供でも飽きずに楽しめる工夫を施しているのだ。

 モンスターの数は、全部で92種類。元となる口腔内細菌について記したプロフィルも全てのモンスターに添えてある。「専門家が見てもニヤリとするようなリアルな内容」(松富氏)に作り込んだという。イラストも、菌の形状や特徴をモチーフにして作成した。

 「我が家の2人の子供も、モンスター退治を楽しんでいます。すぐ飽きるかなと思いましたが、夢中になってやっていますね。モンスターの様子を見せながら、『今やっつけているから、ちょっと口を開けておいて』というと、仕上げ磨きもさせてくれます」(松富氏)

 ユーザーからも、「子供が自分で歯磨きをしてくれるので、育児の負担が減りました」「歯科衛生士さんに褒められました」などと松富氏らが事前に予想していた以上に数多く、高く評価する声が届いているという。


ブラッシングに合わせて楽器を演奏「マウスバンド」

 次に紹介する2つめのアプリは、ブラッシングに合わせて楽器演奏ができる「MOUTH BAND(マウスバンド)」だ。

 演奏する曲は「聖者の行進」「オーラ・リー」などの収録曲5曲のほか、自分自身のスマホに保存してあるお気に入りの曲からも選べる。アニメソングなどを選べば、子供でも楽しみながら歯磨きできるだろう。

 「あらかじめ用意している5曲だけではすぐに飽きられてしまいます。自分の好きな曲でできると、また違う楽しみが生まれるはず。権利関係をクリアするのにとても苦労しましたが、そこは時間をかけて交渉しました」(松富氏)

 アプリを起動してガム プレイで歯磨きを始めると、ブラッシングの強さや早さに応じて、楽器を演奏するテンポや音量が変化する。歯ブラシを大きく動かすと音のテンポが悪くなり、画面上に表示される点数も低くなる。ときにはブーイングまで起きる。

 反対に、小刻みに動かすとテンポが良くなり、点数も上がる。拍手も鳴る。心地よく音楽を楽しみたいなら、歯磨きを真面目にやらないといけないというわけだ。

 マウスバンドでは、歯を磨く順番も指示してくれる。「右上の外側」「右上の噛み合わせ部分」「右上の内側」といった具合に、10秒程度で磨く場所を変えていく。これにより、まんべんなく、理想とされる3分間で磨ける仕組みになっている。
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忙しいビジネスパーソン向けのニュースアプリも提供

 3つ目の「MOUTH NEWS(マウスニュース)」は、忙しいビジネスパーソンに、歯磨きの3分間を有効に使ってもらおうというコンセプトで作られたアプリだ。

 歯を磨いている間だけ、毎日の天気やニュースを読み上げてくれるというもの。歯ブラシを動かすのをやめると、音声も止まる。ニュースは朝昼晩に更新され、音声読み上げのほか、スマホ画面にテキストでも表示される。

 ここまで見てきた3つのアプリに共通するのは、「楽しさ」と「(ユーザーにとっての)価値」を実にうまい形で両立していること。楽しければ続けられる。継続できれば歯磨きが上達する。ユーザーはこうした価値をガム プレイを通じて得られるというわけだ。

 ガム プレイは、サンスターオンラインショップや歯科医院のほか、「二子玉川 蔦屋家電」「梅田 蔦屋書店」などで販売している。販売ルートはあえて限定的しているという。「きちんと商品の価値を説明できないと、『高い歯ブラシ立て』程度にしか認識されない」(松富氏)からだという。

 それでも、現在までで売れ行きは計画の1・5倍と順調だ。購入していくのは子育て世代のほか、シニア層が孫へのプレゼントにするケースも目立つという。

歯磨きリテラシーからヘルスリテラシーへ、鍵はビッグデータ

 ガム プレイにより、今まで分かっていたようで実は正確には分かっていなかった「歯ブラシの詳細な動きや稼働時間」が可視化され、データをクラウド上に収集・分析できるようになった。この可視化の仕組みや“歯磨きビッグデータ”に対して、さまざまな方面から注目が集まっている。

 例えば、「健康保険組合」がその一つ。近年、歯周病が単に口の中だけでなく、全身の健康を脅かす病気であることが明らかになってきている。ガムプレイで組合員が正しい歯磨きのスキルを身に付け、健康を維持できれば、医者にかからなくなり医療費の削減に寄与できる。

 介護業界でも活用の可能性が開けそうだ。高齢者に対して歯をケアする必要があるものの、介護士は忙しくなかなか手が回らないのが実情。そこでガム プレイを活用する。ケアの結果がデータとして記録されるので、それ基に介護報酬のポイントにするなどできれば、介護士の行動変容を起こす仕組みがつくれるかもしれない。

 以前、主に生活習慣病の患者を診ている医師に取材したとき、「健康づくりは『ヘルスリテラシー』がすべてを決める」と話していたのを思い出す。ヘルスリテラシーとは、自分の健康に関する興味、目の前にある健康情報を自分にフィードバックする能力などを指す。

 ユーザーがガム プレイを手に取り、日々のデータを見ながら継続し、歯磨きスキルを高めていく。これが歯の健康につながるのは間違いない。ゲーム要素を取り入れ、細部までこだわって作り込まれたアプリにより、飽きっぽい性格の人でも、かなりの人がそこまでは到達できることだろう。

 ただ、そこからさらに踏み出して、歯磨きスキルの向上からヘルスリテラシーの向上へと世界を広げていけるかどうか。これにはガムプレイが今後、歯磨きビッグデータを核とし、ヘルスケアや介護、医療、そしてIoTなどの分野で外部と交流を図り、どれだけ密接な連携を行えるかにかかっていそうだ。「歯磨き一つで自分や家族の健康状態のさまざまなことが手に取るように分かる」――そんな未来の実現に期待したい。

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