l.dtd"> あなたの健康はお金で買えますか・・・? 手術で8人死亡「全て過失」・・・しかし医師は刑事責任に問われない可能性が高い理由とは


手術で8人死亡「全て過失」・・・しかし医師は刑事責任に問われない可能性が高い理由とは

群馬大学医学部附属病院にて行われた、「腹腔鏡手術」と呼ばれる内視鏡器具を使用した手術を受けた8人の患者が死亡していた事故について、群馬大病院は「すべてに過失があった」と発表しました。

全ての手術は同じ男性医師が行っており、全員が手術後4ヶ月以内に死亡していたという事です。

しかし、医師とはいえ、どんな病気でも治せるわけではありません。難しい手術であれば上手くいかないこともありますし、ミスしてしまうこともあるでしょう。医療行為に命の危険が伴うことは当たり前です。

ですので、手術後に患者が死亡しただけで刑事責任が問われることはもちろんないわけですが、今回のように大学側が過失を認めるなどした場合は刑事責任が問われるのでしょうか?

●医療ミスで問われる罪
医療ミス、法律関係者の間では医療過誤といいますが、これがあった場合、民事上の責任が生じるのみならず、刑事責任が生じる場合があります。

前者は、あくまでも被害を被った患者ないしその遺族が、損害賠償を求めるものであり、後者は、国として刑事罰の対象とするもので、具体的には、業務上過失致死傷罪として、「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」に処せられることになります。

●刑事責任の高いハードル
民事であれ刑事であれ、医師の責任が成立するためには、医師の過失、結果(死傷)の発生、両者の間に因果関係があることなどが要件とされます。

過失とは、注意義務違反を指しますが、医師として要求される注意義務の水準について、最高裁判所が、「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準」とするとともに、「平均的医師が現に行っている医療慣行とは必

ずしも一致するものではなく、医師が医療慣行に従って医療行為を行ったからといって、医療水準に従った注意義務を尽くしたと直ちにいうことはできない」などと判断しているため、医師の過失の有無の判断は、そう簡単なものではありません。

特に、国が刑事責任を追及する場合は、検察官において、非常に高度な立証を要求されるため、起訴されても刑事責任が認められるとは限りません。

患者を取り違えて手術をしてしまったとか、薬の種類を間違えた、あるいは過剰に投与したなどという場合は、刑事責任を追及し易いでしょうが、医療水準そのものが争われるような事案では、ますますハードルが高くなります。

平成16年12月に起きた福島県立大野病院事件では、県の調査委員会において医療ミスが原因とする事故報告書を公表したにもかかわらず、実際の刑事裁判では、注意義務違反の前提となる医療水準について証明が不十分であるとして無罪の判決がなされたようです。

このようなことから、捜査機関による捜査が開始されても、よほど悪質な事案でない限り、起訴猶予とされたり、起訴されたとしても罰金で済まされることが多いようです。

●群馬大病院のケースは?
現在、報道されている群馬大病院の腹腔鏡手術による死亡事故のケースも、結局のところ、担当執刀医において、当時の医療水準に従った注意義務を尽くしたか否かが問題となります。

報道によれば、同一医師の執刀により8人の患者が死亡しているとのことですので、事案の重大性に鑑みますと、刑事責任の有無をしっかり判断して頂かなければならないとはいえるでしょう。

*著者:弁護士 田沢 剛(新横浜アーバン・クリエイト法律事務所。8年間の裁判官勤務を経たのち、弁護士へ転身。「司法のチカラを皆様のチカラに」をモットーに、身近に感じてもらえる事務所を目指している。)
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