【気になるこの症状】“加齢黄斑変性”が50歳以上に急増! 失明原因の第4位
山中伸弥・京大教授(50)のノーベル賞受賞で注目のiPS細胞は、再生医療の分野における“切り札”といわれる。その最先端の臨床研究が、神戸市の先端医療センター病院と理化学研究所で共同で始まる。
対象としているのは、50歳以上に急増している目の病気「加齢黄斑変性」だ。失明原因の第4位。放置すると急速に視力が低下するので、早期発見が重要。年1回の眼底検査と定期的な簡易チェックを心がけよう。
■滲出(しんしゅつ)型は失明の恐れ
見ているものの中心が「ゆがむ」「暗い」「欠けている」ように、見えるのが症状の特徴だ。
駿河台日本大学病院の眼科教授、湯澤美都子院長は、「目の網膜の中心部分に、色や形を識別する視細胞がたくさん集まる直径6ミリの『黄斑(おうはん)』という範囲があります。そこに加齢に伴う病変が及ぶと症状が現れてくるのです」と説明する。
網膜組織が虫食い状に萎縮してくる「萎縮型」は、長年かけて緩やかに視力が低下するので問題にされない。だが、怖いのは網膜の下から新生血管が発生する「滲出型」。黄斑に延びると、急速に悪化して社会的失明(矯正しても視力0・1以下)に至る恐れがあるという。
■男性は女性の3倍
1998年と2007年に行われた国内の大規模調査(久山町研究)の推定では、50歳以上の加齢黄斑変性の患者数は9年間で倍増して69万人。滲出型と萎縮型の割合は約3対1。滲出型の男性の発症頻度は女性の約3倍だ。
「原因ははっきり解明されていないが、体質的になりやすい人が加齢と長年の生活要因で誘発されると考えられています。危険因子には、喫煙、太陽の青色光が挙げられています」
発症の前段階には網膜に白色の蓄積物と色素ムラが現れるので、年1回、眼底検査を受けていればリスクは分かるという。予防は禁煙、サングラスや帽子の着用。サプリメントでは、ビタミンA、C、E、ルティンなどのカロテノイド、亜鉛などの摂取が推奨されている。
■治療目的は現状維持
治療対象になるのは滲出型。黄斑の中心にあり、最も視細胞が密集する“中心窩(か)”に新生血管があるかないかで治療法が分かれるという。
「中心窩から離れた場所にあれば、レーザー光線で新生血管を焼きつぶす『レーザー光凝固』を行います。ただ、周りの正常組織も焼いてしまうので、視野に見えない部分ができる。治療の目的は、いかに中心窩を保つか」
では、新生血管が中心窩にある場合はどうか。
「第1選択肢は、抗VGEF薬を硝子体内に注射して新生血管の発生発育を阻止する『眼内注射』。1カ月に1回、計3回行い、その後も必要があれば追加します。
第2選択肢は光を感じやすくする薬を腕から注射して、特殊なレーザー光線を当てて新生血管を詰まらせる『光線力学療法』。眼内注射との併用療法もあります」
眼内注射は早期に受けるほど視力維持の効果は高い。早期発見が肝心だ。
《加齢黄斑変性の症状》
★「変視症」:ものがゆがんで見える
★「中心暗点」:視野の中心が暗い、欠けて見える
★「視力低下」:見たいものがはっきり見えない
《簡易自己チェック法》
老眼鏡などで矯正した状態で、カレンダーや方眼紙など格子状のものを片方の目で順に見て、見え方に異常がないかを確認する
対象としているのは、50歳以上に急増している目の病気「加齢黄斑変性」だ。失明原因の第4位。放置すると急速に視力が低下するので、早期発見が重要。年1回の眼底検査と定期的な簡易チェックを心がけよう。
■滲出(しんしゅつ)型は失明の恐れ
見ているものの中心が「ゆがむ」「暗い」「欠けている」ように、見えるのが症状の特徴だ。
駿河台日本大学病院の眼科教授、湯澤美都子院長は、「目の網膜の中心部分に、色や形を識別する視細胞がたくさん集まる直径6ミリの『黄斑(おうはん)』という範囲があります。そこに加齢に伴う病変が及ぶと症状が現れてくるのです」と説明する。
網膜組織が虫食い状に萎縮してくる「萎縮型」は、長年かけて緩やかに視力が低下するので問題にされない。だが、怖いのは網膜の下から新生血管が発生する「滲出型」。黄斑に延びると、急速に悪化して社会的失明(矯正しても視力0・1以下)に至る恐れがあるという。
■男性は女性の3倍
1998年と2007年に行われた国内の大規模調査(久山町研究)の推定では、50歳以上の加齢黄斑変性の患者数は9年間で倍増して69万人。滲出型と萎縮型の割合は約3対1。滲出型の男性の発症頻度は女性の約3倍だ。
「原因ははっきり解明されていないが、体質的になりやすい人が加齢と長年の生活要因で誘発されると考えられています。危険因子には、喫煙、太陽の青色光が挙げられています」
発症の前段階には網膜に白色の蓄積物と色素ムラが現れるので、年1回、眼底検査を受けていればリスクは分かるという。予防は禁煙、サングラスや帽子の着用。サプリメントでは、ビタミンA、C、E、ルティンなどのカロテノイド、亜鉛などの摂取が推奨されている。
■治療目的は現状維持
治療対象になるのは滲出型。黄斑の中心にあり、最も視細胞が密集する“中心窩(か)”に新生血管があるかないかで治療法が分かれるという。
「中心窩から離れた場所にあれば、レーザー光線で新生血管を焼きつぶす『レーザー光凝固』を行います。ただ、周りの正常組織も焼いてしまうので、視野に見えない部分ができる。治療の目的は、いかに中心窩を保つか」
では、新生血管が中心窩にある場合はどうか。
「第1選択肢は、抗VGEF薬を硝子体内に注射して新生血管の発生発育を阻止する『眼内注射』。1カ月に1回、計3回行い、その後も必要があれば追加します。
第2選択肢は光を感じやすくする薬を腕から注射して、特殊なレーザー光線を当てて新生血管を詰まらせる『光線力学療法』。眼内注射との併用療法もあります」
眼内注射は早期に受けるほど視力維持の効果は高い。早期発見が肝心だ。
《加齢黄斑変性の症状》
★「変視症」:ものがゆがんで見える
★「中心暗点」:視野の中心が暗い、欠けて見える
★「視力低下」:見たいものがはっきり見えない
《簡易自己チェック法》
老眼鏡などで矯正した状態で、カレンダーや方眼紙など格子状のものを片方の目で順に見て、見え方に異常がないかを確認する