あなたの健康はお金で買えますか・・・? 最良の主治医を見極める「患者力」、あなたは持っていますか?
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最良の主治医を見極める「患者力」、あなたは持っていますか?


あなたは病気になったとき、どの医者に診てもらうだろうか。自宅、または職場の近くのクリニックや医院だろうか。それともかかりつけ医がいるだろうか。そしてどこまでその医師のことを知っているのだろうか。

医師の良し悪しは「誰に」聞けばいいのか?

「日本の医師の技術は野放しになっています。外科専門医など、個々の技能にかかわる資格には、実技試験はありません。例外的に麻酔科医だけは、実技試験を設けていますが、それ以外の分野ではほぼ筆記試験だけです。『専門医』といえども技術に信頼はまったくおけません」

こう警鐘を鳴らすのは、医師の南淵明宏氏。専門は心臓外科だが、医療機関と患者との信頼関係の大切さを日頃から説いている人物だ。日本の医療水準は世界的に見れば高い。けれどもそれは平均点であり、個々の医師の技量はマチマチであり、患者からは見えない。だからこそ患者は医師に丸投げの姿勢ではいけないと指摘する。

医師に掛かる前こそよく調べよう

医療過誤による訴訟は2004年をピークに減少したものの、2009年より微増を続けている。こうした訴訟の裏には、医師や医療機関への不信感から起こされている。南淵氏は、そういった訴訟を起こしている家族から相談を受けることもあるそうだ。訴訟を起こした遺族は、非常に熱心に亡くなった原因となった疾患や、その治療方法について調べ、「本当にその医療行為が正しかったのか」と問いかけてくるという。

遺族にとっては訴訟が解決するまで、本当に辛い日々が続く。南淵氏はそのよ
うな気持ちに共感しつつも、次のようなことをいつも思うという。
「病気や治療法、また担当医について調査するその熱意を、手術の前に発揮していただきたかったですね。そうすれば、どのような結果にも納得できたはずですから」

本当にこの医師に命を預けていいのか。私たちは治療にかかる前によく自分に問いかけるべきである。医師に丸投げしないその力を南淵氏は“患者力”と呼ぶ。
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「患者力」で一番大切なのは“感情”

では患者力を高めるにはどうすれば良いのか。南淵氏は、まず医師を見極めよと言う。医師を見極めるには、その疾患の手術数や治療実績、医師としてのキャリアを問う必要がある。最近では、病院の格付け本などもたくさん出版されている。だが勉強よりも第一に優先すべきものがあるという。それは自分の「感情」だ。

「人は感情の生き物です。患者はなぜ病院に来るのか。それは“不安”だからです。例えば、私の心臓外科に訪れる患者さんなら『心臓が今までになく脈打ってなんか苦しい、自分は死んでしまうのではないだろうか』との思いで医師に掛かるのです。医療行為の始まりは何かと言えば、“不安”。医師はその不安に対処するのが仕事なのです。それを分かっていない医師が多すぎます。私の仕事の99%は、患者の不安を取ることだと思っています。『大丈夫です、この手術なら何度も行っておりますし、何人もの患者さんが術後も元気に暮らしています』。こう伝えて患者さんに安心させることです」

あらゆる医療行為にはリスクは付きものだ。医師はその治療のリスクを説明する。だがそれは患者のためではなく、医師自らのリスクを回避する目的だ。結果、患者の不安はさらに増大する。 「もしも診てもらった医師が不安を払拭してくれない。診てもらう度に不安が増していく。また面談していてもなんか違和感を覚える。そういう言葉にできない直感でもいいのです。その感情を大切にしてください。医師と相性が悪いと思うなら別の医師に変えるべきです」

患者側からすると「違和感を覚える」、そんな程度で医師の変更を要求するのは、気が引けるかも知れない。しかしのちのち後悔しないためには、まず自分と医師の信頼関係がきちんと結べてなければならない。ここから初めて治療が始まる。

データは携帯電話のカメラで撮影してOK

「今ではセカンドオピニオンを求めるのは一般的です。医師に『他の医療機関でも意見を聞きたい』と申し出るのは気が引けるかもしれません。でしたら、検査結果、データなどをすべて携帯電話のカメラで撮らせてもらえばいいのです。レントゲン画像でも、心電図でも『ちょっと撮らせてください』と言えば大抵の医師は断りません。その写真を持ってセカンドオピニオンを聞きに行ってください」

医師の技量は経験値とほぼ同じだ。だが医師の善し悪しは必ずしもキャリア、手術数など数値で表せるものではない。 「外科医の場合、実力がないとこの世界では残れません。だから長くキャリアを積んでいる医師は頼りになります。けれども若い医師にも良さがあります。経験がないゆえに『虚心坦懐』、素直な気持ちで専門外の医師に意見を聞きます。これが年齢のいった医師となると、メンツなどを気にして他の医師に相談せず、独断で判断し何かを見逃す可能性もあります」

では信頼に値するかはどう見極めればいいのか。南淵氏はこれも簡単だという。
「その病院の事情に一番詳しいのは看護師です。看護師に『あの先生の評判はどうですか』と聞くといいでしょう。あからさまに『ダメな医師です』と応えることはありませんが、言いよどむ、言葉を濁すなどの雰囲気からその医師がどう見られているのかわかるはずです。また『看護師さんならどの先生に執刀してもらいたいですか』という聞き方もありです」
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あなたの名医は自分にしか分からない

だが相性の合う医師との出会いは容易ではない。しかも権威があるから安心というわけではない。
「医大付属病院は若い医師の養成機関という側面を持っています。国公立はお役所的な四角四面な対応になりがちです。また民間の病院は手術数を稼ぎたいために不要不急の手術を施すところもあります。どの病院にもメリットデメリットがあり、またその病院のなかでも医師の技量は玉石混交です。いい医師の出会いは、美容院探しと同じ。自分で足を運んでその目で見なければわかりません。後悔のない治療のためにも、患者さんはこの試みを怠らないでください」

良い医療を受けたいなら、患者もまた“良い患者”となる努力が必要だ。ふたつとない自身の体のことだから「患者力」を高めておいて損はない。.

南淵明宏氏
昭和大学心臓血管外科教授。奈良県立医科大学医学部医学科卒業。シドニー セント・ビンセント病院、国立シンガポール医科大学付属病院などを経て現職に。マンガ『ブラックジャックによろしく』のモデルとして知られ、ドラマ『白い巨塔』の協力医などもつとめる。2017年8月23日にオンエアされた、NHK「総 合診療医ドクターG」などテレビの出演、監修など多数。 著書、『あるがままに生きる』(永岡書店)、『患者力』(中央公論新社)などを執筆。最新刊は『医学部に来なさい!』(玄文社)が好評発売中。
公式サイト http://www.nabuchi.com
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