【日本の名医】海外で医療貢献の道切り開く 異色の小児外科医★NPO法人ジャパンハート代表 吉岡秀人さん(48)
今回は異色の医師を紹介する。NPO法人「ジャパンハート」の代表を務める吉岡秀人医師。専門は小児外科医。
ジャパンハートとは、ミャンマーやカンボジアなどで医療貢献に携わる医師や看護師を派遣することを目的に、設立された団体。現在は日本国内の医療過疎地や、先の震災の被災地に開設した診療所などにも、医療スタッフを派遣している。
その団体の代表を務める吉岡医師は、初めから海外での援助活動目的に医師になった。
「情報のない当時、途上国での援助活動といえば、井戸を掘ることか医療貢献くらいしか思い浮かばなかった。どっちも得意じゃないけれど、井戸を掘るよりは医療のほうがまだ自分にできそうだと思って…」
そう考え医学部に進学。卒業後は民間病院で小児救急を中心に一通りの診療科を経験。28歳の時に満を持してミャンマーに渡った。
明らかに医療水準の異なる環境での診療を、日本のそれと比較しても意味がない-。そう感じた吉岡医師は、特に“困った”“つらい”という思いを持つことはなかったという。
「医療技術の進んだ日本では、治すことは当たり前。いかにダメージを小さく治せるかがテーマですが、ミャンマーの医療は、命が救えるか否か-という究極的な問題。そんな状況に身を置いていると、“日本だったら”とか“あの設備があれば”といったことはどうでもよくなるんです」
自身が切り開いた海外での医療貢献の道に、多くの医師や看護師が付いてきた。今はそうした仲間たちを、最も必要としているところへ、最も効率的に派遣するマネジメントに軸足を置く。
日本では外来に出る機会はなくなったが、ミャンマーでは今も毎月手術をしている。
「そうすることで自分の無力さを再認識できる。この仕事の最大の敵は“おごり”。定期的な自己修正は必要ですよ」
そう言って笑顔を見せると、多くの子供や患者の待つミャンマー・ヤンゴンへ再び飛び立った。 (長田昭二)
■吉岡秀人(よしおか・ひでと) 1965年大阪府吹田市生まれ。大分大学医学部卒業。大阪、神奈川などの救急病院に勤務後、ミャンマーで医療活動に従事。97年に帰国し、川崎医科大学小児科講師などを経て、2003年、再びミャンマーへ。04年、国際医療ボランティア団体「ジャパンハート」を設立し代表。最新著書に「1歩を踏み出す50のコトバ」(すばる舎リンケージ刊、1365円)。
ジャパンハートとは、ミャンマーやカンボジアなどで医療貢献に携わる医師や看護師を派遣することを目的に、設立された団体。現在は日本国内の医療過疎地や、先の震災の被災地に開設した診療所などにも、医療スタッフを派遣している。
その団体の代表を務める吉岡医師は、初めから海外での援助活動目的に医師になった。
「情報のない当時、途上国での援助活動といえば、井戸を掘ることか医療貢献くらいしか思い浮かばなかった。どっちも得意じゃないけれど、井戸を掘るよりは医療のほうがまだ自分にできそうだと思って…」
そう考え医学部に進学。卒業後は民間病院で小児救急を中心に一通りの診療科を経験。28歳の時に満を持してミャンマーに渡った。
明らかに医療水準の異なる環境での診療を、日本のそれと比較しても意味がない-。そう感じた吉岡医師は、特に“困った”“つらい”という思いを持つことはなかったという。
「医療技術の進んだ日本では、治すことは当たり前。いかにダメージを小さく治せるかがテーマですが、ミャンマーの医療は、命が救えるか否か-という究極的な問題。そんな状況に身を置いていると、“日本だったら”とか“あの設備があれば”といったことはどうでもよくなるんです」
自身が切り開いた海外での医療貢献の道に、多くの医師や看護師が付いてきた。今はそうした仲間たちを、最も必要としているところへ、最も効率的に派遣するマネジメントに軸足を置く。
日本では外来に出る機会はなくなったが、ミャンマーでは今も毎月手術をしている。
「そうすることで自分の無力さを再認識できる。この仕事の最大の敵は“おごり”。定期的な自己修正は必要ですよ」
そう言って笑顔を見せると、多くの子供や患者の待つミャンマー・ヤンゴンへ再び飛び立った。 (長田昭二)
■吉岡秀人(よしおか・ひでと) 1965年大阪府吹田市生まれ。大分大学医学部卒業。大阪、神奈川などの救急病院に勤務後、ミャンマーで医療活動に従事。97年に帰国し、川崎医科大学小児科講師などを経て、2003年、再びミャンマーへ。04年、国際医療ボランティア団体「ジャパンハート」を設立し代表。最新著書に「1歩を踏み出す50のコトバ」(すばる舎リンケージ刊、1365円)。
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