【日本の病院の実力】重度肥満症に3科チーム医療で好成績 東邦大学医療センター佐倉病院・消化器外科
肥満は生活習慣病などを後押しし、身体に悪影響を及ぼすのは周知のこと。しかし、100キログラムや200キログラムを超えた人が、食生活の見直しで減量に励むのは、容易なことではない。
そんな重度の肥満症に対して、今年4月、手術で胃を小さくする「腹腔鏡下胃スリーブ切除術」が保険適用になった。
対象となるのは、BMI(体格指数=体重キログラム÷身長メートルの2乗)で「35」以上。腹部に小さな穴を開けて行う腹腔鏡による手術で、胃を袖状に大きく切除し、過食を抑えて減量を促すとともに、併存する生活習慣病の改善も図る。
そんな肥満の外科手術「メタボリックサージェリー」で定評を持ち、内科や精神科などとタッグを組んで、成果を上げているのが東邦大学医療センター佐倉病院消化器外科。
「重度の肥満症の人は、食事制限そのものが難しい。また、無理に体重を落とそうとすると、メンタル面に悪影響を及ぼすことがあります。
メタボリックサージェリーを行うと、自然に食事が制限されて体重が落ち、糖尿病などの生活習慣病も改善します。もちろん、術後の管理も不可欠なので、内科と精神科とのチーム医療が役立つのです」
こう話す同科の岡住慎一教授(55)は、食道がんの診断と治療のエキスパートでもある。食道がんは進行すると治療が難しく、再発リスクも高い。ただし、症状は人それぞれ。有効な治療を確実に行うため、新たな診断技術の構築に力を注いできた。目指すは「個別化治療」。
一方で、母校の千葉大時代、1983年に川村功氏(元千葉大准教授・故人)が、日本初の「肥満症に対する減量手術」を執刀したときに立ち会った経緯があり、2008年に現職になってからは、消化器系のがんだけでなく、肥満症の治療にも力を注いでいる。
現在は、キズの小さな腹腔鏡下手術が肥満症の手術にも導入され、患者の手術の負担は大幅に軽減された。
「がんなどの手術でも、腹腔鏡下手術や胸腔鏡下手術を行い、身体への負担の少ない低侵襲の治療を積極的に行っています。がん治療、低侵襲治療、そして、肥満症治療が、当科で行う3本柱となっています」(岡住教授)
メタボリックサージェリーには、「腹腔鏡下胃スリーブ切除術」以外にも、いくつかの手術方法がある。どの治療法が、患者に向いているのか、保険適用外も含めて見極めなければならない。
糖尿病などの合併症を含めて内科がまずチェックし、メンタル面は精神科がサポート。その後、手術の適用となれば、2週間の減量を促してから、消化器外科が登場。術後は、3科と多職種のチームで患者を診ていくのが、同病院オリジナルの肥満症治療だ。
「患者さんに適した治療法を提供していくことは、がんでも肥満症でも同じです。
そんな個別化治療では、チーム医療は不可欠といえます。多くの力を合わせ、フロンティア精神を忘れずに、今後もさまざまなことに取り組んでいきたいと思っています」と岡住教授。適切な医療の提供のために、尽力中だ。 (安達純子)
〈データ〉2013年実績
・手術総数752件
・腹腔鏡下手術353件
・肥満症手術16例
・病院病床数451床
〔住所〕〒285-8741 千葉県
そんな重度の肥満症に対して、今年4月、手術で胃を小さくする「腹腔鏡下胃スリーブ切除術」が保険適用になった。
対象となるのは、BMI(体格指数=体重キログラム÷身長メートルの2乗)で「35」以上。腹部に小さな穴を開けて行う腹腔鏡による手術で、胃を袖状に大きく切除し、過食を抑えて減量を促すとともに、併存する生活習慣病の改善も図る。
そんな肥満の外科手術「メタボリックサージェリー」で定評を持ち、内科や精神科などとタッグを組んで、成果を上げているのが東邦大学医療センター佐倉病院消化器外科。
「重度の肥満症の人は、食事制限そのものが難しい。また、無理に体重を落とそうとすると、メンタル面に悪影響を及ぼすことがあります。
メタボリックサージェリーを行うと、自然に食事が制限されて体重が落ち、糖尿病などの生活習慣病も改善します。もちろん、術後の管理も不可欠なので、内科と精神科とのチーム医療が役立つのです」
こう話す同科の岡住慎一教授(55)は、食道がんの診断と治療のエキスパートでもある。食道がんは進行すると治療が難しく、再発リスクも高い。ただし、症状は人それぞれ。有効な治療を確実に行うため、新たな診断技術の構築に力を注いできた。目指すは「個別化治療」。
一方で、母校の千葉大時代、1983年に川村功氏(元千葉大准教授・故人)が、日本初の「肥満症に対する減量手術」を執刀したときに立ち会った経緯があり、2008年に現職になってからは、消化器系のがんだけでなく、肥満症の治療にも力を注いでいる。
現在は、キズの小さな腹腔鏡下手術が肥満症の手術にも導入され、患者の手術の負担は大幅に軽減された。
「がんなどの手術でも、腹腔鏡下手術や胸腔鏡下手術を行い、身体への負担の少ない低侵襲の治療を積極的に行っています。がん治療、低侵襲治療、そして、肥満症治療が、当科で行う3本柱となっています」(岡住教授)
メタボリックサージェリーには、「腹腔鏡下胃スリーブ切除術」以外にも、いくつかの手術方法がある。どの治療法が、患者に向いているのか、保険適用外も含めて見極めなければならない。
糖尿病などの合併症を含めて内科がまずチェックし、メンタル面は精神科がサポート。その後、手術の適用となれば、2週間の減量を促してから、消化器外科が登場。術後は、3科と多職種のチームで患者を診ていくのが、同病院オリジナルの肥満症治療だ。
「患者さんに適した治療法を提供していくことは、がんでも肥満症でも同じです。
そんな個別化治療では、チーム医療は不可欠といえます。多くの力を合わせ、フロンティア精神を忘れずに、今後もさまざまなことに取り組んでいきたいと思っています」と岡住教授。適切な医療の提供のために、尽力中だ。 (安達純子)
〈データ〉2013年実績
・手術総数752件
・腹腔鏡下手術353件
・肥満症手術16例
・病院病床数451床
〔住所〕〒285-8741 千葉県