【ベストセラー健康法】当事者目線で解説「脳卒中」後の生活術 身近な人が倒れた場合の対処法は?
脳卒中の予防や治療の解説本はたくさんあるが、いざ脳卒中で倒れた後の生活術について触れた本は少ない。身近な人が倒れた場合、その後の生活やお金はどうなるのか。リハビリ施設の選び方や障害年金などの申請法など、脳卒中患者や家族に役立つ1冊を紹介する。
「脳卒中」とは脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称で、何らかの原因で脳の血管にトラブルが起きる病気を指す。『身近な人が脳卒中で倒れた後の全生活術』(待島克史著、時事通信社刊)は、外資系コンサルタントの著者の妻が脳梗塞で左まひの後遺症を負った実体験を基に、発症後の生活術を当事者目線でまとめたもの。
リハビリテーション病院の選び方一つにもポイントがある。
脳卒中は急性期病院での治療後、発症から2カ月以内にリハビリ病院に転院しなくてはならない。安易に「自宅から近い」などの理由で決めると後悔する。著者は病院によって脳卒中の後遺症患者を得意とする病院や、脊髄損傷など整形外科系の患者が得意な病院など、対象患者に違いがあり、よく見極めることが大事-と指摘する。
脳卒中は発症後6カ月以内のリハビリの量と方法によって回復度合いが大きく異なる。土日も休まずに訓練を行っているか否かも、リハビリ病院選びのポイントとなる。
長期入院を見据え、毎日入浴可能かどうか、食事は和食か洋食かなど内容が選択できるか、食事スペースは部屋か共用スペースかなど、入院生活の充実度も事前にチェックしたい。ちなみに、食事は入院患者全員が共用スペースで食べられるほうが、お互いの回復度合いが見えて励みになると著者は説明する。
長引く治療や入院にはお金もかかる。そこで社会保障や民間の保険以外に、病気やけがなどで働けなくなった場合に支払われる公的年金、「障害年金」を受け取ることは生活の大きな支えになる。
しかし、年金制度については、ケアマネジャーや病院関係者も制度への理解度が低く、申請法は自力で調べるしかない。本書では具体的な申請の手順を示すほか、社会保険労務士による代行サービスも紹介。煩雑な手続きに申請を諦めていた人必見だ。
他にも、福祉用具の選び方や、ケアマネやヘルパーとの付き合い方、身体障害者手帳の活用法など徹底した当事者、家族目線で必要な情報を網羅するほか、患者や家族のメンタルケアとして、「発症前と今を比較しない」、「親戚(しんせき)や子供をあてにしない」、「励まし合える仲間を見つける」など、病後の不安を乗り越えるポイントも紹介している。
「本書は各種の申請や手続きを型通りに解説するだけのノウハウ本ではありません。不安の中にいる人に、そっと寄り添うような血の通った実用書。著者と同じ境遇にいる人が少しでも悩みを軽減するのに役立ててほしい」。こう話すのは、編集した植松美穂氏。
身近に脳卒中患者がいる人にとって、心強い伴走者になってくれる内容だ。 (砂川朋子)
■リハビリテーション病院の選び方(本文より)
・自宅から近いほうがいいとは限らない。会社帰りに寄る機会が多い場合は、会社からの距離や交通機関も考えよう
・そのリハビリテーションが得意とする対象患者をよく知ろう
・入院生活の充実度をチェックしよう
・大部屋や個室料の違い(差額ベッド代)など、入院費用をチェックし、余裕をもった見積もりをした上で慎重に判断しよう
「脳卒中」とは脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の総称で、何らかの原因で脳の血管にトラブルが起きる病気を指す。『身近な人が脳卒中で倒れた後の全生活術』(待島克史著、時事通信社刊)は、外資系コンサルタントの著者の妻が脳梗塞で左まひの後遺症を負った実体験を基に、発症後の生活術を当事者目線でまとめたもの。
リハビリテーション病院の選び方一つにもポイントがある。
脳卒中は急性期病院での治療後、発症から2カ月以内にリハビリ病院に転院しなくてはならない。安易に「自宅から近い」などの理由で決めると後悔する。著者は病院によって脳卒中の後遺症患者を得意とする病院や、脊髄損傷など整形外科系の患者が得意な病院など、対象患者に違いがあり、よく見極めることが大事-と指摘する。
脳卒中は発症後6カ月以内のリハビリの量と方法によって回復度合いが大きく異なる。土日も休まずに訓練を行っているか否かも、リハビリ病院選びのポイントとなる。
長期入院を見据え、毎日入浴可能かどうか、食事は和食か洋食かなど内容が選択できるか、食事スペースは部屋か共用スペースかなど、入院生活の充実度も事前にチェックしたい。ちなみに、食事は入院患者全員が共用スペースで食べられるほうが、お互いの回復度合いが見えて励みになると著者は説明する。
長引く治療や入院にはお金もかかる。そこで社会保障や民間の保険以外に、病気やけがなどで働けなくなった場合に支払われる公的年金、「障害年金」を受け取ることは生活の大きな支えになる。
しかし、年金制度については、ケアマネジャーや病院関係者も制度への理解度が低く、申請法は自力で調べるしかない。本書では具体的な申請の手順を示すほか、社会保険労務士による代行サービスも紹介。煩雑な手続きに申請を諦めていた人必見だ。
他にも、福祉用具の選び方や、ケアマネやヘルパーとの付き合い方、身体障害者手帳の活用法など徹底した当事者、家族目線で必要な情報を網羅するほか、患者や家族のメンタルケアとして、「発症前と今を比較しない」、「親戚(しんせき)や子供をあてにしない」、「励まし合える仲間を見つける」など、病後の不安を乗り越えるポイントも紹介している。
「本書は各種の申請や手続きを型通りに解説するだけのノウハウ本ではありません。不安の中にいる人に、そっと寄り添うような血の通った実用書。著者と同じ境遇にいる人が少しでも悩みを軽減するのに役立ててほしい」。こう話すのは、編集した植松美穂氏。
身近に脳卒中患者がいる人にとって、心強い伴走者になってくれる内容だ。 (砂川朋子)
■リハビリテーション病院の選び方(本文より)
・自宅から近いほうがいいとは限らない。会社帰りに寄る機会が多い場合は、会社からの距離や交通機関も考えよう
・そのリハビリテーションが得意とする対象患者をよく知ろう
・入院生活の充実度をチェックしよう
・大部屋や個室料の違い(差額ベッド代)など、入院費用をチェックし、余裕をもった見積もりをした上で慎重に判断しよう