【日本の病院の実力】“アトピー性皮膚炎”治療に実績!神経精神科と連携も★東京女子医科大学病院
アレルギー性皮膚疾患の一つ「アトピー性皮膚炎」は、およそ34万人以上が医療機関を受診し、乳幼児から大人まで多くの人を悩ましている。
赤くただれ、強いかゆみを引き起こし、皮膚の広い範囲に炎症は広がりやすい。その炎症には、人間の皮膚の表面にある角質層というバリア機能が関与している。
角質層は、細菌などの外敵が体内に侵入するのを防ぐが、アトピー性皮膚炎の人の角質層では、細胞間の脂質のセラミドが減少。組織が崩れて外敵の侵入を防ぐことができず、炎症を引き起こしやすくなっている。
そのため一般的に、炎症を抑える薬や保湿剤などによる治療が行われるが、治ったように見えても、ふとしたきっかけでまた炎症を起こしやすい。この「再燃」には、皮膚の状態や外敵だけでなく、別の要因も絡んでいる。
そんな重症例を含みアトピー性皮膚炎の診断、治療、研究実績を国内で最も多く持つのが、東京女子医科大学病院皮膚科。アトピー性皮膚炎のセラミド減少を解明したのも、同科だ。
「アトピー性皮膚炎は、薬で炎症を抑え、保湿剤などで皮膚を保護することで、再び炎症が起こるのを防ぐことが可能です。
ところが、アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、『掻く行為』を無意識のうちに行っている場合がある。ご本人は気づいていません。
その要因を明確にすることにも、力を入れています」とは、同科の川島眞教授(60)。
アトピー性皮膚炎治療の第一人者だ。
ステロイド外用薬の適切な使用や、1999年に承認された免疫を調整するプロトピック軟膏、保湿外用薬、抗ヒスタミン薬などの治療で、多くの患者のアトピー性皮膚炎を改善してきた。
ところがしばらくすると、またアトピー性皮膚炎に悩まされる患者がいる。
ハウスダストなどの抗原を除去しても、患者の皮膚は赤くただれ、強いかゆみを放つ。
そこに、無意識の「掻く行為」の関与を見出した。
「診察中に患者さんを見ていると、手で何度も顔などを触っています。それをご本人に言うと驚かれることが多い。
つまり、気づいていないのです。どうして手で皮膚を触ってしまうのか、30~40分程度、患者さんと話しているうちに、心の問題、そして心を癒やすために触ってしまうことも見えてきます。
すると、治療の効果はドラマチックに変化する」(川島教授)
短い診療時間でたくさんの患者の診察を行う皮膚科では、なかなか患者の心の奥まで踏み込むのは難しい。
しかし、川島教授は、十分な対話が必要なアトピー性皮膚炎患者にはあえて診察時間を割き、同病院の神経精神科と連携しながら治療を行っている。重症患者には、入院による教育指導も実施。
「アトピー性皮膚炎は治らないと思っている患者さんはまだいます。引きこもってしまう人もいる。そういう人たちをゼロにすることが私の夢です」
治らない病気の完治へ向けて、今後も挑戦は続く。
<データ>2011年実績
・皮膚科外来患者数4万8769人
・1日外来患者数173人
・アトピー性皮膚炎入院患者数(年間)57人
・病院病床数1423床
〔住所〕〒162-8666
東京都新宿区河田町8の1(電)03・3353・8111
赤くただれ、強いかゆみを引き起こし、皮膚の広い範囲に炎症は広がりやすい。その炎症には、人間の皮膚の表面にある角質層というバリア機能が関与している。
角質層は、細菌などの外敵が体内に侵入するのを防ぐが、アトピー性皮膚炎の人の角質層では、細胞間の脂質のセラミドが減少。組織が崩れて外敵の侵入を防ぐことができず、炎症を引き起こしやすくなっている。
そのため一般的に、炎症を抑える薬や保湿剤などによる治療が行われるが、治ったように見えても、ふとしたきっかけでまた炎症を起こしやすい。この「再燃」には、皮膚の状態や外敵だけでなく、別の要因も絡んでいる。
そんな重症例を含みアトピー性皮膚炎の診断、治療、研究実績を国内で最も多く持つのが、東京女子医科大学病院皮膚科。アトピー性皮膚炎のセラミド減少を解明したのも、同科だ。
「アトピー性皮膚炎は、薬で炎症を抑え、保湿剤などで皮膚を保護することで、再び炎症が起こるのを防ぐことが可能です。
ところが、アトピー性皮膚炎の患者さんの中には、『掻く行為』を無意識のうちに行っている場合がある。ご本人は気づいていません。
その要因を明確にすることにも、力を入れています」とは、同科の川島眞教授(60)。
アトピー性皮膚炎治療の第一人者だ。
ステロイド外用薬の適切な使用や、1999年に承認された免疫を調整するプロトピック軟膏、保湿外用薬、抗ヒスタミン薬などの治療で、多くの患者のアトピー性皮膚炎を改善してきた。
ところがしばらくすると、またアトピー性皮膚炎に悩まされる患者がいる。
ハウスダストなどの抗原を除去しても、患者の皮膚は赤くただれ、強いかゆみを放つ。
そこに、無意識の「掻く行為」の関与を見出した。
「診察中に患者さんを見ていると、手で何度も顔などを触っています。それをご本人に言うと驚かれることが多い。
つまり、気づいていないのです。どうして手で皮膚を触ってしまうのか、30~40分程度、患者さんと話しているうちに、心の問題、そして心を癒やすために触ってしまうことも見えてきます。
すると、治療の効果はドラマチックに変化する」(川島教授)
短い診療時間でたくさんの患者の診察を行う皮膚科では、なかなか患者の心の奥まで踏み込むのは難しい。
しかし、川島教授は、十分な対話が必要なアトピー性皮膚炎患者にはあえて診察時間を割き、同病院の神経精神科と連携しながら治療を行っている。重症患者には、入院による教育指導も実施。
「アトピー性皮膚炎は治らないと思っている患者さんはまだいます。引きこもってしまう人もいる。そういう人たちをゼロにすることが私の夢です」
治らない病気の完治へ向けて、今後も挑戦は続く。
<データ>2011年実績
・皮膚科外来患者数4万8769人
・1日外来患者数173人
・アトピー性皮膚炎入院患者数(年間)57人
・病院病床数1423床
〔住所〕〒162-8666
東京都新宿区河田町8の1(電)03・3353・8111