【日本の病院の実力】血管の総合診療に注力!“世界初”夜間の血圧を自動測定★自治医科大学附属病院
心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを高める要因はいろいろある。
中でも、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病がハイリスクになることは、一般的にもよく知られている。
それらの要因は、全身の血管を古い水道管のようなボロボロの状態にしてしまうため、1カ所の詰まった血管を治療しても、また別の血管が詰まることも起こりやすい。
全身の血管をどう管理するのか。
「木を見ず森を見る」のトータル的な治療手腕が問われる。そんな全身の血管をターゲットに、包括的な取り組みを行っているのが、自治医科大学附属病院循環器センター循環器内科だ。
同フロアの心臓血管外科と連携しながら、診断と治療はもとより最先端の研究も行っている。
「私たちのところには、心臓の血管に関わる患者さんがたくさん受診しています。また、末梢血管障害の人も多い。いずれも心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まるため、全身の血管を評価することが必要なのです。
そのために、総合診療的な診断と治療に力を入れています」と、同科の苅尾七臣主任教授(50)。
例えば、高血圧が血管にダメージを与えることは知られている。高血圧と診断されたならば、薬によるコントロールは欠かせない。ところが、本人も気づかぬ夜間に、血圧が急上昇するケースもある。
原因は、寝ている間に気道が塞がれ、呼吸が一時的に停止する睡眠時無呼吸症候群をはじめ、薬でコントロールできない治療抵抗性の高血圧などもある。
「これまで夜間に急上昇する高血圧を調べるには、患者さんが眠っている間に、定期的に血圧を測定するしかありませんでした。しかし、ご本人には負担でしょう。
そこで、長年研究を続け、自動的に夜間の血圧をモニタリングできる装置を先月、世界で初めて開発しました」(苅尾教授)
自動モニタリング血圧測定装置は「トリガー血圧計」といい、特許申請中の世界初の医療機器だ。苅尾教授がオムロンヘルスケア社(京都)と共同開発した。
就寝前にセットすると自動的に無呼吸発作の血圧を測定し、翌朝、データを同科のシステムへ転送。夜間と早朝のリスクを365日、モニタリングできるようになった。
「いつどれだけ血圧が上昇するか。その原因は何か。トリガー血圧計によって診断を下しやすくなります。そして、適切な治療を行うことで、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを下げることは可能になるのです」
さらに、薬物抵抗性の高血圧の治療にも力を入れている。
腎臓へつながる血管の周囲には、交感神経があるのだが、この神経が興奮すると血圧は急上昇しやすい。そこで、臨床治験として、神経を鎮めるための「腎デナーベーション」という治療法も約3カ月前に国内で初めて実施した。
「最先端技術を駆使し、対症療法だけでなく、徹底した二次予防を行うことが大切だと思っています」と苅尾教授。
新しい取り組みに終わりはない。
<データ>2011年実績
・心不全371人
・急性心筋梗塞193人
・弁膜症153人
・心房細動/心房粗動147人
・冠動脈インターベーション660件
・カテーテルアブレーション162例
・病院病床数1132床
〔住所〕〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311の1
(電)0285・44・2111
中でも、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病がハイリスクになることは、一般的にもよく知られている。
それらの要因は、全身の血管を古い水道管のようなボロボロの状態にしてしまうため、1カ所の詰まった血管を治療しても、また別の血管が詰まることも起こりやすい。
全身の血管をどう管理するのか。
「木を見ず森を見る」のトータル的な治療手腕が問われる。そんな全身の血管をターゲットに、包括的な取り組みを行っているのが、自治医科大学附属病院循環器センター循環器内科だ。
同フロアの心臓血管外科と連携しながら、診断と治療はもとより最先端の研究も行っている。
「私たちのところには、心臓の血管に関わる患者さんがたくさん受診しています。また、末梢血管障害の人も多い。いずれも心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まるため、全身の血管を評価することが必要なのです。
そのために、総合診療的な診断と治療に力を入れています」と、同科の苅尾七臣主任教授(50)。
例えば、高血圧が血管にダメージを与えることは知られている。高血圧と診断されたならば、薬によるコントロールは欠かせない。ところが、本人も気づかぬ夜間に、血圧が急上昇するケースもある。
原因は、寝ている間に気道が塞がれ、呼吸が一時的に停止する睡眠時無呼吸症候群をはじめ、薬でコントロールできない治療抵抗性の高血圧などもある。
「これまで夜間に急上昇する高血圧を調べるには、患者さんが眠っている間に、定期的に血圧を測定するしかありませんでした。しかし、ご本人には負担でしょう。
そこで、長年研究を続け、自動的に夜間の血圧をモニタリングできる装置を先月、世界で初めて開発しました」(苅尾教授)
自動モニタリング血圧測定装置は「トリガー血圧計」といい、特許申請中の世界初の医療機器だ。苅尾教授がオムロンヘルスケア社(京都)と共同開発した。
就寝前にセットすると自動的に無呼吸発作の血圧を測定し、翌朝、データを同科のシステムへ転送。夜間と早朝のリスクを365日、モニタリングできるようになった。
「いつどれだけ血圧が上昇するか。その原因は何か。トリガー血圧計によって診断を下しやすくなります。そして、適切な治療を行うことで、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを下げることは可能になるのです」
さらに、薬物抵抗性の高血圧の治療にも力を入れている。
腎臓へつながる血管の周囲には、交感神経があるのだが、この神経が興奮すると血圧は急上昇しやすい。そこで、臨床治験として、神経を鎮めるための「腎デナーベーション」という治療法も約3カ月前に国内で初めて実施した。
「最先端技術を駆使し、対症療法だけでなく、徹底した二次予防を行うことが大切だと思っています」と苅尾教授。
新しい取り組みに終わりはない。
<データ>2011年実績
・心不全371人
・急性心筋梗塞193人
・弁膜症153人
・心房細動/心房粗動147人
・冠動脈インターベーション660件
・カテーテルアブレーション162例
・病院病床数1132床
〔住所〕〒329-0498 栃木県下野市薬師寺3311の1
(電)0285・44・2111