【今日のストレス 明日の病気】残業増、妻の入院で「予備軍」から「糖尿病正患者」昇格
世界中に3億8000万人、日本だけでも720万人の患者がいるといわれる「糖尿病」。現代人が最も警戒しなければならないこの病気にも、じつはストレスが関与するケースは少なくないのだ。
Mさん(55)は、3年前の健診で「糖尿病予備軍」と指摘されて以降、用心に用心を重ねた節制を続けている。
賛否両論ある「低カロリー」と「低炭水化物」の双方を多少考慮した食生活を送り、以前はバスに乗っていた駅までの1キロ半を歩く努力もしていた。おかげで大過なく過ごせていたのだが…。
今年に入ってから、彼の周囲には“変化”が多発する。同じ部署のパート職員が立て続けに辞めたことで、残業が増えた。
ほぼ時を同じくして、妻の乳房に早期のがんが見つかり、手術のため入院という出来事もあった。
妻の世話は娘と手分けして対応したが、残業はMさんがカバーするしかない。
肉体的にも精神的にも疲労を重ねた末に受けた今年の健診で、彼の血糖値は「予備軍」から「正患者」に昇格していたことが判明する。
「精神的なストレスは血糖値を高めます」と語るのは、大森赤十字病院糖尿病・内分泌内科部長の北里博仁医師。その仕組みをこう解説する。
「ストレスで交感神経が優位になると、副腎からアドレナリンやステロイドホルモンが多く出ます。
これが血糖値を高める働きを持っている。そもそも人間の体で“血糖値を下げる作用”のあるホルモンはインスリンだけ。
その他のホルモンは血糖値を上げるほうに働いてしまうのです」
Mさんの場合、過労もさることながら「妻の入院」が大きく影響していると北里医師は指摘する。
「夫婦のどちらかが入院すると、看病する側の夕食時間が遅くなる傾向が強まります。
病室に食事を持ち込んで、奥さんと一緒に食べられたらよかったのですが…」
ただし、Mさんのケースは、元の生活に戻せれば、一時的な投薬治療でコントロールは可能だと北里医師はいう。
奥さんの手術は成功し、体調も回復傾向だという。あとは仕事をやり繰りして、再び「予備軍」に戻る努力が求められる。
Mさん(55)は、3年前の健診で「糖尿病予備軍」と指摘されて以降、用心に用心を重ねた節制を続けている。
賛否両論ある「低カロリー」と「低炭水化物」の双方を多少考慮した食生活を送り、以前はバスに乗っていた駅までの1キロ半を歩く努力もしていた。おかげで大過なく過ごせていたのだが…。
今年に入ってから、彼の周囲には“変化”が多発する。同じ部署のパート職員が立て続けに辞めたことで、残業が増えた。
ほぼ時を同じくして、妻の乳房に早期のがんが見つかり、手術のため入院という出来事もあった。
妻の世話は娘と手分けして対応したが、残業はMさんがカバーするしかない。
肉体的にも精神的にも疲労を重ねた末に受けた今年の健診で、彼の血糖値は「予備軍」から「正患者」に昇格していたことが判明する。
「精神的なストレスは血糖値を高めます」と語るのは、大森赤十字病院糖尿病・内分泌内科部長の北里博仁医師。その仕組みをこう解説する。
「ストレスで交感神経が優位になると、副腎からアドレナリンやステロイドホルモンが多く出ます。
これが血糖値を高める働きを持っている。そもそも人間の体で“血糖値を下げる作用”のあるホルモンはインスリンだけ。
その他のホルモンは血糖値を上げるほうに働いてしまうのです」
Mさんの場合、過労もさることながら「妻の入院」が大きく影響していると北里医師は指摘する。
「夫婦のどちらかが入院すると、看病する側の夕食時間が遅くなる傾向が強まります。
病室に食事を持ち込んで、奥さんと一緒に食べられたらよかったのですが…」
ただし、Mさんのケースは、元の生活に戻せれば、一時的な投薬治療でコントロールは可能だと北里医師はいう。
奥さんの手術は成功し、体調も回復傾向だという。あとは仕事をやり繰りして、再び「予備軍」に戻る努力が求められる。