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その食生活、大丈夫?:女医ドル やすらぎの処方箋 オトコの元気術!


外科で扱う疾患のなかには、前回紹介した虫垂炎のように、これといった要因がなく、ある程度偶発的に起こるものもあれば、心がけしだいで発症リスクを下げられる疾患もあります。

消化器領域において、食生活がかなり密接に関与してくることは、想像に難くありません。

 まず年齢とともに増えてくるのが、いわゆる生活習慣病の類い。その代表格に動脈硬化がありますが、肉や揚げ物の過剰摂取は血中コレステロールを上昇させ、動脈硬化を進行させます。

その結果、血管内に形成されたプラーク(かたまり)が血流に乗って飛ぶと、心筋梗塞や脳梗塞の発症につながっていきます。

 加齢に伴う血管老化は避けられないので、生活習慣の質がこれらのリスクを左右してくるわけです。さらに、高カロリーの食生活を続けて肥満になると、血糖を下げるインスリンとよばれるホルモンへの反応が鈍くなり、糖尿病の引き金にもなります。

 次に悪性腫瘍(がん)。大腸がんについては遺伝的因子の関与もあるものの、高コレステロール・繊維不足の現代的な食生活は、リスクを上げるといわれています。また過剰な飲酒は、肝炎や肝硬変といった肝臓への悪影響が有名ですが、食道がんのリスクファクターでもあります。

 最後に、夜食を食べてすぐに寝てしまう人は、逆流性食道炎に要注意です。

逆流性食道炎とは、胃の中にとどまった食物残渣(ざんさ)が胃酸とともに逆流して、食道に炎症を起こす疾患。満腹の状態で寝ることをくり返していると、食道と胃の境目にある、逆流を防ぐ筋肉の働きが悪くなっていき、逆流しやすくなるのです。

 2次予防(早期発見のための定期検診など)も大事だけれど、それ以前の1次予防としての生活習慣改善こそ重要です。

とはいえ私自身も、夕方までの手術を終えるやいなやカツ丼をかっ込み、野菜ジュースでなんとなく帳尻を合わせた気になり、帰宅も遅いためカップラーメンでおなかを満たして即就寝…と、医者の不養生としか言いようのない食生活。このコラムの説得力のためにも、少しは節制しようと思います。

 ■安川佳美(やすかわ・よしみ) 1987年北海道稚内市生まれ。
2011年3月東京大学医学部医学科卒業。同年4月より医師臨床研修開始。13年7月より、多摩総合医療センター外科に赴任。東大在学中に書き下ろした「東大脳の作り方」はベストセラー。その他著書に「東大医学部」「東大病院研修医」がある。(株)カロスエンターテイメント所属。

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