あなたの健康はお金で買えますか・・・? 【日本の病院の実力】抗がん剤の臨床試験 通院治療で創薬推進 国立がん研究センター中央病院・通院治療センター
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【日本の病院の実力】抗がん剤の臨床試験 通院治療で創薬推進 国立がん研究センター中央病院・通院治療センター

 国内で年間37万人以上の命を奪うがんの治療では、新しい薬の開発は重要な意味を持つ。

創薬の過程でヒトに初めて投与する「第1相試験」では、効果のみならず、血中濃度なども慎重に調べ、副作用などの有無も見極めなければならない。そのため、第1相試験は1カ月程度の入院によって実施されるのが一般的。

しかし、第1相試験の対象となるのは、従来の治療法で効果がなかった患者で、入院生活を負担に感じることも少なくない。

 そこで今年3月、第1相試験でも外来でできる国内初の「第二通院治療センター」を開設したのが、国立がん研究センター中央病院通院治療センター。

 「抗がん剤開発では、海外ですでに用量や効果を確かめられた薬剤について、時期が遅れて日本で第1相試験が行われることが多い。このことにより、海外と比べて薬剤の承認が何年も遅れる『ドラッグ・ラグ』が問題になっています。

海外と同時並行的に創薬を行うことが重要で、そのためには、患者さんに負担の少ない通院治療での臨床試験は欠かせません」

 こう話す同センターの田村研治センター長(48)は、乳腺・腫瘍内科と先端医療科に所属し、創薬のためのさまざまな臨床試験を行うエキスパートである。

これまでも、第1相試験を数多く行っているが、自己負担の入院費や家族と過ごす時間の削減などで、患者が参加するのを諦めなければならないケースがあった。

 「通常の抗がん剤治療では、7-8割の方はすでに通院治療を受けています。社会生活を維持しながら治療を受けることは、とても重要なことです。

臨床試験、特に第1相試験であっても、検査体制や設備、不測の事態への対応体制などを整えることで、通院でも行うことができるのです」

 田村センター長は、米国で当たり前のように行われる通院による第1相試験を見ながら、国内への導入に力を尽くしてきた。開設された「第二通院治療センター」は、他施設の医療従事者の関心も高い。

 「当院には研究所が併設され、研究と臨床が両輪となって、新しい治療法の開発に取り組んでいます。ドラッグ・ラグをなくすというだけでなく、効果的な創薬を開発することが、私たちの使命だと思っています」

 抗がん剤は、現在、さまざまな作用機序の薬が開発されている。がんの種類によっては、劇的な効果を生み出すこともある。その流れを止めないためにも、臨床試験の万全な体制は欠かせない。

 「たとえ、抗がん剤でがんを完全に治すことができなくても、がんと共存し、誰もが平均寿命まで生きられる時代が来る。それが夢です。従来がん患者さんの社会生活のサポート体制に取り組んでいるのも、私たちの強み。

創薬でその後押しをさらに進めたいと思っています」と田村センター長。がん患者の誰もが、希望と夢を持って普通に暮らせるようにすべく、力を注いでいる。 (安達純子)

 【データ】2013年度実績
 ・化学療法(抗がん剤)件数2万5371件
 ・治験数245件
 ・第1相試験67件
 ・通院治療センター62床
 ・病院病床数600床
 〔住所〕〒104-0045 東京都中央区築地5の1の1 
 (電)03・3542・2511

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