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【日本の病院の実力】高度な技術とチーム連携でQOL考えた癌治療に臨む


脳の下から首にかけて生じる頭頸(とうけい)部領域のがんは、顔面や神経、声などに関わる病気だ。

患者数は、がん全体の4-5%と少なく、鼻の奥の副鼻腔(ふくびくう)などに生じる頭蓋底(ずがいてい)がんは、さらに患者数が少ない。

 しかし、がんそのものが原因となるだけでなく、治療によっても容姿や声などの機能は損なわれやすいのが、この領域のがんの特徴でもある。

がんをきちんと取り除き、なるべくQOL(生活の質)を損なわないようにするには、高度な技術とチーム医療が不可欠。

 そんな頭頸部領域のがんに対し、国内最高峰の実力を誇るのが、東京医科歯科大学医学部附属病院頭頸部外科。

元来、耳鼻咽喉科の一部とされてきた頭頸部外科を1999年、岸本誠司初代教授(現・特任教授)が独立した科とし、耳鼻咽喉科はもとより、脳神経外科や形成外科と綿密な連携を保ち、高い技術レベルの医療を提供してきた。

今年4月には、同世代でトップの実力を持つ朝蔭孝宏教授(49)が着任、新たなページを開こうとしている。

 「頭頸部領域のがんは幅広く、患者さんごとに症状が異なるために、定型的な治療が行えることはほとんどありません。治療後のQOLなども患者さんごとに考える必要があります。

だからこそ、他科と連携した集学的治療が重要なのです。その力を駆使し、QOLを高めるため、今後は、より低侵襲の治療にも取り組みたいと思っています」

こう話す朝蔭教授は、東大病院時代から最後の砦(とりで)として、難しい症例に挑み続けてきた。

新天地でもその意気込みが衰えることはない。副鼻腔のがんに対しては、耳鼻咽喉科の協力を経て、鼻から内視鏡による治療と、脳神経外科の開頭手術を組み合わせた新たな治療法などに取り組む。

 「なるべく大切な機能を損なわないような治療法を常に考えています。

のどの早期がんに対しては、当科の杉本太郎講師が、口から内視鏡を入れた低侵襲の治療で、国内のリーダー的な存在になっています。あらゆる力を結集した医療を提供する体制は、すでに整っているともいえます」

 朝蔭教授は、低侵襲治療でロボット手術も視野に入れている。が、それはまだ先の話。現在、「日本頭頸部癌学会」の診療ガイドラインの作成委員を務め、「日本頭頸部外科学会」の頭頸部がん専門医制度で後進の育成にも尽力中だ。

国内では、頭頸部領域のがん患者が少ないゆえに、専門的な技術レベルを持つ医師もまだ少ない。

放射線療法もあるが、再発してしまうと手術しか選択肢がなくなる。全国に存在する患者をいかに救うか。そのために、後進の育成は欠かせない。

 「当院は拠点として、当科で専門医を数多く育て、必要とされる地域へ人材を広げていきたいと考えています」と朝蔭教授。誰もがクオリティーの高い治療が受けられるように、力を注いでいる。 (安達純子)

【データ】実績
・頭蓋底手術数65例(朝蔭教授累積)
・頭頸部表在がんに対する内視鏡的治療数 170例(杉本講師累積)
・病院病床数763床
〔住所〕〒113-8519 東京都文京区湯島1の5の45 (電)03・3813・6111
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