あなたの健康はお金で買えますか・・・? 不安、イライラ…「イヤな感情」ってなくせるの?
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不安、イライラ…「イヤな感情」ってなくせるの?

◆毎日が「イヤな感情」に包まれていませんか?

人間、生きていれば不安がいっぱい!「この仕事、私にできるかな?」「試験に落ちたらどうしよう……」「私の老後、大丈夫かしら?」。こうした身近な不安だけでなく、日本経済や天変地異などの大きな不安まで、私たちは不安にまみれて生活しているものです。

また、生きていればイライラもいっぱい! 今朝の夫の言葉にイラッ。子どもがしでかした粗相にイラッ。満員電車にイラッ。道でぶつかった人にイラッ……。イライラの要因をいちいち書き出していたら、ノートはいっぱいに埋め尽くされてしまいます。

こうした不安やイライラなどの「イヤな感情」がなければ、どんなに楽になるだろうと思いますが、そもそも感情をなくすことはできるのでしょうか?

日本の伝統的な精神療法の一つに、「森田療法」があります。これは、20世紀初頭に森田正馬という精神科医によって考案された療法で、神経症の治療に定評があります。この森田療法で感情との付き合い方について、考えてみましょう。
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◆感情は「自然現象」――だからなくせない!?

西洋医学では、症状は主に「治すもの」「コントロールするもの」と考えられてきました。したがって「不安で仕方がない」「イライラして落ち着かない」といった精神症状も、薬によって気持ちを鎮め、マイナスに捉えがちな認知を修正するという「コントロールするための治療」が行われます。

しかし、東洋医学の森田療法では、症状は自然に湧き起こるものであり、なくすことはできないと考えます。つまり、精神症状につながるような不快な感情も自然の現象として起こっているため、そのまま体験すればいいという考え方です。

実際、不安を感じたときに「気を強く持たねば」と言い聞かせたり、イライラしているときに「もっと落ち着いて」と言われたりすると、ますますその感情が気になって、不安やイライラが強くなってしまう――そう感じる人は、少なくないと思います。

一方、感情は変えられないのだから、そのままにしておけばいい――こう考えるとどうでしょう? 肩の力がす~っと抜けていくように感じられませんか? これが森田療法の考え方なのです。

◆感情には5つの「法則」がある!

また、森田療法の概念のひとつに、5つの「感情の法則」があります。感情との付き合い方の参考になるので紹介しましょう。

1. 感情はそのままに放任し、またはその自然発動のままに従えば、その経過は山形の曲線をなし、ひと昇りひと降りして、ついには消失するものである
(感情は山形を描くようにいっとき湧き上がるが、いずれは下がってなくなっていくものだ、ということ)

2. 感情はその衝動を満足すれば、急に静まり、消失するものである
(感情が湧いたときの衝動を満たせば、ストンとその感情が静まり、なくなっていく、ということ。とはいえ、いっときの衝動で行動を起こすと、後悔や自己嫌悪が生まれてしまうもの)

3. 感情は同一の感覚に慣れるに従って鈍くなり、不感となるものである
(その感情に慣れてしまうと、鈍くなって何も感じなくなる、ということ)

4. 感情はその刺激が継続して起こるときと、注意をこれに集中するときに、ますます強くなるものである
(その感情を刺激し続けたり、その感情を気にしたりしていると、ますます強く感じられる、ということ)

5. 感情は新しい経験によってこれを体得し、その反復によってますます養成されるものである
(感情は新しい経験にともなって起こり、それが繰り返されればますます強くなる、ということ。新しいことをやっていくうちに、新鮮な感情が育まれるもの)

このように「感情の法則」では、感情は自然に湧きあがり、意志の力ではどうにもできない。とはいっても自然に消えていくのだから、イヤな感情は刺激せず、そのままにしておきましょうと伝えています。
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◆「気分本位」ではなく「目的本位」の行動を

また森田療法では、そのときどきの感情に振り回され、気分によって物事を決めたり、選択するなど「気分本位」の行動をとるのではなく、何をしたいのか、何をやるべきかに基づく「目的本位」の行動をとることを勧めています。

たとえば、「あの人が苦手だから、この学校に入りたいけどやめておこう」は気分本位の選択ですが、「この学校でこれを習いたいから、参加しよう」は目的本位の選択です。「あがってしまうから、結婚式のスピーチを断ろう」は気分本位の決断ですが、「お祝いの言葉を伝えたいから、スピーチを引き受けよう」は目的本位の決断です。

このように、自然論に基づきながらも合理的な考え方をとるところが、森田療法がビジネスや教育を始め、医療を超えたさまざまな分野で取り入れられている所以だと思います。イヤな感情にとらわれやすい人は、ぜひ森田療法を学び、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
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大美賀 直子(精神保健福祉士・産業カウンセラー)
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