子供用サプリ普及背景、“子供の欠点=親の自己責任”の考えに
一般の健康食品・サプリメント市場全体が前年比0.6%の微減(マーケティング・リサーチ会社インテージ調べ)と苦戦する一方で、子供向けサプリは10%の増加となっている。
サプリの目的は多岐にわたり、「身長を伸ばす」「頭がよくなる」「強い体づくり」「目によい」「栄養バランスを整える」「口内環境改善」などさまざま。なんと「集中力を高める」というものまである。
子供用サプリを利用する人が増える一方で、「きちんとした食事をとれば、サプリは必要ない」という専門家も多くいる。
低身長など、小児内分泌疾患を専門とする「たなか成長クリニック」院長の田中敏章さんはこう説明する。
「身長を伸ばしたいと受診する親御さんは、すでに子供にサプリをのませている場合が多い。しかし、サプリの内容は主にカルシウムで、骨を強くしますが背を伸ばす効果はありません。背を伸ばすなら、サプリより魚や肉などのたんぱく質を食べさせた方がいい」
一方、こんな意見もある。
「以前は私も『食事の摂り方を学ぶ大事な時期にある子供に、サプリをのませる必要はない』と考えていました。しかし、自分の息子が難病に加え、極度の小食で食事だけでは充分な栄養がとれないとわかったときに、サプリをのませようと思うようになったんです」
こう話すのは、健康食品アナリストで、子供向けサプリを開発した経験を持つ小浦ゆきえさん。
「多くの人は、子供の偏食や小食を“単なるわがまま”と思いがちですが、実は体質的に食事が充分とれなかったり、発達障害の子の中には『白いものしか食べられない』といった特殊な偏食もあって、これは本人にも克服が難しい。そういう子たちにとっては、健康を守るために子供用サプリはなくてはならないものなんです」
1年ほど前にアメリカから帰国、現在は都内の外資系企業でバリバリ働くキャリアウーマンの吉村恭子さん(43才)もサプリを使わざるを得ないという切実な声を上げる1人だ。
「わが家は夫婦共働きで、両親を含め、いざというとき子供の面倒をみてもらえる人が誰もいない。子供が体調を崩して病院に連れて行くとなると半日はつぶれてしまい、まさに死活問題。だから子供が体調を崩さないよう、普段からサプリで健康管理をしているんです」
吉村さんのような考えは、アメリカではすでに主流になりつつあるという。
「アメリカでは、子供用サプリがドラッグストアの一棚を占めるほど多彩にそろっています。ワーキングスタイルの変化によって高学歴の女性がバリバリ働くようになって、今やパパよりママの方が高収入で忙しい人も多い。そのママ世代もサプリをのんで育ったので、わが子にも躊躇なく与えられるんです。日本も今後は同じようになっていくのではないでしょうか」(吉村さん)
日本でも、数年前までは子供の教育に莫大なお金を注げる富裕層や、教育への“意識が高い”タイプの親だけが利用していた子供用サプリだったが、最近は一般の家庭にも浸透している。
横浜市に住む主婦の福田紀子さんはつぶやく。
「現代は、子供のために親ができることがあまりにも多すぎる。子供の欠点は、すべて親の“自己責任”になってしまう。病気になれば祖父母から叱られ、背が伸び悩めば『なんで対策をとらなかったのか』と将来本人から恨まれることにもなりかねないと恐れています」
この時世の流れはさらに加速するのだろうか。
サプリの目的は多岐にわたり、「身長を伸ばす」「頭がよくなる」「強い体づくり」「目によい」「栄養バランスを整える」「口内環境改善」などさまざま。なんと「集中力を高める」というものまである。
子供用サプリを利用する人が増える一方で、「きちんとした食事をとれば、サプリは必要ない」という専門家も多くいる。
低身長など、小児内分泌疾患を専門とする「たなか成長クリニック」院長の田中敏章さんはこう説明する。
「身長を伸ばしたいと受診する親御さんは、すでに子供にサプリをのませている場合が多い。しかし、サプリの内容は主にカルシウムで、骨を強くしますが背を伸ばす効果はありません。背を伸ばすなら、サプリより魚や肉などのたんぱく質を食べさせた方がいい」
一方、こんな意見もある。
「以前は私も『食事の摂り方を学ぶ大事な時期にある子供に、サプリをのませる必要はない』と考えていました。しかし、自分の息子が難病に加え、極度の小食で食事だけでは充分な栄養がとれないとわかったときに、サプリをのませようと思うようになったんです」
こう話すのは、健康食品アナリストで、子供向けサプリを開発した経験を持つ小浦ゆきえさん。
「多くの人は、子供の偏食や小食を“単なるわがまま”と思いがちですが、実は体質的に食事が充分とれなかったり、発達障害の子の中には『白いものしか食べられない』といった特殊な偏食もあって、これは本人にも克服が難しい。そういう子たちにとっては、健康を守るために子供用サプリはなくてはならないものなんです」
1年ほど前にアメリカから帰国、現在は都内の外資系企業でバリバリ働くキャリアウーマンの吉村恭子さん(43才)もサプリを使わざるを得ないという切実な声を上げる1人だ。
「わが家は夫婦共働きで、両親を含め、いざというとき子供の面倒をみてもらえる人が誰もいない。子供が体調を崩して病院に連れて行くとなると半日はつぶれてしまい、まさに死活問題。だから子供が体調を崩さないよう、普段からサプリで健康管理をしているんです」
吉村さんのような考えは、アメリカではすでに主流になりつつあるという。
「アメリカでは、子供用サプリがドラッグストアの一棚を占めるほど多彩にそろっています。ワーキングスタイルの変化によって高学歴の女性がバリバリ働くようになって、今やパパよりママの方が高収入で忙しい人も多い。そのママ世代もサプリをのんで育ったので、わが子にも躊躇なく与えられるんです。日本も今後は同じようになっていくのではないでしょうか」(吉村さん)
日本でも、数年前までは子供の教育に莫大なお金を注げる富裕層や、教育への“意識が高い”タイプの親だけが利用していた子供用サプリだったが、最近は一般の家庭にも浸透している。
横浜市に住む主婦の福田紀子さんはつぶやく。
「現代は、子供のために親ができることがあまりにも多すぎる。子供の欠点は、すべて親の“自己責任”になってしまう。病気になれば祖父母から叱られ、背が伸び悩めば『なんで対策をとらなかったのか』と将来本人から恨まれることにもなりかねないと恐れています」
この時世の流れはさらに加速するのだろうか。