あなたの健康はお金で買えますか・・・? 高血糖の人に「サッと食べる」習慣を変えてほしい理由
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高血糖の人に「サッと食べる」習慣を変えてほしい理由

 糖尿病をはじめ、生活習慣病対策は、規則正しい、バランスの取れた食生活と切っても切り離せません。いつ食べるか、献立のバランスをどうするか、カロリーをどれくらいにするか……。

 挙げだすとキリがありませんが、「いろいろ言われるとやる気をなくす」などと考える方には、まず基本の“き”として、「味わって食べる」ということを覚えてほしいと思います。

 時間がないから、ざるそばなどをサッと食べる。時々であれば仕方ありませんが、日常的には避けていただきたい行為。特に血糖値が高めと指摘されている人は注意してほしい。

 サッと急いで食べてしまうと、インスリンの分泌が遅れ、食後の血糖値が急激に上がります。すると今度は血糖値が急激に下がります。食後の血糖値の急上昇、急降下を「血糖値スパイク」と呼びます。血糖値の急上昇の時には強い眠気が生じ、急降下の時にはイライラ、集中力や判断力の低下などが起こります。

 さらに血糖値スパイクを何度も繰り返していると、血糖値スパイクが活性酸素を発生させて血管を傷つけやすくし、血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞といった重大病のリスクも高まります。

■シンプルラーメンにはキャベツやキクラゲを

 近年は、血糖値の上昇・下降の幅を極力小さくすることは糖尿病対策の重要なポイントであると考えられています。

 食べ物を早く食べるから糖尿病になるわけではないものの、ひとたび糖尿病になってしまった人が「サッと食べる」習慣を変えられないでいると、血管へのダメージは大きくなります。空腹を満たすために食べるのではなく、味わって、できれば人とおしゃべりしながら、ゆっくりと食べた方が、血糖値スパイクが起こりにくくなります。

 メニューの選択で血糖値スパイクを起こしにくくもできます。サッと食べてしまうものの代表格といえば麺類ですよね。あまり噛まずに食べてしまえるのでインスリンの分泌が追いつかず、血糖値スパイクが起こりやすい。加えて、スープを飲んだりして塩分摂取量が多いのも問題です。

麺類よりも、品数が多く食べるのに時間がかかる定食を選ぶ。もし麺類を食べるなら、少しでも食べるスピードを遅らせられるものを選ぶ。麺とスープだけより、プラスアルファがあるものがいい。

 そばなら、ざるそばよりも、キュウリの千切りや卵焼きなど具材がのっているものを。

 サラリーマンのみなさんにはラーメンが好きな方が多いですね。ラーメンも、好きな人には「味わって食べている」ことになるのでしょうけど、やはりサッと食べてしまいがち。ラーメンを食べるなら、生キャベツやキクラゲ、または小松菜などの野菜がたっぷりのっているようなラーメンを選んでください。

 ファストフードも、栄養バランスの悪さや塩分量の多さなどが問題視されますが、サッと食べられてしまう点もよくないのです。ファストフード店で、一口ごとに味わって食べている人はあまり見かけません。「急いで食べる」「意識はスマホの画面に集中して味には無頓着で食べる」といった印象を受けます。

「野菜から食べるといい、いわゆるベジファースト」とよく言われます。食べる順番に気をつけることは糖尿病対策などに役立ちますが、実践できない状況もあるでしょう。バランスの取れた内容のものを味わって食べる習慣を身に付ける方が、もっと糖尿病対策に役立つと考えています。

 効率よく各種の栄養成分を摂取でき、「GI値が低い(=糖の吸収を抑えられる)」「カロリーが低い」などのうたい文句があるエナジーバーを愛用している人もいるかもしれません。

 これも、食事をきちんと取る時間がない時に活用するには便利でいいですが、食事の選択肢の一つに常に入っているというのは、私はお勧めできません。エナジーバーの食事をずっと続けるのは難しい。これで栄養成分を取れているからと、反動でジャンクなものを食べてしまうことになりかねない。

 食事は毎日、寿命が尽きるまで続くもの。バランスのいい食事を味わって食べる習慣を少しだけでも実践して下さい。これが、無理なく、ストレスなく、生活習慣病対策を続けられる方法だと考えています。

東京慈恵会医科大学糖尿病・代謝・内分泌内科准教授
専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。
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