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【ここまで進んだ最新治療】「在宅自己注射」も可能になったアトピー性皮膚炎の新薬 ピンポイントで抑制


昨年4月、10年ぶりとなるアトピー性皮膚炎(AD)の新薬「デュピルマブ」が登場した。注射薬なので2週間おきに通院して受ける必要があったが、今年5月から「在宅自己注射」も使えるようになった。どんな薬なのか。東京逓信病院・皮膚科の三井浩部長が説明する。

 「ADの治療薬では初の『抗体医薬』になります。抗体医薬は病気の原因物質を抑える『抗体』を、バイオ技術を用いて人工的に作り出した薬です。また、この抗体は化学合成したものではなく、生物が産生するタンパク質などを利用しているので『生物学的製剤』とも呼びます」

 かゆみを伴う湿疹を繰り返すADの治療は、薬物療法、スキンケア(保湿剤)、アレルギー物質(アレルゲン)の除去が基本になる。薬物療法は炎症を抑える「ステロイド」や「タクロリムス」の塗り薬を使うのが標準治療。それでも効果が十分でない難治性には、免疫抑制剤の「シクロスポリン」の内服薬が併用されてきた。

 国内のAD患者は年々増加していて推定50万人、そのうち難治性の患者は2万人くらいいるとされる。新薬のデュピルマブの対象は15歳以上で症状が重く、標準治療を6カ月以上行っても効果が不十分な場合に標準治療に併用できる。

 「シクロスポリンは体の免疫システムを広く抑制し、腎機能障害などの副作用の心配もあり、連続服用は3カ月間に限られます。デュピルマブは免疫システムのうちADに関わる部分だけをピンポイントで抑制します。ですから副作用には結膜炎や頭痛などがあげられていますが、重篤な症状は出にくいのです」

 新薬を注射する部位は、二の腕の外側やヘソ周りを除いた腹部など。1本300ミリグラムを初回は2本、2回目以降は1本を2週間ごとに注射する。

効果のメカニズムはこうだ。ADは、皮膚から体内に侵入したアレルゲンに生体が反応して、免疫細胞が過剰に増える。免疫細胞から産生されるタンパク質が、皮膚にあるさまざまな細胞の受容体と結合することで炎症反応が起こる。新薬は、その中でも特に重要な受容体をブロックするのだ。

 「効果は治療開始から2週間目くらいから実感できるようになってきます。炎症とかゆみが軽減し、皮膚の保湿因子が増えるので肌がもちもちしてきます。保湿や標準治療をきちんと続けていないと効果は落ちますが、まったく改善しない人はほとんどいません」

 注意が必要なのは、ぜんそくの治療を受けている人。新薬はぜんそくにも効くが、それによってぜんそくの薬を中断すると、急激にぜんそくが悪化する場合があるという。新薬のネックは薬剤代が高いこと。注射1本の薬価は8万1640円で、この1~3割が保険での支払金額になるが、自己注射をすれば負担が減るケースもある。(新井貴)
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