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乳がん検診 受けたら安心か…発見されるがん、されないがん、何が違う?


 きょうのテーマは「乳がん検診で安心できるのか」。乳がんは、女性がかかるがんの中で最も多く、かかった人の数は年々増え続け、2016年には10万人を突破(上皮内がんを含む)しました。(司会・右松健太キャスター) 津川浩一郎(つがわ・こういちろう)  聖マリアンナ医科大学病院乳腺・内分泌外科教授。乳腺外科が専門、乳がん治療のエキスパート。

戸崎光宏(とざき・みつひろ)  相良病院 放射線科部長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク理事長。国光あやの(くにみつ・あやの)  自民党衆院議員。医師。元厚労技官で医療政策など担当。本田麻由美(ほんだ・まゆみ)  読売新聞生活部次長。17年前に乳がんを治療した経験を持ち、読売新聞で闘病記を長期連載した。

乳がん、検診で安心できるのか?

右松 まずは、乳がんの発見状況をまとめたものです。自分でわかったというのが52.7%、検診の34.3%よりも高くなっているということなんです。なぜ検診よりも自分で発見する割合が高いんでしょうか。

津川 自分で触れて見つけることができるということが一番大きいと思いますね。もともと検診が始まる前は、9割方みんなしこりで乳がんが見つかるというのがほとんどだったんです。検診が普及してきて、少しずつ先ほどの検診発見という乳がんが増えてきています。そもそも自己発見で見つかった52.7%のうち、検診を受けていない方も結構いらっしゃるんだと思います。それがまず一つあると思います。

 それからもう一つ、きょうのテーマの一つである「検診の限界」ということですけれども、画像診断はどんな画像診断でも100%がんが見つけられるものはないですね。小さければ見つけられないですし、次に出てくる、陰に隠れて見えないということもあります。それからもう一つは、「中間期乳がん」と言いまして、検診と検診の間に見つかる非常に悪性度の高い早く成長するような乳がんもありますので、なかなか検診で100%見つけるというのは難しいということになろうかと思います。

がんを見つけにくい『高濃度乳房』

戸崎 私たちの中では「高濃度乳房」と言って、乳腺が白くて乳がんが隠れて見えなくなるという問題が今、議論されているんですけれども、それも大きな一因だとは思います。

 先ほど4人の方の写真が出ていたと思いますけれども、向かって右側の乳房を4人の方が写されているんですけれども、左は黒くて右は白くてということですね。これは体質なんですけれども、エックス線の検査では脂肪が黒っぽく見えますので、左の方は脂肪が比較的多くて、右のほうは脂肪が少なくて、4人の方のうち右のお二人を「高濃度乳房」と呼びます。

右松 マンモグラフィーで高濃度乳房という形で見ることもできるわけですけれども、そうしますと、そもそもマンモグラフィーのメリットという点ではどのようにお感じになっていますか。

マンモグラフィーの評価は?

戸崎 乳がん検診ですからマンモグラフィーでがんを見つけることが一番の目的なんですけれども、がんは、しこりをつくって白く塊として見える場合、こちらですね。左側の写真が腫瘍、しこりがある場合ですけれども、「石灰化」と言って、白い小さい粒が、右側に写っていると思うんですけれども、この石灰化をきっかけにマンモグラフィー、エックス線の検査で見つかることがあるんですね。この石灰化は乳腺の濃度、高濃度乳房であっても問題なく拾えてくるんですけれども、左のほうが重なって見えないこともある。ですから、石灰化を見つけるという意味では、マンモグラフィーはやはり非常に重要な検査ではあります。

右松 本田さんは34歳のときにこの乳がんがわかったということなんですけれども、これはどういった経緯で見つかったんでしょうか。

本田 私は自分で胸に違和感を感じて、気になって仕方なかったので病院に検査に行ったんです。初めは何でもないと、マンモグラフィーも受けましたし、そのほかの検査も受けたんですけれども、何でもないと言われて安心して帰っちゃったんです。3か月後ぐらいにちょっとしこりかなと思っていたところが、ごりっとしてきて、ちょっと膨らんだような気がしたもので慌てて病院に行ったという経緯です。それで乳がんだとわかったんです。

 もう17年にもなってしまいますから、高濃度乳房ということも当時は全然言われていませんでした。ただ、後で乳がんがわかってから、若くてなかなか見づらい画像だったという感じのことは言われました。

「高濃度乳房」見逃さないためには?

右松 乳がんの見落としの要因となる高濃度乳房なんですけれども、この高濃度乳房が原因ではっきりと検査結果として出てこなかった場合、実際マンモグラフィーを受けた患者さんにはどのような知らせが届くものなんでしょうか。

戸崎 検診の結果ですから、基本的には異常があるかないか、要精密検査なのか大丈夫なのか、そういった簡単なお知らせが行くことが一般的なんですけれども、異常がなかった、大丈夫だよという中に、本当に何もなかったというものと、こういった高濃度乳房で、もしかしたら隠れて見づらかったということで同じように異常がないほうに入っている方と両方いらっしゃるんですよね。

 今は国が行っている、自治体が行っている「対策型検診」と普通に人間ドックのような「任意型検診」、大きく二つに分かれると思いますけれども、国の行っている検診のほうでは一応今はまだ全員に一律にお知らせするという状況にはなっていないんです。

「高濃度」知らせる病院も

津川 全ての方に伝えるということは私は賛成なんですけれども、ただ、やはり検診という非常にたくさんの国民が受ける状況になりますと、知らされたときに次にどうするかというところが問題になります。例えば次に高濃度乳房と言われた人が超音波検査を受けに行くと行動するとしたら、その超音波検査は本当に次の検査として勧められるのかどうかということですね。

 実際、超音波検診とマンモグラフィー検診を両方やると乳がんがよく見つかるということはわかっているんですけれども、それが本当に検診として死亡率減少につながるかどうかということはまだわかっていないということ。

 もちろん地方自治体の判断、その地方自治体、あるいは人間ドックと検診をやっている病院、施設の判断で開示している施設もあります。ここに相良病院の例がございますけれども、戸崎先生の相良病院ではちゃんとここに「あなたは高濃度乳房ですよ」ということをお知らせする、こういう欄があるんです。私が属している団体は、対策型検診、川崎市ですけれども、川崎市もお伝えしています。少しずつそういうところは増えてきているんじゃないかなと私は思っています。

戸崎 高濃度乳房とはちょっと話がずれますけれども、一般的に1000人の方のマンモグラフィー検診を行うと、大体3人から5人ぐらいの方が乳がんが発見されるというデータは出ています。ちょっと偽陽性が多い、拾い過ぎてしまう傾向がある検査だという特徴もあります。

検査に心理的、肉体的ダメージ

国光 先ほど本田さんのお話にもありましたとおり、患者さんが一番不安になるというのはやはり見落とされているんじゃないかということなんだと思います。ただ、実際、精密検査ってどうやるかというと、乳房に針を刺したりして生検したりする。それはいわゆる「侵襲性」と言うんですけれども、結構心理的にも肉体的にも一定のダメージがあると思うんです。

本田 「偽陽性」と言われると心理的に、陽性かもしれない、違うかもしれない、その間がすごくつらいということもあって、そこがちょっと痛しかゆしだなというのはあります。ただ、やはり高濃度乳房なんだということを知っておくことで自分で気をつけるという意識づけにはなるんじゃないのかなと。

戸崎 ヨーロッパのほうは知らせるようなアナウンスはないんですけれども、アメリカに関しては今いろいろ高濃度を知らせないとペナルティーが発生するような法的な処置がとられているような州が今増えつつあります。

国光 先生方がおっしゃるとおり、海外でもかなり進んでいる、知る権利ということもありますし、やはり何か公的に検証をやった結果を十分知らせられないのはいかがなものかという点もあります。それから、一体どういう検診を受けたら私は乳がんにならない、あるいはなっても亡くなるリスクが減るのかというところの出口戦略がまだはっきりしないんですよね。だから、そこを並行して今研究で数年前からずっとやっておりまして、その結果を見てから全国一律にどうするかということは対策をアップデートしていかなきゃいけないのかなと思っています。

他の検診方法は?

右松 10月はピンクリボン月間ということで、乳がんの早期発見や早期治療の大切さを伝える機会です。検査方法についてほかにどういうものがあるか、ご紹介いただけますでしょうか。

戸崎 まず一般的にマンモグラフィーを行った後に精密検査になると、皆さんやったことがあるかもしれませんけれども、ゼリーを塗って超音波検査ですね。よくエコーというものですけれども、被曝(ひばく)もありませんし、簡単にできますし、この真ん中ですか、こういった形で超音波検査をすることになります。それから一番右はうつ伏せになって大きなドーナツ状の装置に入っていますけれども、MRI(磁気共鳴画像)ですね。これは特殊なときに行う検査です。例えばアンジェリーナ・ジョリーさん、皆さんご存じだと思いますけれども、遺伝性の乳がんがあったりとかリスクが高い。一般の方よりもがんになるリスクが高いような方が最初にMRIというものを行うような形であります。

 一般的には左のマンモグラフィーが国の補助があって、次に、要精密検査だと超音波、それから日本ではこのMRIは乳がんの術前、手術の直前に精密検査として行っているのが一般的です。

国光 検診でも、人間ドックなど個人で受けられる、いわゆる任意型検診と言われているものは、例えばマンモグラフィーと超音波、あるいはMRIを自由に選択できたりするんですが、そのエビデンスがはっきりあるのは今マンモグラフィーだけだということになります。

 ただ、見落としの話、まさに本田さんが経験なさったようなことをなるべく減らすために超音波を併用したときの効果を数年前からずっと研究していまして、間もなくまた結果も出てまいりますので、一定の集団で死亡率が減りますよという効果があれば、マンモグラフィーと超音波を併用して、皆さんからいただく税金を投入して皆さんにやっていただくというふうに制度が変わっていくという形になります。

津川 検診というのは、まず一つ、先ほどからお話ししている対策型検診、いわゆる税金を使ってやるような市町村がやる、そういった検診はやはり先ほど言った死亡率減少効果とかそういったものがメーンになります。一方、個人で考えると、やはり早く見つけて、できるだけ負担の少ない治療で治りたい、早期発見、早期治療ですね。そういうことでいくと、これは先ほど言った任意型検診、要するに自分でお金を払ってやる人間ドックであるとか、勤めている会社とかが福利厚生でやっている検診、そういったものでは現在でもマンモグラフィーと超音波の検診、両方を受けることもできますし、マンモグラフィーと超音波を1年置きに交互にやることもできます。そういうのを組み合わせて受けられるといいんじゃないかと思います。
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