脳の健康を保つための鍵は「知的好奇心」と「人との会話」
「『記憶力は加齢とともに低下する』と思われていますが、大きな誤解です。脳を育てる要素はじつはふだんの生活のなかにたくさんあり、ほんのちょっと行動を変えるだけで、脳は活性化します」
そう語るのは、認知症予防が専門の医師で東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授。瀧教授は、認知症リスクを下げる「セルフトレーニング」を提唱している。
「認知症とは記憶力をつかさどる海馬の萎縮が始まり、脳全体に広がることで日常に支障をきたす状態を言いますが、近年の研究で大人になっても海馬で神経細胞が増えることがわかりました。さらに、神経細胞同士のつながりを強くすることで情報処理能力が高まるといわれています。これを“脳の可塑性”と呼び、最近注目されています」(瀧先生・以下同)
脳の健康を保つキーワードは大きく3つあるという。1つ目はいくつになっても「知的好奇心を持つ」こと。
「東北大学加齢医学研究所では、約400人の脳がどのように変化するのかを追跡調査しました。知的好奇心のレベルが高い人ほど、加齢によって進む脳の萎縮が少ないことがわかったのです。知的好奇心を刺激する簡単な方法は興味を持つこと。昔やってみたいと思っていたことやあこがれていたことに、時間ができた今だからこそチャレンジしてみましょう」
2つ目は「運動」。有酸素運動は神経細胞の栄養となるBDNF(脳由来神経栄養因子)が体内で生成されるのを促し、そのBDNFが海馬に送られると神経細胞が新しく作られるという。
「ハードな運動をする必要はありません。軽く息が上がる程度で十分です。30分ぐらいのウオーキングがベストですが、家の中にいてもできることはあります。主婦の方であれば床掃除や窓拭きといった『家事』も有酸素運動のうちに入ります」
そして3つ目は「人とコミュニケーションを交わす」こと。
今はコロナ禍で、人と会う機会が少なくなり、マスク越しで会話をするのも気がひけるという人も多いだろう。そんなときこそ、電話やメール、SNS、Zoomなどオンラインの通信手段を上手に使いこなして孤立を防ぐようにしよう。
「特に、ひとり暮らしでひきこもっていると、コミュニケーションを取る機会がほとんどなくなります。社会との関りを持ち、人と交流して、相手のことを思いやりながら考えて話をすることで、脳はたくさんの刺激を受けます。
最近は、離れて暮らす子どもや孫たちとZoomで話をする高齢者も増えています。『難しいことはできない』と決めつけないで、トライしてみること。それが脳に刺激を与えることになります」
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