生理の回数が増えている現代女性 がんリスクも高まる
昨今、“生理”が話題にのぼることが増えてきた。従来のナプキンやタンポンに代わる新しい生理用品として腟内に入れ経血をためる医療用シリコン製の「月経カップ」や、ショーツ型ナプキンの販売が始まり、毎月の煩わしさがグッズによって緩和されつつある。
さらに、生理を擬人化した映画『生理ちゃん』が11月8日から全国公開される。こうして生理の話題がオープンになるにつれ、“月のもの”が女性の体にどれだけ負担をかけているのかがあぶり出されてきた。
戦前の女性の初経年齢は平均14~15才。初産年齢も早くて出産回数も4~6回。妊娠・授乳の間は生理と排卵が2年ほど止まるため、生涯の生理回数は約300回だったと考えられている。
赤羽駅前女性クリニック院長の深沢瞳子さんは「人類の長い歴史でこれほどまでに生理が多かった時代はない」と言う。
「現代では栄養状態の改善や食生活の欧米化に伴い、ホルモンバランスや体格が影響を受けて、平均11~12才で初経を迎えます。つまり閉経までの期間が長い。現代社会では、生理の生涯回数は平均450回といわれています」
合計特殊出生率を見ると、戦後すぐの1947年は4.54人であるのに対し、2017年は1.43人だ。
「今は初経年齢が低下しただけでなく、出産回数も減っています。本来、妊娠・授乳中は生理も排卵もないので子宮と卵巣が休める時期です。ゆえに現代女性の子宮と卵巣は休みがない状態だといっていい。あまりに多い生理と排卵が、体に負担をかけているのです」(深沢さん)
◆生理が病気リスクを上げる
生理の回数が多いほど卵巣がんのリスクが高くなると、東峯婦人クリニックの松峯美貴さんが解説する。
「排卵する際、卵胞は卵巣の壁を突き破って出てくるため、そのたびに卵巣が傷つきます。妊娠しない限り排卵するため、毎月のように傷を作っては修復している状態です。その修復過程で細胞のがん化が起き、卵巣がんになると考えられています」
医療ジャーナリストの増田美加さんは、生理回数は乳がんや子宮体がんの発症とも関係していると指摘する。
「女性は初経から閉経まで生理のある期間、女性ホルモンを分泌しています。女性ホルモンの1つであるエストロゲンが分泌されている期間が長いほど、乳がんのリスクは高くなります。つまり妊娠・出産回数が少なく、生理の止まっている期間が短いほどリスクが高い。子宮体がんも同じく、エストロゲンの分泌期間が長いことにより、がんリスクが高まります」(増田さん)
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」によると、1984年に比べて2014年の子宮体がんの罹患率は激増しており、特に50代前半の層では約3.6倍にもなっている。
さらに、生理と排卵の回数が増えることで、子宮筋腫や子宮内膜症のリスクも上がる。
そもそも生理とは、受精しなかったことで必要がなくなった子宮内膜を体外に排出する働きのこと。この時、子宮内膜を剥がすために子宮は収縮する。この子宮収縮が強すぎると生理痛が起こり、月経血が卵管を逆流して、子宮以外の場所で子宮内膜組織が増殖し、卵巣チョコレート嚢腫などを引き起こす。これが子宮内膜症だ。
「若い女性に増えている病気で、月経のある女性の約1割にみられ、国内患者数は約63万人ともいわれている。子宮内膜症罹患者のうち30~50%は不妊症につながります」(深沢さん)
さらに、生理を擬人化した映画『生理ちゃん』が11月8日から全国公開される。こうして生理の話題がオープンになるにつれ、“月のもの”が女性の体にどれだけ負担をかけているのかがあぶり出されてきた。
戦前の女性の初経年齢は平均14~15才。初産年齢も早くて出産回数も4~6回。妊娠・授乳の間は生理と排卵が2年ほど止まるため、生涯の生理回数は約300回だったと考えられている。
赤羽駅前女性クリニック院長の深沢瞳子さんは「人類の長い歴史でこれほどまでに生理が多かった時代はない」と言う。
「現代では栄養状態の改善や食生活の欧米化に伴い、ホルモンバランスや体格が影響を受けて、平均11~12才で初経を迎えます。つまり閉経までの期間が長い。現代社会では、生理の生涯回数は平均450回といわれています」
合計特殊出生率を見ると、戦後すぐの1947年は4.54人であるのに対し、2017年は1.43人だ。
「今は初経年齢が低下しただけでなく、出産回数も減っています。本来、妊娠・授乳中は生理も排卵もないので子宮と卵巣が休める時期です。ゆえに現代女性の子宮と卵巣は休みがない状態だといっていい。あまりに多い生理と排卵が、体に負担をかけているのです」(深沢さん)
◆生理が病気リスクを上げる
生理の回数が多いほど卵巣がんのリスクが高くなると、東峯婦人クリニックの松峯美貴さんが解説する。
「排卵する際、卵胞は卵巣の壁を突き破って出てくるため、そのたびに卵巣が傷つきます。妊娠しない限り排卵するため、毎月のように傷を作っては修復している状態です。その修復過程で細胞のがん化が起き、卵巣がんになると考えられています」
医療ジャーナリストの増田美加さんは、生理回数は乳がんや子宮体がんの発症とも関係していると指摘する。
「女性は初経から閉経まで生理のある期間、女性ホルモンを分泌しています。女性ホルモンの1つであるエストロゲンが分泌されている期間が長いほど、乳がんのリスクは高くなります。つまり妊娠・出産回数が少なく、生理の止まっている期間が短いほどリスクが高い。子宮体がんも同じく、エストロゲンの分泌期間が長いことにより、がんリスクが高まります」(増田さん)
国立がん研究センターがん対策情報センター「がん登録・統計」によると、1984年に比べて2014年の子宮体がんの罹患率は激増しており、特に50代前半の層では約3.6倍にもなっている。
さらに、生理と排卵の回数が増えることで、子宮筋腫や子宮内膜症のリスクも上がる。
そもそも生理とは、受精しなかったことで必要がなくなった子宮内膜を体外に排出する働きのこと。この時、子宮内膜を剥がすために子宮は収縮する。この子宮収縮が強すぎると生理痛が起こり、月経血が卵管を逆流して、子宮以外の場所で子宮内膜組織が増殖し、卵巣チョコレート嚢腫などを引き起こす。これが子宮内膜症だ。
「若い女性に増えている病気で、月経のある女性の約1割にみられ、国内患者数は約63万人ともいわれている。子宮内膜症罹患者のうち30~50%は不妊症につながります」(深沢さん)