ストレスとは異なる、「燃え尽き症候群」の兆候7つ
ストレスは、押し寄せては引いていくもので、うまく折り合いをつけるのはそれほど難しくない。それに、ストレスの原因となっている状況や人物はたいてい、突き止められるものだ。ストレスを抱えていても、いったんすべてが落ち着けば気分が改善するだろうと、先々を考えることができる。
一方、燃え尽き症候群(バーンアウト)という問題に、研究者兼コーチ兼ライターとしての立場で取り組んでいる筆者から言わせてもらうと、燃え尽き症候群について真っ先に知っておくべきポイントのひとつは、自覚するのは非常に難しいということだ。燃え尽き症候群は、こっそりと忍び寄って来て、少しずつ進行していくからだ。
つらい日が数日続いた程度では、燃え尽き症候群にはならない。また、ストレスとは異なり、燃え尽き症候群になると、何の希望も見えないような気持ちになる。かつての自分は消えてしまい、残っているのは、身体的にも精神的にも燃え尽きたあとの残滓と、自分の抜け殻だけだ。
仕事による「燃え尽き症候群」と「ストレス」には違いがあり、それぞれについて、適切なタイミングで介入する必要がある。そして、その違いを正確に見きわめて備えなければ意味はない。以下では、燃え尽き症候群になったときに表れる一般的な兆候を説明しよう。
1.睡眠時間が減る
燃え尽き症候群の初期に見られる一般的な兆候は、睡眠時間の減少と不眠症だ。実際、米国立睡眠財団によれば、睡眠時間が頻繁に6時間を切るようになるのが、燃え尽き症候群の最もわかりやすい兆候のひとつだという。そうした初期の兆候が進行し、やがてはチャンスや人、仕事に対して「ノー」と言わないことが習慣になっていく。
2.状況に圧倒される
ToDoリストに並んだタスクをいくら片づけても終わりが見えず、合間にひと息ついたり、気分転換したりする暇もなく、孤立無援だという気持ちがぬぐえないなら、あなたは圧倒されているのかもしれない。
筆者は、2021年6月はじめに書いた記事で、職場で自らのニーズや権利を主張し擁護する重要性を説いた。パンデミック期間中には、仕事量の多さに圧倒される人が大幅に増加している。
3.疎外感がある
燃え尽き症候群の人はしばしば、精神的あるいは身体的に孤立している。筆者が最近、コーチングを担当していた米東部の名門大学法学部卒の女性は、居場所がないのは「実力がない」せいだと自分を責めていた。根拠のない思い込みで苦しむのはよくあることだが、心痛むことだ。こうした疎外感は、ストレスと燃え尽き症候群を分ける顕著な特徴だ。
4.極度に疲れている
燃え尽き症候群になって、身体的、精神的、感情的、社会的に負担を強いられた状態が続くと、エネルギーは枯渇する。かつての自分なら難なくできたことが、できなくなってしまうのだ。指をパチンと鳴らせば魔法が起きて、仕事用のツールやシステム、手順がすべてスムーズに動き、便利で頼れるものに早変わりし、負担が取り除かれればいいのに、などと夢想したりする。
動画メッセージアプリ「Voodle」が公表したハイブリッド勤務に関する報告書では、パンデミックが発生して以来、「Zoom/Slack疲れ」に悩まされていると回答した人は77%に上った。また、リモートワークへの順応で最大の壁となったのは、人とのつながりが減ったことだという結果が出ている。この点もまた、疎外感につながっている。
5.自分を非生産的、非効果的だと感じる
長時間労働による影響については、実感できる人は多いだろう。しかし、自分への期待が大きいタイプは、自分の生産性や有効性が最大限に発揮されていないと感じると、自分に対してイライラしてしまう。こうした状態は悪循環につながるが、その循環を断つことは可能だ。
6.喜びを感じられない
無力感や、極度の疲労を感じる状態が続き、シニカルな態度が増えていけば、人はおのずと、人生のほぼあらゆることに喜びを見出せなくなっていく。ストレスを抱えているときは、自分の好きなことに興じれば気分が安らぐはずだと考えられる。けれども燃え尽き症候群の場合は、そんな余計なことをしている暇はないし、それで自分が元気になることなどない、という囁きが聞こえてくる。
7.不安やうつ状態
最初は心配や、あるいはなんらかの緊張状態として始まるが、慢性的な仕事のストレスはそのうち、不安感やうつ状態に変わっていく。ストレスは、人間に役立つ場合もある。しかし、燃え尽き症候群の場合は違う。燃え尽き症候群による生産性の喪失は、年間で1兆ドルと驚くような額に上っている。
最後に、コーチとしての筆者から、みなさんに質問がひとつある。あなたは、正当な助けを得ようとしていなかったり、あるいはそのためのお金を出し渋っていないだろうか。何か問題を感じていたら、それが悪化する前に対処するようにしよう。
マイクロソフトが毎年実施する調査「Work Trend Index」では、41%の人が、仕事を辞めようと考えていると回答した。また、過重労働だと回答した人は54%、極度の疲労を感じていると回答した人は39%だった。今こそ、状況を変えるべきときだ。
一方、燃え尽き症候群(バーンアウト)という問題に、研究者兼コーチ兼ライターとしての立場で取り組んでいる筆者から言わせてもらうと、燃え尽き症候群について真っ先に知っておくべきポイントのひとつは、自覚するのは非常に難しいということだ。燃え尽き症候群は、こっそりと忍び寄って来て、少しずつ進行していくからだ。
つらい日が数日続いた程度では、燃え尽き症候群にはならない。また、ストレスとは異なり、燃え尽き症候群になると、何の希望も見えないような気持ちになる。かつての自分は消えてしまい、残っているのは、身体的にも精神的にも燃え尽きたあとの残滓と、自分の抜け殻だけだ。
仕事による「燃え尽き症候群」と「ストレス」には違いがあり、それぞれについて、適切なタイミングで介入する必要がある。そして、その違いを正確に見きわめて備えなければ意味はない。以下では、燃え尽き症候群になったときに表れる一般的な兆候を説明しよう。
1.睡眠時間が減る
燃え尽き症候群の初期に見られる一般的な兆候は、睡眠時間の減少と不眠症だ。実際、米国立睡眠財団によれば、睡眠時間が頻繁に6時間を切るようになるのが、燃え尽き症候群の最もわかりやすい兆候のひとつだという。そうした初期の兆候が進行し、やがてはチャンスや人、仕事に対して「ノー」と言わないことが習慣になっていく。
2.状況に圧倒される
ToDoリストに並んだタスクをいくら片づけても終わりが見えず、合間にひと息ついたり、気分転換したりする暇もなく、孤立無援だという気持ちがぬぐえないなら、あなたは圧倒されているのかもしれない。
筆者は、2021年6月はじめに書いた記事で、職場で自らのニーズや権利を主張し擁護する重要性を説いた。パンデミック期間中には、仕事量の多さに圧倒される人が大幅に増加している。
3.疎外感がある
燃え尽き症候群の人はしばしば、精神的あるいは身体的に孤立している。筆者が最近、コーチングを担当していた米東部の名門大学法学部卒の女性は、居場所がないのは「実力がない」せいだと自分を責めていた。根拠のない思い込みで苦しむのはよくあることだが、心痛むことだ。こうした疎外感は、ストレスと燃え尽き症候群を分ける顕著な特徴だ。
4.極度に疲れている
燃え尽き症候群になって、身体的、精神的、感情的、社会的に負担を強いられた状態が続くと、エネルギーは枯渇する。かつての自分なら難なくできたことが、できなくなってしまうのだ。指をパチンと鳴らせば魔法が起きて、仕事用のツールやシステム、手順がすべてスムーズに動き、便利で頼れるものに早変わりし、負担が取り除かれればいいのに、などと夢想したりする。
動画メッセージアプリ「Voodle」が公表したハイブリッド勤務に関する報告書では、パンデミックが発生して以来、「Zoom/Slack疲れ」に悩まされていると回答した人は77%に上った。また、リモートワークへの順応で最大の壁となったのは、人とのつながりが減ったことだという結果が出ている。この点もまた、疎外感につながっている。
5.自分を非生産的、非効果的だと感じる
長時間労働による影響については、実感できる人は多いだろう。しかし、自分への期待が大きいタイプは、自分の生産性や有効性が最大限に発揮されていないと感じると、自分に対してイライラしてしまう。こうした状態は悪循環につながるが、その循環を断つことは可能だ。
6.喜びを感じられない
無力感や、極度の疲労を感じる状態が続き、シニカルな態度が増えていけば、人はおのずと、人生のほぼあらゆることに喜びを見出せなくなっていく。ストレスを抱えているときは、自分の好きなことに興じれば気分が安らぐはずだと考えられる。けれども燃え尽き症候群の場合は、そんな余計なことをしている暇はないし、それで自分が元気になることなどない、という囁きが聞こえてくる。
7.不安やうつ状態
最初は心配や、あるいはなんらかの緊張状態として始まるが、慢性的な仕事のストレスはそのうち、不安感やうつ状態に変わっていく。ストレスは、人間に役立つ場合もある。しかし、燃え尽き症候群の場合は違う。燃え尽き症候群による生産性の喪失は、年間で1兆ドルと驚くような額に上っている。
最後に、コーチとしての筆者から、みなさんに質問がひとつある。あなたは、正当な助けを得ようとしていなかったり、あるいはそのためのお金を出し渋っていないだろうか。何か問題を感じていたら、それが悪化する前に対処するようにしよう。
マイクロソフトが毎年実施する調査「Work Trend Index」では、41%の人が、仕事を辞めようと考えていると回答した。また、過重労働だと回答した人は54%、極度の疲労を感じていると回答した人は39%だった。今こそ、状況を変えるべきときだ。