あなたの健康はお金で買えますか・・・? 専門医が解説 降圧剤を減らしてもいい血圧と年齢の基準とは
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専門医が解説 降圧剤を減らしてもいい血圧と年齢の基準とは

 生活習慣病の薬は「飲み始めたら一生の付き合い」といわれる。

日々の血圧や血糖値、健康診断の数値と、疾病ごとに学会が定めた基準を見比べて、「今日はいつもより高かった」「先月より下がった」と一喜一憂を繰り返しながら、漫然と処方薬を飲み続ける。“そんな生活から抜け出せないか”という声に応えるべく、断薬の名医が上手な基準との付き合い方を伝授する。

 日本高血圧学会が5年ごとに改定する「高血圧治療ガイドライン」の2019年版によると、高血圧と診断される基準は、病院で計測する「診察室血圧」なら140/90、自宅で計測する「家庭血圧」なら135/85。

この基準を超えると、多くの医師が投薬治療を開始する(以下、数値は家庭血圧)。診断基準は2014年版から変わっていないが、治療目標は、75歳未満で135/85未満だったのが125/75未満へ、75歳以上は145/95未満から135/85未満へと、10も下げられている。

 ガイドラインでは、日本の高血圧患者は4300万人いると推定されており、そのうち多くの患者が降圧剤から抜け出せなくなっている。

 全国から降圧剤をやめたいという患者が集まる徳島県の坂東ハートクリニック。院長の坂東正章医師はこう言う。

「転院してきた患者さんの多くは、食事や運動など、薬以外での血圧調整が教えられておらず、目標値まで血圧を下げられても医師から“降圧剤をやめたら、また血圧が戻るので飲み続けましょう”と言われることに悩んでいます」

 坂東医師の元を訪れた80代の女性患者もその一人だ。ガイドラインに沿って、薬で130台に抑えようとしていたものの身体に異変が起きていた。

「降圧剤の服用によって倦怠感や目眩が日常的に生じていました。診察を続けていくと、150前後がもっとも体調よく過ごせることがわかったので、本人の同意のもと、薬を減らして150台でコントロールしました。90代初めに脳梗塞で亡くなりましたが、それまで快適な生活が送れて元気だったので、それはそれでよかったと考えています。ガイドラインは金科玉条ではありません」

 坂東クリニックの高血圧治療は、管理栄養士の指導による食事の改善や運動での生活改善を主体にし、必要に応じて降圧剤を調整する治療法だ。

高血圧治療の基本方針は、75歳未満の場合、朝の家庭血圧が上120未満で3日続いたら、指示された量だけ降圧剤を減らす。逆に上130以上が週の過半数なら、量を戻す。これを繰り返して、薬なしで上120未満が3日連続したら、断薬となる。一見、厳しい数値に見えるが、生活習慣を見直すことで、初診から1週間前後で結果が出ることも少なくない。

「目標数値は診察結果だけでなく、患者さんの希望を元に話し合いで決定します。大切なのは高血圧による合併症を発症させずに患者が快適に生活できることです。血圧が低くても、糖尿病や喫煙などの危険因子が合併症の発症リスクに関係してきます。患者さんも血圧の数値だけに囚われすぎないことが大事です。降圧剤を減らすためには、まず主治医としっかり話し合える関係を築くべきでしょう」

【プロフィール】
坂東正章(ばんどう・まさあき)/1953年生まれ。徳島大学医学部医学科卒業。元心臓血管外科専門医(循環器科・心臓血管外科)。2003年、徳島県で坂東ハートクリニックを開院。著書に『血圧は下げられる、降圧剤は止められる』など。
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