【管理栄養士に聞く】「エナジードリンクは体に悪い」これって実際どうなの?
エナジードリンクはテレビCMなどでもよく目にする機会が多く、コンビニやドラッグストアなどで手軽に手に入るようになりました。「エナジードリンクは体に悪い」というイメージを持つ方も多いと思いますが、実際はどうなのでしょうか? 今回はエナジードリンクについて、「管理栄養士」の広田さんに詳しく伺いました。
【この記事の監修医師】
広田 千尋 さん(管理栄養士)
病院や保健センター、保育園等に管理栄養士として13年間勤務。その後、2020年より独立。現在はフリーランスとしてコラム執筆やレシピ作成を中心に、栄養や食に関する正しい知識をわかりやすく伝えることをモットーに活動中。
カフェインと糖質の摂りすぎに注意
編集部:
エナジードリンクは体に悪いって本当でしょうか?
広田さん:
エナジードリンクとは、カフェインやアミノ酸、ビタミンB群などの成分を添加した飲料のことを指します。適度な摂取は特に問題ありませんが、大量に飲みすぎると、カフェインや糖質の摂りすぎにより体へ悪影響を及ぼすことが考えられます。
編集部:
カフェインを摂りすぎると体にどのような影響があるのでしょうか?
広田さん:
カフェインの過剰摂取は、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気等の症状の原因になることがあります。厚生労働省のホームページでも、エナジードリンクの飲みすぎによる健康被害の症例について注意喚起がなされています。適度な摂取は問題ありませんが、とくにエナジードリンクは短時間にたくさん飲みすぎてしまうこともあり、体への影響が心配されます。
編集部:
カフェインは1日にどのくらいなら摂っても大丈夫でしょうか?
広田さん:
カフェインに対する感受性は個人差が大きいため、健康に及ぼす影響を正確に評価することは難しく、日本には明確な推奨摂取量の基準はありません。海外の基準では1回あたりが200mg以下、または1日400mg以下を推奨摂取量としている国が多いようです。100mlあたりのカフェイン含有量は、コーヒーだと60mg、エナジードリンクは32~300mgと製品によって異なります。100mlあたりでみるとコーヒーより少ないものもありますが、エナジードリンクは1本あたりの量が多いものもあるので注意が必要です。
編集部:
糖質は摂りすぎるとなぜいけないのでしょうか?
広田さん:
糖質は体にとって必要な栄養素ですが、摂りすぎるとカロリーオーバーの原因になるだけでなく、血糖値が急激に上がる危険性があります。血糖値が急激に上昇すると、それを急激に下げようとする作用が働きます。この血糖値の乱高下は「グルコーススパイク」と呼ばれ、眠気や集中力の低下、いらいら、空腹感といった体の不調を起こしやすくなります。
編集部:
1日に必要な糖質の量はどのくらいでしょうか?
広田さん:
1日に必要なエネルギーが2000kcalだった場合、推奨される炭水化物の目標摂取量は250~325gほどです。これを米やパンなどの主食、野菜や果物などからバランスよく摂ることが大切です。エナジードリンクは1本に、約30~45gもの糖質が含まれるものもあります。飲みすぎるとあっという間に目標摂取量をオーバーしてしまうため注意が必要です。
エナジードリンクの頼りすぎは禁物
編集部:
エナジードリンクのよいところはないのでしょうか?
広田さん:
エナジードリンクに含まれるカフェインやビタミンB群は、適量であれば体によい働きをしてくれる面もあります。例えば、カフェインには眠気覚ましや頭をすっきりさせる効果がありますし、またビタミンB群は糖質、たんぱく質、脂質の代謝に必要な栄養素になります。
編集部:
1日1本程度なら飲んでも大丈夫でしょうか?
広田さん:
ほかにカフェインを含む飲料をとらない場合であれば1日1本程度であれば問題ないと考えます。しかし、糖質の摂りすぎにはなるため注意が必要です。また、妊娠中や授乳中の方、子どもはカフェインを控える必要があるため、エナジードリンクは避けましょう。
編集部:
エナジードリンクはどんなときに飲むのがいいのでしょうか?
広田さん:
眠気覚ましやエネルギーチャージなどのリフレッシュとして飲む方が多いようですが、清涼飲料水(ジュース)でもあるので、エナジードリンクに頼りすぎてしまうことはおすすめできません。エナジードリンクに含まれる栄養素は食材からも摂取できますので、食生活を見直してみることが大切です。
エナジードリンクに頼らない食生活とは
編集部:
エナジードリンク以外で眠気覚ましにおすすめの食品はありますか?
広田さん:
カフェインの効果を得たいなら、無糖のコーヒーや紅茶がおすすめです。また、コーヒーや紅茶に含まれるポリフェノールという成分には、抗酸化作用により動脈硬化、がん、老化、免疫機能低下の原因となる活性酸素を取り除く働きがあります。これはエナジードリンクには期待できない効果です。
編集部:
エナジードリンク以外で手軽にエネルギーチャージできるおすすめの食品はありますか?
広田さん:
糖分を摂ることでエネルギーチャージをしたいなら、バナナやおにぎりなどの手軽に食べられるものがおすすめです。バナナやおにぎりに含まれる糖質は、エナジードリンクに比べると消化吸収がゆるやかなため、血糖値の上昇が穏やかになります。ほかにも、不足することで疲労感の要因となるビタミンB1やビタミンCなどの栄養素を、普段の食生活で意識して積極的に摂ることも大切です。
編集部:
ビタミンB1、ビタミンCはどのような食品に含まれますか?
広田さん:
ビタミンB1は豚肉やうなぎ、鮭、ぶりといった魚類、あとは玄米や蕎麦などにも含まれます。ビタミンCは、主に野菜や果物に含まれ、野菜であればブロッコリーやピーマン、かぼちゃなど、果物であればキウイフルーツやいちご、オレンジなどに多く含まれます。肉や魚、また野菜や果物をバランスよく食べ、それぞれの栄養素が不足しない食生活を心がけましょう。
編集部:
最後に、読者へのメッセージがあれば。
広田さん:
エナジードリンクは手軽にエネルギーチャージができる飲み物ですが、飲み過ぎることで健康への悪影響や、体の不調を招いてしまう恐れがあります。また、毎日エナジードリンクに頼らなければいけない生活は、体が疲れて休息を求めていることがほとんどです。ときにはしっかりと休養して、体を休めてあげましょう。
編集部まとめ
エナジードリンクは、大量に飲みすぎると、カフェインや糖質の摂りすぎにより体に悪影響を及ぼすことがわかりました。1日に何本も飲んだり、コーヒーや紅茶などと一緒に飲んだりすることで、カフェインの過剰摂取の恐れがあります。また糖質の摂りすぎにも注意が必要です。エナジードリンクはここぞという時のためにとっておき、普段は頼らないでおく方が安心ですね。
【この記事の監修医師】
広田 千尋 さん(管理栄養士)
病院や保健センター、保育園等に管理栄養士として13年間勤務。その後、2020年より独立。現在はフリーランスとしてコラム執筆やレシピ作成を中心に、栄養や食に関する正しい知識をわかりやすく伝えることをモットーに活動中。
カフェインと糖質の摂りすぎに注意
編集部:
エナジードリンクは体に悪いって本当でしょうか?
広田さん:
エナジードリンクとは、カフェインやアミノ酸、ビタミンB群などの成分を添加した飲料のことを指します。適度な摂取は特に問題ありませんが、大量に飲みすぎると、カフェインや糖質の摂りすぎにより体へ悪影響を及ぼすことが考えられます。
編集部:
カフェインを摂りすぎると体にどのような影響があるのでしょうか?
広田さん:
カフェインの過剰摂取は、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気等の症状の原因になることがあります。厚生労働省のホームページでも、エナジードリンクの飲みすぎによる健康被害の症例について注意喚起がなされています。適度な摂取は問題ありませんが、とくにエナジードリンクは短時間にたくさん飲みすぎてしまうこともあり、体への影響が心配されます。
編集部:
カフェインは1日にどのくらいなら摂っても大丈夫でしょうか?
広田さん:
カフェインに対する感受性は個人差が大きいため、健康に及ぼす影響を正確に評価することは難しく、日本には明確な推奨摂取量の基準はありません。海外の基準では1回あたりが200mg以下、または1日400mg以下を推奨摂取量としている国が多いようです。100mlあたりのカフェイン含有量は、コーヒーだと60mg、エナジードリンクは32~300mgと製品によって異なります。100mlあたりでみるとコーヒーより少ないものもありますが、エナジードリンクは1本あたりの量が多いものもあるので注意が必要です。
編集部:
糖質は摂りすぎるとなぜいけないのでしょうか?
広田さん:
糖質は体にとって必要な栄養素ですが、摂りすぎるとカロリーオーバーの原因になるだけでなく、血糖値が急激に上がる危険性があります。血糖値が急激に上昇すると、それを急激に下げようとする作用が働きます。この血糖値の乱高下は「グルコーススパイク」と呼ばれ、眠気や集中力の低下、いらいら、空腹感といった体の不調を起こしやすくなります。
編集部:
1日に必要な糖質の量はどのくらいでしょうか?
広田さん:
1日に必要なエネルギーが2000kcalだった場合、推奨される炭水化物の目標摂取量は250~325gほどです。これを米やパンなどの主食、野菜や果物などからバランスよく摂ることが大切です。エナジードリンクは1本に、約30~45gもの糖質が含まれるものもあります。飲みすぎるとあっという間に目標摂取量をオーバーしてしまうため注意が必要です。
エナジードリンクの頼りすぎは禁物
編集部:
エナジードリンクのよいところはないのでしょうか?
広田さん:
エナジードリンクに含まれるカフェインやビタミンB群は、適量であれば体によい働きをしてくれる面もあります。例えば、カフェインには眠気覚ましや頭をすっきりさせる効果がありますし、またビタミンB群は糖質、たんぱく質、脂質の代謝に必要な栄養素になります。
編集部:
1日1本程度なら飲んでも大丈夫でしょうか?
広田さん:
ほかにカフェインを含む飲料をとらない場合であれば1日1本程度であれば問題ないと考えます。しかし、糖質の摂りすぎにはなるため注意が必要です。また、妊娠中や授乳中の方、子どもはカフェインを控える必要があるため、エナジードリンクは避けましょう。
編集部:
エナジードリンクはどんなときに飲むのがいいのでしょうか?
広田さん:
眠気覚ましやエネルギーチャージなどのリフレッシュとして飲む方が多いようですが、清涼飲料水(ジュース)でもあるので、エナジードリンクに頼りすぎてしまうことはおすすめできません。エナジードリンクに含まれる栄養素は食材からも摂取できますので、食生活を見直してみることが大切です。
エナジードリンクに頼らない食生活とは
編集部:
エナジードリンク以外で眠気覚ましにおすすめの食品はありますか?
広田さん:
カフェインの効果を得たいなら、無糖のコーヒーや紅茶がおすすめです。また、コーヒーや紅茶に含まれるポリフェノールという成分には、抗酸化作用により動脈硬化、がん、老化、免疫機能低下の原因となる活性酸素を取り除く働きがあります。これはエナジードリンクには期待できない効果です。
編集部:
エナジードリンク以外で手軽にエネルギーチャージできるおすすめの食品はありますか?
広田さん:
糖分を摂ることでエネルギーチャージをしたいなら、バナナやおにぎりなどの手軽に食べられるものがおすすめです。バナナやおにぎりに含まれる糖質は、エナジードリンクに比べると消化吸収がゆるやかなため、血糖値の上昇が穏やかになります。ほかにも、不足することで疲労感の要因となるビタミンB1やビタミンCなどの栄養素を、普段の食生活で意識して積極的に摂ることも大切です。
編集部:
ビタミンB1、ビタミンCはどのような食品に含まれますか?
広田さん:
ビタミンB1は豚肉やうなぎ、鮭、ぶりといった魚類、あとは玄米や蕎麦などにも含まれます。ビタミンCは、主に野菜や果物に含まれ、野菜であればブロッコリーやピーマン、かぼちゃなど、果物であればキウイフルーツやいちご、オレンジなどに多く含まれます。肉や魚、また野菜や果物をバランスよく食べ、それぞれの栄養素が不足しない食生活を心がけましょう。
編集部:
最後に、読者へのメッセージがあれば。
広田さん:
エナジードリンクは手軽にエネルギーチャージができる飲み物ですが、飲み過ぎることで健康への悪影響や、体の不調を招いてしまう恐れがあります。また、毎日エナジードリンクに頼らなければいけない生活は、体が疲れて休息を求めていることがほとんどです。ときにはしっかりと休養して、体を休めてあげましょう。
編集部まとめ
エナジードリンクは、大量に飲みすぎると、カフェインや糖質の摂りすぎにより体に悪影響を及ぼすことがわかりました。1日に何本も飲んだり、コーヒーや紅茶などと一緒に飲んだりすることで、カフェインの過剰摂取の恐れがあります。また糖質の摂りすぎにも注意が必要です。エナジードリンクはここぞという時のためにとっておき、普段は頼らないでおく方が安心ですね。
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