みかんや柿の果糖 血糖値上げない一方、脂肪として蓄積されるデメリット
“朝のフルーツは金”とまでいわれ、食べることを推奨される果物類。ただ、中には気をつけるべきものは多く存在する。特に食べすぎに注意すべき食品は何なのか。食と健康の専門家たち15人が理由とともに挙げた「ワーストランキング」は驚くべき結果だった。
【以下、15人の「食と健康の専門家」に「食べすぎると毒に変わる食品」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計した。 植田美津恵さん(医学博士)、小倉朋子さん(トータルフード代表)、大西睦子さん(内科医)、黒田愛美さん(医師/アスリート)、佐々木欧さん(医師/秋葉原駅クリニック)、白澤卓二さん(医師)、清水加奈子さん(管理栄養士)、田中優子さん(医師/田中病院院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、福田千晶さん(医学博士)、福田正博さん(糖尿病専門医/臨床内科専門医)、牧田善二さん(医師)、望月理恵子さん(管理栄養士/健康検定協会)、森昭彦さん(サイエンスジャーナリスト)、森川貴さん(医師/大阪市立総合医療センター腎臓・高血圧内科)】
医学博士の福田千晶さんが一票を投じたのはみかんだ。
「冬になると1回に2個3個と食べる人も多いですが、大ぶりのみかんをいくつも食べれば糖分の過剰摂取になってしまいます。確かにビタミンや食物繊維が豊富で、栄養面において優れた果物ですが、大きいみかんなら1日1個、小さいものでも2個までに留めておいてほしい」管理栄養士の清水加奈子さんも声を揃える。
「みかんや柿といった、いまが旬の果物には果糖が多く含まれるものが多い。果糖には、ブドウ糖のようには急激に血糖値を上げないというメリットがある一方、そのほとんどが肝臓で代謝され、ダイレクトに脂肪として蓄積されてしまう。食べすぎると中性脂肪が増えるうえ、肝臓そのものにも負担がかかります」
食べすぎ注意の食品は?
大阪市立総合医療センターの医師・森川貴さんは、人によってはこれらの果物が病気をもたらす可能性があると指摘する。
「みかんや柿などの果物は腎臓から塩分の排出を促すカリウムを多く含んでいます。このため高血圧を予防する効果があり、一般的には健康のために積極的に摂った方がいいといわれています。
しかし、腎臓の力が2分の1から3分の1以下に落ちている人は別。尿からカリウムが排出されにくくなっていることが多く、血液中にカリウムがたまる高カリウム血症を起こす危険があります。カリウムは野菜にも豊富に含まれていますが、ゆでこぼしをすると減らすことができます。
一方、果物はそれが難しいので、缶詰にしたり、食べすぎたりしないように食事指導が必要です」
時間がないときに、手軽に果物や野菜の栄養素をチャージできるジュース類も専門家によればデメリットが多い。
「含有するビタミンなどの摂取のメリットよりも、果糖の過剰摂取によるデメリットの方が大きい。生の果物なら食物繊維も豊富で咀嚼が必要なため、摂りすぎる危険性は低いのですが、ジュースはゴクゴク飲めるため、過剰摂取になりがちです」(内科医の佐々木欧さん)
せっかくの健康志向がアダにならないよう、あえての “ほどほど”を心がけたい。
※女性セブン2021年11月11・18日号