あなたの健康はお金で買えますか・・・? 相続税対策の王道だった「生前贈与」 今なぜ急がなければならないのか
fc2ブログ

相続税対策の王道だった「生前贈与」 今なぜ急がなければならないのか

これまでの「生前贈与」による相続税対策が使えなくなる可能性も(イラスト/河南好美)© マネーポストWEB 提供 これまでの「生前贈与」による相続税対策が使えなくなる可能性も(イラスト/河南好美)

 年末の帰省などで、親子が久しぶりに顔を合わせる。積もる話もあるだろうが、今年は親子で「相続」についてしっかり話し合っておきたい。

「相続のルールが変わるから、年内に急いで生前贈与しないと、相続税がうんとかかるようになるとゴルフ仲間の元会社役員に言われました。しかし、何から手をつけたらいいのかわからなくて……」(都内在住70代男性)

 こうした悩みを抱える人は少なくない。

 近年、相続税の課税強化が続いてきた。2015年度から「基礎控除」が縮小され、相続税は“お金持ちの税”ではなくなった。それまでは、遺産額が「5000万円+1000万円×法定相続人の数」を超えなければ相続税は課されなかったが、「3000万円+600万円×法定相続人の数」を超えると課税対象となるように変わったのだ。

 相続人が妻1人、子2人の場合、8000万円までの遺産なら非課税だったのが、4800万円を超えれば相続税が発生するようになった。亡くなった人のうち相続税が発生する割合は2014年の4.4%から2015年の8.0%へと倍増している。

 そうしたなか、相続税対策の王道だったのが「生前贈与」だ。税理士法人レディング代表の木下勇人税理士が解説する。

「贈与税は相続税に比べて税率が高いのですが、1人あたり年110万円までが非課税となります。簡単にできるので、毎年コツコツと長期にわたって生前贈与して、遺産を減らして相続税を節税しようとする人は多い」

 別掲図のように、6000万円の遺産があった場合、相続税は310万円となる(相続人が子1人のケース)。それが年110万円贈与を20年繰り返すと、贈与税はゼロで、3800万円の遺産に対する相続税も20万円で済む。実に290万円の節税となるのだ。

 実際には、遺産のうち所有不動産が占める割合などによって、現金の贈与でどこまで圧縮できるかは変わるが、シンプルでわかりやすいやり方だ。

 ところが、その前提が大きく変わろうとしている。与党の税制調査会などで議論が進み、来年度の税制改正で生前贈与による節税ができなくなる可能性があるのだ。前出・木下氏が説明する。

「相続税は累進課税で、課税遺産(法定相続分に応ずる取得金額)が1000万円以下なら税率10%ですが、1億円超~2億円以下なら40%、6億円超になると55%といった具合に、遺産が多いほど税率が上がっていきます。そのため、富裕層ほど大きな額の生前贈与をして節税している実態があり、国はそれを抑制したいと考えているのです」

 どういった改正になるかは、まだはっきりとわかっていない。

「年間110万円の贈与税の非課税枠をなくして、贈与した財産も相続発生時に一緒に課税する『相続時精算課税制度』に一本化するやり方や、現行では亡くなる前3年以内の贈与は相続財産に含めるというルールの適用期間を10年以内、15年以内といった具合に延ばす可能性もある。

 新制度のスタートがいつになるかも明らかになっていませんが、法改正の審議や周知期間を含め早くて2023年度から新制度が適用されるのではないか。いずれにせよ、現行の110万円の非課税贈与が使えなくなる可能性があり、生前贈与を考えている人はやっておいたほうがいい」(木下氏)

 今年の非課税枠は年内いっぱいの贈与に適用されるので、残り時間はわずかだ。

※週刊ポスト2021年12月17日号

関連記事
おススメサイト!
最新記事
★★互助会推薦★★
QRコード
QR
admax
="">
カテゴリ
ランキング
ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ