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メンタルの弱さをカバーする「技術」


2020年、新型コロナウィルスの感染拡大によって、世界中の経済が打撃を受けた。

特に、飲食、宿泊、旅行、運輸、興行、レジャーなどの分野はその影響をもろに受けた。

スキューバダイビングやラフティングなどのアウトドアレジャーや、遊園地や動物園、水族館などのレジャー施設への予約をネット上で取り扱う会社・アソビューもその一つである。

アソビューは当時創業9年目、社員130名のベンチャー企業。日の出の勢いで成長している会社でもあった。37歳だったCEO山野智久氏は、未曾有の危機に追い込まれ、悩み、苦しんだ。

「会社をなくしたくはない、しかし、社員をクビにするのはいやだ」

売上は日に日に激減し、ついにはほとんどゼロになった。

さて、どうする? 山野氏が繰り出した「秘策」を、『弱者の戦術 会社存亡の危機を乗り越えるために組織のリーダーは何をしたか』(ダイヤモンド社)から引用し、紹介する。

ランニング、Netflix、料理

僕は幼少期から決してメンタルが強いほうではないと自己認識しています。自信満々に見える、態度がでかいなどとよく言われますが、実は周囲の反応を気にする「気にしぃ」で結構傷つきやすい、見た目の印象とは違う面倒な男です。豪胆な経営者が持ち合わせているような図太い神経もない。

だからその分、技術でメンタルをカバーしてきました。

そんな僕ですから、コロナ禍で「メンタルが折れるかもしれない」と思った瞬間、対応策をひねり出しました。

その答えは「何も考えない時間を作る」です。

なぜメンタルがやられてしまうのかと言えば、懸念事項が四六時中頭を支配し続けるからです。ずっと“そのこと”について考えてしまうから、心が疲労して折れてしまう。実際、窮地に陥った当時の僕は「このまま経営悪化について考え続けていたら、いずれ鬱状態になる」と予感しました。

これはフィジカル(肉体)も同じですよね。激しい運動で筋肉を酷使し続けると、ヘトヘトになって思い通りに動かせなくなり、それでも続けるとやがて大怪我をします。筋肉の疲労を回復させるには、筋肉を休ませるしかありません。

ですからメンタルも、回復させるには休ませるしかない。つまり、“そのこと”について考えない時間をできるだけ多く作ればいい。

とはいえ、酷使するのをやめればいい筋肉と違い、「考えないようにしよう」と決意したところで、悪い考えはどうしても頭をもたげてしまいます。

そこで僕のとった方法が、ランニング、Netflix、料理でした。

「考えない時間」を確保

ランニングといっても、ゆっくり走っていてはむしろ色々なことを考えてしまいます。

なので、思考を巡らす余裕がなくなるように全力で走りました。代々木公園の周辺を毎日10キロ。同じ道をアスリートのように走り込みました。

大切なのは完全に同じコースを走ること。コースを変えると「ここはどんな道だろう」という思考が生まれ、脳が起動してしまうのでよくありません。ただただ同じ道を無心で走る。淡々と、ルーティンで、限界まで速く走る。

当然ながらしんどいのですが、その時間だけは会社の窮状に思いを馳せなくて済みます。

フィジカルは酷使されますが、その代わりにメンタルに一時の休息を与えられました。

次がNetflixです。鬱々としていた時期、僕は『梨泰院クラス』と『愛の不時着』をずっと観ていました。いずれも韓国のドラマ、全16話。日本では2作とも2020年から配信が始まり話題になったのでご存じの方も多いでしょう。あの時期、この2作に救われました。

なぜ救われたのか? 両作とも現実離れしたストーリーで、小難しい伏線などを考える必要もなく、ただひたすら現実逃避に集中できたからです。

『梨泰院クラス』は主人公が壮大な復讐のために飲食店を起業し、そこから成り上がっていく話。同じ経営者として既視感があったことが興味を持ったきっかけではありますが、とにかくジェットコースターのように激しい展開が魅力でした。大胆なストーリーにかじりついて陶酔できました。

『愛の不時着』は、パラグライダーで北朝鮮に落下してしまった韓国の財閥令嬢が北朝鮮の軍人に救助されるラブストーリー。こちらも竜巻に遭って墜落するとか、初期設定からして現実離れしていて、逃避するにはうってつけの内容です。この2本を観ている間、僕は物語のこと以外に何も考えないで済みました。

ありがとう、Netflix。

そして3つめ、集中することで頭を無にできる手段として、料理は最高でした。

コロナ禍で外食ができないこともあり、僕はこの期間中にスパイスから作るカレーと麻婆豆腐をたくさん作りました。大量のスパイスを買い込み、キッチンで酒を飲みながら、無心でひたすら調合し煮込むのです。ただひたすらかき回し、優しく煮込み倒す!

ことさらカレーと麻婆豆腐にこだわりがあったわけではありません。ただもう無になる時間が欲しかっただけ。集中瞑想のような禅の世界と似ていたのかもしれません。一定の作業プロセスがあり、無心になれるものであれば何でも良かった。

長時間煮込み続けていると気持ちが平和になり、やがて余計なことを考えなくなります。

そこにアルコールが入るとフワッとしてきて楽な気持ちになる。

そんな方法で、折れそうな心を守ることができました。

山野智久(やまの・ともひさ)

1983年、千葉県生まれ。明治大学法学部在学中にフリーペーパーを創刊。卒業後、株式会社リクルート入社。2011年アソビュー株式会社創業。レジャー×DXをテーマに、遊びの予約サイト「アソビュー!」、アウトドア予約サイト「そとあそび」、体験をプレゼントする「アソビュー! ギフト」などWEBサービスを運営。観光庁アドバイザリーボードなど中央省庁・自治体の各種委員を歴任。アソビューは期待のベンチャー企業として順調に成長していたが、2020年にコロナ禍で一時売上がほぼゼロに。しかしその窮地から「一人も社員をクビにしない」で見事にV字回復を果たしたことが話題になり、NHK「逆転人生」に出演。著書に『弱者の戦術 会社存亡の危機を乗り越えるために組織のリーダーは何をしたか』(ダイヤモンド社)がある。

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