パリジェンヌがダウンを着ない理由。 極寒のパリを乗り切る、愛用コートと防寒テクニック
本格的な冬の訪れとともに、ダウンジャケットに身を包む人であふれる日本のストリート。一方、パリではダウンジャケットを着る人は圧倒的に少なく、ウールコートやレザー、ファーコートなどのアウターが主流。
日本の冬よりも確実に気温が低いのになぜ? そんな素朴な疑問をパリジェンヌにぶつけてみると、ダウンに対するイメージの違いや美意識の違いが見えてきた。
パリジェンヌにとって“ダウン”とは?
パリジェンヌにとっては、ダウン=スポーツ用のアウターという意識が強い。ファッショニスタにヒアリングすると、「ダウンはスキーのときに着る服」「子供の頃に着て以来、着ていない」という回答が最も多かった。
その理由は、「ストリートすぎる」「スタイルが悪く見える」といったファッションに対する美意識にある。パリジェンヌが最も重要視するのは、自分らしさとバランス感。スタイリングで個性を表現することや、スタイルよく見せることは、防寒や機能性よりも優先順位が高いのだ。
では、パリジェンヌはダウンを着ないかわりに、どんな防寒対策をしているの? 最も支持率が高かったのが、「ユニクロ」が世界に誇る“ヒートテック”インナー。レイヤード上手のパリジェンヌは、コートの下にヒートテックやセーターを上手に重ね着している模様。ウルトラ ライト ダウンを愛用しているパリジェンヌもちらほら。
またパリジェンヌの冬のワードローブに欠かせないのが、カシミアのセーター。「パリの人は本当にカシミアが好き」「セーターの上にセーターを重ねることも」「カシミアのタートルネックが最強」など、パリジェンヌの回答からは並々ならぬカシミア愛が感じられる。
一番人気のアウターは、ウールのロングコート。ガウン風に着られるオーバーサイズのウールコートに人気が集まった。また、エコファーやムートンなど、ヴィンテージショップで購入したようなクラシックなアウターも定番人気。スカーフやニットビーニー、手袋といった冬小物をコーディネートのアクセントとして上手に取り入れるパリジェンヌも目立った。
サビーナ・ソコル / アートディレクター
Q. ダウンを着ない理由は? 「ストリートスタイルっぽくなりがちだから、あまり着用しないのは確かね。スキーなど、ウィンタースポーツを楽しむ時の必需品だけど」 Q. 愛用のお気に入りコートは? 「冬は、大きなサイズのメンズのコートをバストローブっぽく羽織るスタイルが好き。
例えば、『アクネ・ストゥディオス』のようなクラシックで美しいシルエットのコートは、トレンドに左右されずタイムレスに着られるから愛用しているわ。 気温がもう少し下がると、70年代のシアリングのコートに、レッグパンツやジーンズが合わせて暖かく快適に過ごす。時代遅れになることのないスタイルだから、これらの2つのルックが大好き!」
Q. 極寒のパリを乗り切る防寒TIPSは? 「私はあまり用心深くないから、この種のアドバイスをするのに最適な人ではないかも……。厚手でも丈の短いセーターを選びがちだから、お腹が少し露出してしまっていつも寒いわ(笑)。 それでも、外からは見えない厚い靴下を履き、素敵なレザーの手袋など、常に手足を暖かく保つことは役立つTIPSだと思う」
エカテリーナ・グラズノヴァ/「トム・グレイハウンド・パリ」バイヤー
Q. ダウンを着ない理由は? 「ダウンは比較的エレガンスな要素に欠けると思うから。パリでは、ダウンは山で過ごす冬のバカンスの時に着用するアウターというイメージが強い。街で着るには、都会的とは言えないかも」 Q. 愛用のお気に入りコートは?
「『ルメール』の重厚感のあるウールコートがお気に入り。パリの冬に完璧に合うアウターだもの! カラーパレットが美しく、細部まで精巧に計算されているから、どんなカジュアルなルックもエレガントに見せてくれる」
Q.極寒のパリを乗り切る 防寒TIPSは? 「レイヤーがカギね。防寒のためにシルク、繊細なウール、カシミヤなど自然素材を好んで着ることが多い。私の最強の防寒ルックは、『ジル・サンダー』のシルクシャツの上に『ドリス・ヴァン・ノッテン』のスーツセットアップ、『ルメール』のウールコート、最後にカシミアセーターをスカーフ代わりに肩にかけるコーディネート。
あと、ロシアの女性のようにスカーフを頭に巻くのも、冷たい風や湿気から守る防寒TIPSよ」