「やる気がどうしても出ない…」仕事のストレスを回避する、3つの鉄則
ストレスを回避する
三つの方法
仕事上でストレスを感じている人は、とても多いと思います。たとえば、バーンアウトシンドローム(燃え尽き症候群)は、意欲を持って働いていた人が、燃え尽きたかのように意欲をなくして、会社や社会に適応できなくなってしまう状態です。
そこで私は経営者に対して、ストレスをコントロールするための三つの方法をアドバイスしています。
1番目は、「自分でコントロールできないことには悩まない」ことです。
ストレスが一番かかるのは、自分でコントロールできないことに悩むこと。分かりやすい例を挙げると、明日雨が降るかどうかで悩むこと。天候はコントロールできないので、大きなストレスがかかります。仕事に置き換えれば、相手に決定権があることで悩むこと。どんなことになるのかは自分で決められないのですから、悩めば悩むほどストレスが増すだけです。
悩まないための対処法は、「自分でコントロールできることに全力を尽くす」ことです。明日の雨が心配なら折りたたみ傘を用意しておけばいい。相手に決定権のあることでも、自分で事前にやれることはたくさんあるはずです。それをしっかりやる。その逆で、自分でやれることをやらずに、自分でコントロールできないことに悩むからストレスがかかるのです。
2番目は、「言い訳をしない」。
言い訳は、自分を正当化したいという意識が働き、多分にうそを含んでいることが多いもの。うそは他の人に分からなくても、自分の深層心理に残るといわれています。言い訳をせずに、素直に「申し訳ありません」と謝ることができる人はストレスがたまらないのです。
経営者の立場で、組織のために、どうしても言い訳をしなければならない場面はありますが、ほとんどの過ちや失敗の非は自分にあるので、率直に「申し訳ありません」と言うことがストレスを避ける方法です。
時には自分を
甘やかそう
3番目は、「時には自分を甘やかせる」です。
真面目過ぎる人は、多くの仕事を抱え込んで余裕を失いがちです。いっぱいいっぱいの状態もストレスの原因となるので、(常にではなく)時には自分を甘やかすことが大事です。家族や友人と過ごす時間をつくったり、体を休めて健康管理することも必要です。
ただし、仕事を完全に忘れると逆にストレスがかかることがあります。松下幸之助さんは、「体は休めても、心は休ませない」と話しています。厳しいようですが、経営者はお客さま、従業員、社会に対する責任があります。言い方を変えれば、経営をずっと考えていられない人は経営者には向きません。
「体は休めても、心は休ませない」状態で働き続けると、ストレスがたまり、いずれバーンアウトしてしまうのではないか。そんな心配をする人もいるでしょうが、私が知る経営者で、バーンアウトした人を見たことがありません。その理由は、やはり「仕事が好きだから」です。
仕事が好きなら、楽でない仕事でも楽しくできて、ストレスの原因にはなりません。
なぜなら、人は好きなことには熱心になれるものだからです。ディズニーランドが好きな人は、ディズニーランドで遊ぶことがストレスになることはありません。同じように仕事が好きな経営者は、仕事がストレスになることはないのですが、遊びと異なることが一つあるます。
仕事では、高い志を持ち、「なれる最高の自分」を目指すことが大切です。以前、イエローハットの創業者・鍵山秀三郎さんに話をうかがった時、孟子の名言「志は、気の帥なり」を教えてもらいました。高い志をしっかりと持てば、気力はそれに従って湧いてくるという意味です。好きな仕事をしている経営者の場合、高い志を持って仕事に邁進(まいしん)している限り、燃え尽きることはないはずです。
(小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶)