夫婦で「年金月13万円」時代への備え 都会と田舎の間である「トカイナカ」移住で老後の不安なし!? 森永卓郎氏が新著で説く
「年収300万円時代」の到来を2003年に予測した経済アナリストの森永卓郎氏が、今度は「夫婦で年金月13万円時代」への備えを説いている。厚生労働省の試算では、年金受給者のモデル世帯が「夫婦で約22万円」と設定するが、実際には大幅に落ち込むと見ているのだ。老後も安心なはずの年金制度に何が起きているというのか。
「賦課制度である日本の年金制度は、現役世代の払った保険料をその年の高齢者で山分けするシステムだ。その上で高齢者が増え、現役が得るのは確実なので、年金受給者1人あたりの受給額が減るのは当然。小学生が計算しても分かるはずだ」
森永氏は、少子高齢化する人口構造に加え、厚労省が5年に一度試算する「財政検証」では、高い賃金上昇率や高齢者の多くが労働市場に参加するという点が前提にされていることから、22万円の受給が不可能だと断言する。
年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2001年度に市場運用を開始し、21年12月末時点の累積収益額は約107・6兆円だが、森永氏は現在の市場をバブルと捉えており、「必ず崩壊する」「運用益に期待してはならない」と警鐘を鳴らす。
近著の『長生き地獄 資産尽き、狂ったマネープランへの処方箋』(角川新書)=写真=で森永氏は、財政検証のカラクリを詳しく解説しており、年金受給額が大幅に下がるなかでの長生きが幸せなのかとも問いかけている。
そして長生きが〝地獄〟とならない策として、個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」や相続対策の重要性に加え、「年金13万円時代」に備えるためのライフプランとして、「トカイナカに住む」を提案する。
都会に住めば生活費が高く、地震や水害、感染症に見舞われるリスクも高いが、田舎はそのような懸念はない。ただ田舎では、生活費が安いものの人間関係が濃過ぎるゆえになじめない人も多い。このため、都会と田舎の間であるトカイナカを勧めるのだ。
森永氏は「ホワイトカラーの仕事はリモートで完結できてしまう時代が目の前まで来ており、そうなれば月に数回、東京に来ればいい。私はトカイナカで野菜を育てており、畑ではマスクをする必要もない。老後も基礎的な支出さえ賄えるようにしておけば、怖いものは何もなくなる。対策は早ければ早いだけ、後に不安を抱える必要がない」とアドバイスした。
- 関連記事
-
- 【妻のパート収入どちらが得か】それぞれの壁を意識した働き方をするか、社会保険料等を支払っても公的年金の受給を選択するか (2023/09/21)
- 年金「繰り上げ受給」のデメリット 長生きリスクに加え、様々な公的セーフティネットが利用できなくなる (2023/09/21)
- 国民年金の満額とは?満額もらえない人が満額に近づける方法 (2023/09/20)
- 老後は年金を受給していても「生活保護」を受けられる? 働ける場合は働く必要があるの? (2023/09/20)
- 現在69歳です。60歳で年金の手続きをしましたが、老齢厚生年金が全額支給停止に。繰下げ受給したことになるのでしょうか? (2023/09/17)