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「油もの」や「食べ過ぎ」よりも太る? 追跡調査で判明した肥満と「食べ方」の恐ろしい関係


早食いと太りやすさの関係……肥満と食べ方の3年間の追跡調査

肥満と早食いとの関係については様々な研究報告がありますが、その中でも2014年にアメリカの科学雑誌『Obesity』に掲載された報告は特に興味深いものです。

この研究では一時的な観察ではなく、同一の対象者を3年間追跡調査する縦断研究が行われ 、早食いを続けると肥満になるということが、世界で初めて確認されました。

縦断研究は、それまでなされてきた一時的な観察である横断研究よりも質の高いものと考えられています。早食いと肥満の関係についてより強く裏付けられたといえるでしょう。

この研究発表をしたのは、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野の研究グループと同大保健管理センターの共同研究グループ。今回の結果では、早食いの者は早食いではない者よりも4.4倍肥満になりやすく、男性は女性よりも2.8倍肥満になりやすいことがわかりました。

油ものや食べ過ぎよりも、早食いの方が肥満の原因になりやすい?

興味深い点は、「油っこいものを好んで食べる」「満腹になるまで食べる」といったその他の食習慣よりも、早食いの方がより肥満の原因になりやすい、ということです。つまり「何をどれくらい食べるか」も大切ではあるものの、それ以上に早く食べる方が肥満に影響するということです。


日本人の場合、年齢とともに基礎代謝も低下し、肥満になりやすい傾向があります。肥満から高血圧や糖尿病などの生活習慣病などにもつながります。早食いは習慣ですから、若いうちからその習慣を改善することで、年をとってからの生活習慣病を予防する上でも役にたつことでしょう。

早食いの対策法……早食いの自覚がある人は「噛む」ことを意識して


同大学のプレスリリースでは、早食いを自覚する者は、そうでない者よりも一口当たりの量が多く、噛む回数が少ない傾向がある、としています。ということは、この逆をすればゆっくり食べることにつながります。一口にたくさん詰め込まず、そしてよく噛むこと。


口腔ケアや肥満治療の分野で、一口20~30回咀嚼することが推奨されていますが、しかし一口にできるだけ量をつめこまずに30回噛むのというのは、なかなか難しいものだと思います。

『「ゆっくりとよく噛んで食べること」は肥満予防につながるか?』という研究レビューで、次のような記述があります。

“「一口30回咀嚼」の研究終了後も、この習慣を継続している割合は少なかったものの、半数が「一口20回咀嚼」を実践し、健康に対する意識が好転したことが確認されている。”

早食いの習慣に自覚がある人は、30回と高いハードルを設けて継続できなくなるよりもまずは「噛む」ことをいつもより多く意識することから始めましょう。筆者の経験から20回程度なら、割にクリアしやすく継続もしやすいと思います。

よく噛むためには、カレーや肉じゃがなどの柔らかい煮込み料理でも、ジャガイモやにんじんなどの具はわざと大きめにしたり、少し歯ごたえが残る程度に加熱する、ゴボウやレンコンなどの繊維質の多い根野菜や、こんにゃくなど弾力のある食品、豆類など乾物といった歯ごたえのある食品を利用する、また白米に玄米や発芽玄米雑穀などを混ぜたりするとよいでしょう。

またこうした食習慣は、大人の問題だけでなく、子どものうちから身につけておくことが大切で、肥満だけでなくあごの発育や口腔ケアにも関わってきます。

「よく噛む」ことは、お金はかかりませんし、誰でも今からすぐにできることです。早く食べる傾向があるかなと思ったら、今日から「よく噛む」ことを意識してみませんか? 

■参考

・早食いする大学生は肥満になりやすい 3年の追跡調査で確認(岡山大学)

・「速食いと肥満の関係ー食べ物をよく「噛むこと」「噛めること」(厚生労働省)

▼南 恵子プロフィール食と健康アドバイザー。学術誌編集部、広告制作会社などを経て、フードコーディネーター、エコ・クッキングナビゲーター、裏千家茶道準教授などの資格を取得。健康と社会に配慮した食生活の提案、商品企画、執筆、講演等を通じ、毎日の健康管理に欠かせない「食」に関してわかりやすく豊富な情報発信を行っている。


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