医療費控除で住民税は還付される?タイミングはいつ?
所得税の確定申告をすれば住民税の申告は不要です
所得税の確定申告をした場合、税務署はそのデータを自治体に共有し、自治体はそのデータをもとに住民税を計算します。そのため確定申告をした方は、住民税に関し申告の必要はありません。普段は確定申告になじみのない会社員の場合でも、会社は年末調整で税額計算や納税まで行った後に「給与支払い報告書」をお住まいの自治体に提出しています。自治体ではそれをもとに住民税を計算しますので、改めて住民税に関しての申告をする必要はありません。
住民税は6月から翌年5月の間に払います
所得税は確定申告の期間中に申告および納税まで行いますが、住民税は異なります。具体的には、対象となる年の住民税は翌年6月から翌々年の5月まで支払います。つまり2021年分の住民税は2022年6月から2023年5月の間に、会社員であれば毎月の給与から天引きされますし、個人事業主であれば4期に分けて自ら支払いを行います。
医療費控除で住民税は少なくなります
前述のように確定申告した際のデータは税務署から自治体に引き継がれますので、課税所得が少なくなる場合、つまり医療費控除で所得税が少なくなる場合なら住民税でもそのデータが反映されるため、当然に住民税額は少なくなります。ただし会社員であれば所得税は「還付」という目に見える形で戻ってきますが、住民税は6月からの税額として反映されるものであり「還付」されるわけではありません。あくまでも医療費控除の確定申告をすることで、6月からの税額が少なくなるとの理解が正しいかと思います。
医療費控除で住民税はどれくらい少なくなるの?
それでは医療費控除の確定申告をすることで、住民税はどれくらい少なくなるのでしょうか。実は所得税の税率は所得に応じ5~45%と幅があるのに対し、住民税は全国一律で標準税率10%(*)です。そのため医療費控除の確定申告をすることで少なくなる住民税は控除額の10%であり、6月以降に支払う住民税として反映されることになります。
6月以降少なくなる住民税=医療費控除額×10%
なお住民税には所得に応じて課される「所得割」と住民に一律に課される「均等割」がありますが、医療費控除の確定申告で少なくなるのは「所得割」の方です。「均等割」が少なくなることはありません。
*道府県民税4%+市町村民税6%、指定都市では、道府県民税2%+市町村民税8%。また自治体によっては条例で独自税率を採用しているところもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。医療費控除の確定申告をすることで、会社員であれば所得税が還付され少しだけ得した気分になるかと思います。一方で住民税は還付されるわけではないため、恩恵を受けている実感がないかと思いますが、6月からの税額としては反映しているのです。このことを知れば、少々の確定申告の手間もあまり気にならなくなるのではないでしょうか。
文:川手 康義(マネーガイド)