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親の死後に後悔しない「介護・相続・葬儀マニュアルの三か条」


 昨今のコロナ禍で「親の死」が頭をよぎる機会も増えたのではないだろうか。いつかは必ずやってくる別れの前に、今から心がけるべきことは何か? 今回はもしもの時に後悔しないように介護、相続、葬儀の専門家に講ずべき対策について聞いてきた。

◆子供には見せない親の本音を交じえて後悔のない介護計画を

「親の介護で後悔しやすいのが認知症の発見の遅れです。重度になってから相談する人が多いのですが、少しでも疑いがあれば地域包括支援センターを活用すべきです」

 そう提案するのは介護コンサルタントの後藤佳苗氏だ。

「65歳以上を対象としたワンストップ窓口で、相談範囲は幅広い。福祉は申請制で相談がないと職員も動けない。健康でも、記録を残す意味で相談して損はありません」

◆親の横の人間関係に注目すべき

 また、介護福祉士やケアマネジャーとの面談では「親の横の人間関係」に注目すべきとの助言も。

「親というのは、子供に対して、意外と取り繕っており、本来の人間性が見えづらいんです。親のきょうだい、友人といった『横の関係』から情報を得ると、親の本音が反映された介護計画の策定がしやすくなり、後悔しない介護に繫がります」

 いざ介護となれば有料老人ホームも選択肢だが……。

「費用負担が重く、早すぎる利用は介護破産リスクになります。また、介護破産のリスクを感じたら、こちらも地域包括支援センターに相談できることを覚えておいてください」

●後悔しない介護の三か条

1. 介護の相談は地域包括支援センターへ

2. 親の本音を知るには横の人間関係から

3. 介護破産に要注意!有料施設の利用は慎重に

◆相続対策よりも要注意なのは親の認知症対策?

 年110万円までの生前贈与は非課税─。広く一般に知られる節税技に黄色信号がともっている。

「’22年度の税制改正大綱では生前贈与の封じ込めはありませんでしたが、’24年以降は、贈与時は非課税でも相続税の対象として課税されると予想します。現行の節約テクニックはこの2年でやりきる覚悟でいたほうがいいでしょう」

 そう見解を述べるのは相続対策に強い税理士の橘慶太氏だ。また、相続対策で気をつけたいのは意外にも親の認知症だという。

「心療内科などで認知症と診断されると意思能力のない人とされるため、遺言や生前贈与が無効になることもあります。相続対策は親の認知症悪化前に行わないとトラブルになる可能性もあります」


◆「財産がないから」と楽観しないで

 一方、「ウチはトラブルが起こるほど財産はない」という人でも楽観はできない。

「現金ならきれいに分けられますが、財産のほとんどが自宅の場合、分けるのが難しく“争続”になることがあります。何より、一番注意すべきが家族仲が良いケース。ウチは仲が良いからと安心して遺言を何も残さずにいても、死後の心変わりで揉めることに。むしろ仲が悪いほうがきっちり遺言を用意するので相続がスムーズです」

 相続の落とし穴を避けるには生前の家族コミュニケーションが何よりも重要だ。


●後悔しない相続の三か条

1. 生前贈与税は今後の税制改正を注視

2. 相続対策における最大の敵は認知症

3. 仲がいい家族のほうが準備不足で揉めやすい


◆墓じまいトラブルが続出。親族にも配慮して遺恨を残さない葬儀を

 近年、葬儀の形も多様となっているが、予期せぬトラブルや後悔も多い。葬儀社代表で葬祭系YouTuberでもある佐藤信顕氏に話を聞いた。


「最近増えているのが葬儀やお墓の引っ越し、墓じまいを独断で行い親族と遺恨を残すケースです。お墓は自分のものだけではなく、先祖代々や一族皆の共有物と心得てください。せめて叔父や叔母くらいには必ず相談しましょう」

 

また、コロナ禍で家族葬がますます主流となり、葬儀列席者の範囲をどうするかで悩む喪主も多いようだ。「葬儀後にどうして自分を呼ばなかったんだと駆け込んでくるなんて話もあります。生前から親の交際範囲を把握しておくのをオススメします。そのためには生前から親の年賀状印刷やお歳暮を代行してあげて、リスト化しておくと、いざという時に慌てません」


◆安易な葬儀簡素化の流れに警鐘

 また、近年の安易な葬儀簡素化の流れには警鐘を鳴らす。

「日本人の8割は生命保険に入っており、ご香典も入るので大方はカバーできます。お金が心配で簡素化したものの、思った以上に遺産があり、もう少し親の遺志を反映してあげればよかった……など後悔する例も少なくありません。予算については言ってくれれば葬儀社はできる限りの配慮をします。遠慮せず相談してみてください」

●後悔しない葬儀の三か条

1. 喪主の独断は厳禁。親族の意向を尊重

2. 年賀状やお歳暮で親の付き合いを把握

3. 経済合理性にとらわれすぎると後悔も


【介護コンサルタント 後藤佳苗氏】

(一社)あたご研究所代表理事。介護職、行政職員、看護職などを対象とした研修会、セミナー講師として活躍。介護に関する著書多数


【税理士 橘慶太氏】

円満相続税理士法人代表。「最高の相続税対策は、円満な家族関係を構築すること」 をモットーに活動。著書に『ぶっちゃけ相続』(ダイヤモンド社)など


【葬祭系YouTuber 佐藤信顕氏】

佐藤葬祭代表、YouTube葬儀葬式チャンネル運営。厚生労働省認可1級葬祭ディレクターとして葬儀に関する情報をわかりやすく発信

<取材・文/週刊SPA!編集部>

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