なぜ?コロナ禍で「花粉症」がひどくなる人も。花粉対策の盲点を医師にきく
いっこうに終わらないコロナ禍のなか、いまいましい花粉症の季節がやってきました。
2022年の花粉飛散量は例年よりやや多いそうで、たとえば東京都内12地点では昨春の1.5倍と予想されています(東京都発表)。と聞いただけで、もう鼻水が出そう…。
そこでコロナ時代の花粉対策の「盲点」について、みなと芝クリニックの川本徹院長に聞きました。マスクをしっかりしているのに、経験したことがない症状を訴える人も増えているそうなんです。
◆盲点1:コロナ禍ストレスで、花粉により過敏な状態に
コロナ対策として定着した、手洗いやうがい、マスク着用。これらは、花粉症対策としても良いはずなのに、「花粉症の患者数が劇的に減ったという印象はありません。むしろ、コロナ禍で花粉症の症状が悪化しているケースが見られます」と川本先生は言います。
「コロナ禍での精神的なストレスから、あらゆる刺激に対して普段より過敏になってしまっている方が増えています。これまでの花粉症に加えて、さらに違うアレルギーの症状(違う種類の花粉に対する花粉症も含む)を発症する例が増えました。
それから、便秘や下痢などを訴える人が多いことにも注目しています。腸も過敏になっているのです。このように、花粉症だけでなく、複数の悩みを並行して訴える方が増えています」(川本先生、以下同)。
ストレスは万病のもとですが、アレルギー症状にも深く関係しているんですね。
◆盲点2:マスク着用による口呼吸で、 アレルゲンをダイレクトに吸い込んでいる!?
マスクによる息苦しさで、ついつい口からの呼吸になりがちな昨今。鼻呼吸だと、花粉やホコリなどの異物は鼻の繊毛や粘液である程度ブロックされるのに対して、口呼吸だとアレルゲン(花粉などのアレルギーの原因となる物質)がダイレクトに体内に入ってしまいがちだといいます。
「体内に入ったアレルゲンは、腸でリンパ球と反応してアレルギー反応を起します。実はあらゆるアレルギーが発症する場所は、腸だということがわかっています。ですから、なるべく腸までアレルゲンが届かないようにすることが大切。もう一つ重要なことは、腸内環境を整えておくことです。そのために食事にも気を配ってください」
◆盲点3:不安、ストレス、睡眠不足で免疫バランスが崩れる
コロナ禍のストレスや、テレワークの不規則な生活で、「よく眠れない」と訴える人がとても増えているそうです。
「これは自律神経の乱れによるもの。このような状態が続くと、免疫システムのバランスが悪くなり、花粉症などのアレルギー症状も悪化してしまうのです」
では、コロナ禍のなかでの花粉症対策は、どうしたらいいのでしょうか? 教えて、川本先生!
◆対策1:ストレスマネジメントで自律神経を整える
「自律神経を整えることで、免疫バランスも整い、花粉症などのアレルギーの症状は改善します。それにはまず生活習慣を整えることが大切です」
適度に体を動かす、できる範囲で人とコミュニケーションをとる、ちゃんと食べて寝る。それが心身に良いのはわかるのですが、ついつい自堕落な生活をしちゃうんですよね…。
◆対策2:口から花粉を吸い込まない&早めの対策を
花粉症対策では、当然ながら、花粉をなるべく吸い込まないことが基本。コロナ対策で換気をする時には、家でもマスクをつけて窓を開けましょう。また、前述のような理由で、「なるべく鼻から呼吸することを意識する」のも大切だそうです。
◆対策3:免疫システムのかなめ、腸を整える食事を
近年の研究で、免疫をつかさどる細胞の6〜7割が腸にあることがわかっているそうです。
「ですから腸内環境を整える食事を心がけることは、花粉症対策として大変有効です。腸に良い働きをする菌(プロバイオティクス)をヨーグルトなどの発酵食品でとり、それらの働きを助ける食品(プレバイオティクス)も一緒にとるように心がけましょう。水溶性食物繊維の多いもの(オクラ、山芋、海藻、ごぼうに含まれる)、善玉菌を増やす働きをするフラクトオリゴ糖(新玉ねぎ、トマト、バナナに含まれる)などがおすすめです」
実は、わたくし女子SPA!編集部のマスダもこの5年ほど腸活にいそしんでいますが、フラクトオリゴ糖は激推しで、毎日摂ってます。食材から摂るほか、フラクトオリゴ糖を使った食品、シロップもあり、我が家では砂糖をぜんぶフラクトオリゴ糖に置き換えました。
フラクトオリゴ糖は、オリゴ糖の一種で、新玉ねぎ、トマト、バナナ、ごぼう、にんにく、アスパラなどの食品にも含まれています。砂糖に近い自然な甘さで、カロリーは砂糖の半分ぐらい。さらに腸内で善玉菌のエサとなって、腸内環境を整えてくれるんです。また、糖として吸収されないため血糖値が上がりにくいそうで、ダイエッターにも嬉しいですよね。
◆花粉症は、腸から対策しよう
花粉症対策というと、つい鼻や目のケアに意識がいっちゃいますよね。ですが、川本先生が言うとおり、ポイントは免疫システムで、そのカギを握るのは腸。
腸に良い菌と、そのエサになるものをせっせと摂って、腸内環境を整えたいと思います!
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みなと芝クリニック・院長。
筑波大学医学専門学群卒業、同大学院医学研究科修了。筑波大学附属病院の消化器外科で、内科医よりも内科的な外科医をめざす。筑波大学臨床医学系外科(消化器)講師、米国テキサス大学MDアンダーソン癌センター客員講師歴任後、現東京女子医科大学消化器病センター外科非常勤講師、東邦大学医学部客員講師。2010年みなと芝クリニック開院。消化器系をメインに内科から外科一般に加え、皮膚科、整形外科、肛門外科まで、 幅広い診療を行なっている。
<文/女子SPA!編集部>
【女子SPA!編集部】
大人女性のホンネに向き合う!をモットーに日々奮闘しています。メンバーはコチラ。twitter:@joshispa、Instagram:@joshispa
川本 徹 先生】
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