マイクロプラスチック、人間の血液内で発見される…その影響は今のところ「何も分かっていない」
- 22人を対象とした新しい研究で、マイクロプラスチックが初めて人間の血液中で発見された。
- これは、人体がプラスチックを吸収し、それが血液を通じて循環していることを示す初めての証拠だ。
- この研究の対象はプラスチックへの添加物だったため、人体へのリスクはまだ明らかにはなっていない。
爪よりも小さく、完全に分解することのないプラスチックの破片、マイクロプラスチックはすでにどこにでもあるように思われる。マリアナ海溝やエベレストの頂上、ほこりや食べ物や飲み水、人間の胎盤や哺乳瓶からも発見されている。
そして今、科学者たちは人間の血液の中からマイクロプラスチックを発見した。
2022年3月24日にEnvironment International誌に発表されたオランダの研究で、健康な成人22人のうち、17人の血液中からプラスチック粒子が検出された。対象は少人数であるが、この種の研究は初めてである。
この研究に関与していない、アリゾナ州立大学環境健康工学バイオデザイン・センター所長のロルフ・ハルデン(Rolf Halden)は、Insiderに対し、「今回の研究は、プラスチックポリマーが血流に侵入しているという、まさに最初の証拠で、これが何を意味するのかは未だかなり不確かだが、不安なニュースではある」と述べている。
2019年の分析によると、我々が食べるもの、飲む水、吸う空気にマイクロプラスチックが含まれているため、アメリカ人は平均で毎年約5万個のマイクロプラスチック粒子を摂取し、ほぼ同量を吸い込んでいるという。2021年の別の調査では、人間は毎週平均して、クレジットカード1枚分のプラスチックを摂取していると推定されている。
他の研究では、幼児や大人の大便からプラスチックが発見されているが、それは吸収されずに消化器官を通過した粒子に過ぎない。マイクロプラスチックがヒトの胎盤に存在することは、それが血液を介して移動していることを示唆していたが、それは直接的な証拠ではなかった。今回の研究成果は、プラスチックが人間の血流に吸収され、全身に行き渡ることを示す、最初の決定的な証拠である、とハルデンは述べている。
アムステルダム自由大学に勤務しながら、今回の研究を主導した化学者で生態毒性学者のヘザー・レズリー(Heather Leslie)は、「これは、(マイクロプラスチックが)消化管を通過するだけではなく、長く体内に留まっているということだ」とInsiderに語った。
それが人体にどのような影響を及ぼすかは不明だ。しかし、レズリーたちは、人間の血液中にプラスチックが存在することを証明することで、健康への潜在的な影響に関する研究のための資金をより多く集めたいと考えている。
今回の論文を共同執筆した自由大学の化学者、マルジャ・ラモリー(Marja Lamoree)はInsiderに対し、「結局、我々全員が影響を受けているだろう」と語っている。
そして、「ただし、体内のマイクロプラスチックが危険かどうかを判断するのは早計だ」とも述べている。