ノロウイルスはO型の血液型を好む 数々の人体実験で判明【血液型と病気】
試しにネットで「組織血液型抗原」と検索してみてください。おそらく上位にノロウイルスとの関係を扱った資料やページがずらりと並ぶはずです。
ノロウイルスとは言うまでもなく、冬の食中毒の原因として有名なウイルスです。ワクチンも治療薬もなく、発病すると下痢や嘔吐が2~3日続きます。なかなか不愉快な病気ですが、水分と電解質さえ補給していれば(スポーツ飲料などが最適)、ほとんど問題なく回復します。
ノロは1960年代に発見された、比較的新しいウイルスです。人間だけにしか感染しないため、動物実験ができず、生身の人間にウイルスを飲ませる人体実験が数多く行われてきました。それらの結果から、ノロウイルスはとくにO型を好むことが分かってきたのです。
たとえば2002年にアメリカの研究チームが51人のボランティアにノロウイルスを飲ませて、感染した人数と発病した人数を調べました。その結果、O型はA型と比べて10倍も感染リスクが高いことが示されたのでした。
さすがにサンプルが少なすぎて、数字の信頼性は低いですが、その後の人体実験や疫学調査などから、O型はその他の血液型よりも1.5倍ほどノロウイルスに感染しやすいことが明らかになりました。
ただしこれは、分泌型(組織血液型抗原を有する人)に限ります。組織血液型抗原がA型、B型、AB型の人がノロウイルスに感染するリスクはほとんど同じで、O型の人だけリスクが1.5倍高いのです。
では非分泌型(組織血液型抗原がない人)はどうかというと、ノロウイルスにはほとんど感染しないことも確認されています。
ただし、ウイルスの株によっては、A型を好むことも知られています。たとえば2003年1月に北海道の小中学校で発生した集団食中毒では、A型の感染リスクが最も高かったことが分かっています。
分泌型の人の胃腸の粘膜細胞には、組織血液型抗原(血液型糖鎖)がびっしりと植わっています。しかし非分泌型ではそれがありません。そのことから、ノロウイルスは組織血液型抗原を利用して感染を成立させていることが推測され、分子生物学的な研究を通して確認されています。ウイルス表面のタンパク質が、人の粘膜細胞の組織血液型抗原を認識して結合しているのです。
また最近、培養細胞を使った実験方法が確立されつつあるため、ノロウイルスと血液型の研究がさらに進むことが期待されています。
(永田宏/長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授)
ノロウイルスとは言うまでもなく、冬の食中毒の原因として有名なウイルスです。ワクチンも治療薬もなく、発病すると下痢や嘔吐が2~3日続きます。なかなか不愉快な病気ですが、水分と電解質さえ補給していれば(スポーツ飲料などが最適)、ほとんど問題なく回復します。
ノロは1960年代に発見された、比較的新しいウイルスです。人間だけにしか感染しないため、動物実験ができず、生身の人間にウイルスを飲ませる人体実験が数多く行われてきました。それらの結果から、ノロウイルスはとくにO型を好むことが分かってきたのです。
たとえば2002年にアメリカの研究チームが51人のボランティアにノロウイルスを飲ませて、感染した人数と発病した人数を調べました。その結果、O型はA型と比べて10倍も感染リスクが高いことが示されたのでした。
さすがにサンプルが少なすぎて、数字の信頼性は低いですが、その後の人体実験や疫学調査などから、O型はその他の血液型よりも1.5倍ほどノロウイルスに感染しやすいことが明らかになりました。
ただしこれは、分泌型(組織血液型抗原を有する人)に限ります。組織血液型抗原がA型、B型、AB型の人がノロウイルスに感染するリスクはほとんど同じで、O型の人だけリスクが1.5倍高いのです。
では非分泌型(組織血液型抗原がない人)はどうかというと、ノロウイルスにはほとんど感染しないことも確認されています。
ただし、ウイルスの株によっては、A型を好むことも知られています。たとえば2003年1月に北海道の小中学校で発生した集団食中毒では、A型の感染リスクが最も高かったことが分かっています。
分泌型の人の胃腸の粘膜細胞には、組織血液型抗原(血液型糖鎖)がびっしりと植わっています。しかし非分泌型ではそれがありません。そのことから、ノロウイルスは組織血液型抗原を利用して感染を成立させていることが推測され、分子生物学的な研究を通して確認されています。ウイルス表面のタンパク質が、人の粘膜細胞の組織血液型抗原を認識して結合しているのです。
また最近、培養細胞を使った実験方法が確立されつつあるため、ノロウイルスと血液型の研究がさらに進むことが期待されています。
(永田宏/長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授)
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