あなたの健康はお金で買えますか・・・? “何となく不調”は疲れを取るチャンス、4つの体質別「疲労解消法」とは
fc2ブログ

“何となく不調”は疲れを取るチャンス、4つの体質別「疲労解消法」とは

レビュー

 現代人は疲れている。そのため、テレビや雑誌やインターネットを見れば、疲労ケアの情報や提案が盛りだくさんだ。「これを食べると疲れに効く」というものから、スポーツやアウトドアでリフレッシュしようというものまで、バリエーションもさまざまである。

 しかし、「『誰にでも効く疲労回復法』はない」、と著者は本書『寝てもとれない疲れをとる本』冒頭で断じている。一人ひとりの体質や性格は違うのだから、それぞれに効果のある疲労のとり方もまた違うのだという。たとえばスタミナをつけようと焼肉を食べたら胃もたれしてしまった、というケースのように、疲労をとろうとして自分に合わない方法を選んでしまえば、かえって疲れが溜まるということになってしまうそうだ。

 著者は多くのエグゼクティブやクリエイターを顧客に抱える鍼灸師である。本書では、東洋医学の知恵を活かした疲労のとり方を解説しているが、その語り口は西洋医学の視点もふまえており、現代的でわかりやすい。具体的には、本書は体質タイプを見極める特製チャートに従って、実際に自分の体質を知るところからはじまる。体質別の詳しい疲労回復方法とともに、体をいたわるための東洋医学の考え方を学べるようなつくりになっている。

 日々の疲れがなかなかとれないという方は、本書を通して、自然な体の治癒力を活かす回復方法を取り入れてみてはいかがだろうか。(池田明季哉)

本書の要点

(1)「疲労」は、溜まったまま放置すれば人生のリスクにもなり得る。「疲れてもすぐ回復する体」をめざし、まずは自分の体質を知り、自分の体に合った方法で疲れをとろう。

(2)胃腸に負担をかけないように食べることは、疲れにくい体をつくるためにとても大切だ。また、疲れているときに刺激するとよい味覚は、体質によって酸味がよい、甘味がよいなど異なる。

(3)自分自身が「フィールグッドな状態」であるかどうかという感覚を大切にし、心身のサインに気づけるようにしよう。体質に合わせて体の疲れをとるようにすれば、自然と心の疲れもとれていく。

要約本文

◆本当に効く疲労ケア

◇「何となく不調」なときこそ東洋医学の出番

 仕事や人付き合いに時間を割くことの多い現代人が抱える疲れは深刻で、自然に回復できる範疇を超えている人も多く存在する。そして、疲れは、放置すれば仕事のパフォーマンスや質を低下させるのみならず、寿命を縮めることにもなりかねない。疲れの放置は、「人生のリスク」なのである。

 日本では「何となく体調が優れない」という理由で病院を受診する人が多いが、具体的な症状もなく病院に行くという感覚は「東洋医学」の影響を少なからず受けた名残であると言われている。じつはこの「何となく不調」な状態こそ、東洋医学の見地からすると、疲れをとるチャンスなのだ。「病気になってから対処する」西洋医学に対し、東洋医学は、「病気になる前に対処する」のである。

◇東洋医学で「疲れてもすぐ回復する」体をめざそう

 疲れが積み重なっていくほどに体を動かすのが困難になるのは、新陳代謝が下がることが原因である。つまり、エネルギーの伝達や血液やリンパ液の流れが悪くなり、不要物が体から排泄されにくくなっている状態だ。東洋医学ではこのように疲れが溜まるイメージを「流れが滞る」という言葉で表現する。

「疲れやすい」とは「流れが悪い」ということであり、例えば一日中パソコンに向かって同じ体勢をとっていると筋肉的にも気分的にも停滞し流れが悪くなるが、30分に一度、ほんの10秒だけでも立ち上がったり姿勢を変えたりすることで、滞った「氣(新陳代謝)」が流れ出し、能率はよくなる。

 ただし、活動すれば疲れるのは自然なことであるので、「疲れない」のでなく、「疲れていてもすぐ回復する」体をめざすべきだ。東洋医学では心身に起こる様々な変化を受け入れることで、よい状態が保てると考える。「しなやかに揺れながら元に戻る」ことを基本に、溜まった疲れを流す体質別のコツを掴んでいこう。

【必読ポイント!】

◆体質別・疲労解消法

◇4つの体質で知るあなたの「体の個性」

 疲れについて、本書の一番のポイントは、「誰にでも効く疲労回復法はない」ということである。「疲れ方や疲れの感じ方は人それぞれ」であり、メディアでステレオタイプ的に報道されている「疲れのとり方」は、体質によって合わなかったり、そもそも根本的な疲れの回復に至らないものであったりする。

 体質は、傾向で大きく分けるとほとんどの人が4つのタイプのどれかに当てはまる。東洋医学では体の働きを5つに分類したものを五臓(肝・心・脾・肺・腎)と呼び、自然界の「木・火・土・金・水」という性質にあてはめている。本書では五臓から「心」を抜いた4つと対応する「木・土・金属・水」を扱い、タイプ分けをしている。これらは生活環境によって変化したり、人によっては2つ以上のタイプが混ざったりすることもある。さらにどのタイプも加齢によって徐々に「水」タイプの傾向が強くなっていく。

 簡単に紹介すると、「木」タイプはリーダー気質のハードワーク型、「土」タイプはおっとりしたマイペース型、「金属」タイプは空気をよく読むロマンチスト型、「水」タイプは愛され上手の要領よし型だ。「木」タイプは過労になりやすかったり、「土」タイプは疲れやストレスが口の周りや胃腸の働きにあらわれたり、と、疲れ方もタイプによって変わってくる。

◇「いい感じ」という直感を大切にする

 本書で紹介する「体質」は体の働き方の偏りのことを指す。根深い疲労であっても、体のクセが出ているだけなので、病院で検査を受けても異常が見つからないということがある。それだけに、健康と病気の境目にはいつも「自覚」というセンサーを働かさなければならない。その際、私たちが直感として感じる「いい感じ」と「イヤな感じ」といった感覚、つまり自分自身が「フィールグッドな状態」であるかどうかが重要な指標となる。心地よい状態にあると、体はおのずと元気を取り戻す。

 東洋医学の目的は、それぞれの体質に合った治療を行い、病気という過剰な偏りを調節して、患者の持っている体質へおさめることである。今の体質を批判的に捉えて「変えよう」「改善しよう」と望むより先に、まずはその体質とうまく折り合い、毎日をより快適にする方法を考えよう。

◆スタミナと元気を生み出す「食養生」

◇胃腸に負担をかけないように食べる

「食」がその人の体や健康に大きく関わるということは、洋の東西を問わず昔から言われていることだ。私たちの体の組織、活動するときのエネルギーのほとんどは、口に入れたものからつくられている。つまり、「食」を見直すことは、溜まった疲れを解消し、さらには疲れにくい体をつくるための近道なのだ。

 食を通して健康を考えるとき、私たちは「何を食べるか(食品・食材)」に目を向けがちだ。しかし、「何を食べるか」は、じつは家庭や地域の文化や習慣、社会的、経済的な影響によって「決められて」いるので、自分でそこまでコントロールできるものではない。そこで、「何を食べるか」を考えるよりも手っ取り早く効果的な疲労回復方法は、自分の胃腸に負担をかけないように「食べ方」を変えることである。

 東洋医学の基本的な考え方によると、胃腸をしっかり休めると働きが活発になり、消化・吸収がスムーズになる。胃腸を休めるための効果的な方法は、消化器官が働き続けなくてよいように「胃を空っぽ」にすることだ。著者おすすめの方法は、その日の胃腸の調子に合わせて、1食抜いてみたり、軽めの3食にしたりすることである。加えて、夜遅くに食べない、「早食い」や「ながら食い」をやめることで、胃腸は疲れにくくなる。味わって楽しく食べることに集中し、食事の時間を気持ち良く過ごすことがもっとも胃腸にやさしい健康法と言える。

◇「どんな味をとるか」で疲労解消!?味覚のルール

 東洋医学には「五味帰経(ごみきけい)」という考え方がある。「五味」とは酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(しおからみ)であり、「帰経」とは気の流れに作用するという意味である。つまり、「味覚によって体を健康にする」ということだ。

 疲れているときに刺激するといい味覚は、前述の体質タイプ別に異なる。その知識を使えば、たとえ時間がなくてコンビニで食べ物を調達するにしても、心身を癒すことができる。具体的には「木」のタイプは酸味を、「土」タイプは甘味を、「金属」タイプは辛味を、「水」タイプは鹹味(塩味と苦味)をとると疲労回復に効く。

◆「疲れを溜めない体」をつくるためのちょっとしたコツ

◇帰宅後は、入浴→食事の順番で

 東洋医学では、「陽」が生まれれば同じだけ「陰」が生まれ、相殺されることでバランスの良い状態に落ち着くと考えられている。この考えに則ると、疲れ(陰)は日々の活動(陽)で生み出されるごく自然なものであると言える。

 本書では簡単にできる「疲れの予防策」や「ダウンする前に休む知恵」を紹介しているが、ここではその中からいくつかをとりあげてみよう。

 たとえば、外出してから寝るまで、食事と入浴を済ませる習慣の人は多いと思われるが、疲れやすい人や疲れが溜まっている人は、この順番を「入浴」→「食事」、に変えてみるとよい。

 東洋医学に「昼は筋肉を働かせ、夜は内臓を働かせる」という基本的な考え方がある。言い換えれば、それぞれ、交感神経を働かせる時間と、副交感神経を働かせる時間ということだ。

 食事より入浴を先に済ませれば、「食事=副交感神経モード」、「入浴=交感神経モード」、「就寝=副交感神経モード」であるので、交感神経から副交感神経への切り替えがシンプルになる。そのほうが、体はスムーズに休息に入ることができ、効率のいい回復ができるのだ。

◇効果的な息抜きを

 また、息抜きを上手にすることも大切である。デスクワークでずっとパソコンと向き合っている時間は、東洋医学的にいうと「滞った」状態だ。1つの事柄に集中していると交感神経が優位に働き、体は緊張状態になる。そのようなときは、深呼吸などの動作はもちろん、ひと休みも効果的な体へのアプローチになる。

 このとき気をつけなければならないことは、「仕事をしながら息抜き」はできないという点である。「デスクワークをしながらコーヒーを飲む」のではなく、デスクから離れて一服したり、ランチをとる店を開拓したり、おやつの時間をとるなど、「いつもと違うこと」にチャレンジして明確な気分転換の時間をとるようにしよう。

 また、短時間の休憩を多くとりたい人、まとめて休みたい人など、ちょうどいい休憩は人それぞれだ。自分が「フィールグッド」と感じる息抜きの仕方を見つけよう。

◆「体が軽くて気分爽快!」東洋医学のすごい力

◇「休息のタイミング」を見逃さない、隠れたチェックポイント

 もともと私たちの心身は、疲れれば回復し、病気やケガになれば治ろうとするようにできている。その修復する力を最大限に引き出すためには、体が必要としているタイミングを見極め、しっかり「休む」ことが大切だ。

 ただ、自分の感覚を大切にしていれば休息のタイミングに気づけるが、何かに一生懸命になっているとつい心身のサインを見逃してしまうことがある。

 鍼灸師が使う、「主観的な感覚に頼らない疲労度合いの見極め方」では、「手足のほてり」がひとつのサインであるという。体調が悪くなったり、疲れが溜まったりすると、何だか熱っぽくなることがある。熱はないのに熱っぽいというときは、体が休息不足を訴えていると捉えたほうがよいだろう。

 疲労のサインに気づいたところで、しっかり対処法をとらなければと過剰に気にしてしまう人もいるが、今度はそれが疲れの原因になってしまうこともある。体は基本的に自然治癒できるようになっているのだということを忘れず、自分が「フィールグッド」と感じられる状態を大切にしよう。

◇体が回復すれば、心はいつも元気でいられる

 東洋医学は、皇室や貴族のために500年近い年月をかけてつくられてきた医術である。そのため、もともとは「体の痛み」よりも、宮中人事などによって引き起こされた「ストレス疾患」や「心の疲労」が治療の対象だった。

「鬱」とは「滞る」という意味である。心も、「流れ」「変化」がなくなると疲れてしまうのだ。東洋医学では、体質によって性格(気質)も異なると考えられており、体質に合わせて習慣を変えていくことで自身の心にも変化が訪れる。体質に合わせて体の疲れをとれば、自然と心の疲れもとれていくのである。

一読のすすめ

 要約では全体的なコンセプトを紹介することに努めたが、本書では体質別に、詳しく具体的で実践しやすい疲労回復方法が紹介されている。また、本書内のコラムにも、「栄養ドリンクでは疲れを回復できない」「スポーツドリンクには効果の違う2種類がある」ことなど、目を引く内容が盛り込まれており、充実している。通読すれば自分に合った疲労回復方法を生活に取り入れることができるだろう。

評点(5点満点)

総合3.8点(革新性3.5点、明瞭性4.0点、応用性4.0点)

著者情報

 中根 一(なかね はじめ)

 Google Japan前名誉会長・村上憲郎氏、「孫正義氏の右腕」と名高い元SoftBank Group株式会社CEOプロジェクト室長(現・SBエナジー株式会社代表取締役社長)・三輪茂基氏、元世界銀行本部人事カウンセラー・中野裕弓氏、 政治家や有名俳優、日本を代表するジャズミュージシャンなど、数多くのトップエグゼクティブやトップクリエイターの「お抱え鍼灸師」。

 1970年生まれ。京都・四条烏丸「鍼灸Meridian烏丸」院長。ロート製薬「SmartCamp東京・うめきた」ケア鍼灸監修。鍼灸学術団体の中で、格式・規模ともに最大級である「経絡治療学会」の歴代最年少理事に就任した、日本の東洋医学の第一人者。

 自身も最前線で診療に当たる傍ら、鍼灸学校などにおいて後進の育成にも積極的。「生き方を変える力を持つ」東洋医学の可能性についての講演は、全国から厚い支持を得ている。

 本書では、東洋医学・西洋医学両面からの知識と、これまでのべ2万人を超える人々に行なった施術経験をふまえて、現代人に常態化している「疲労」の解消法を体質別に提案。つらい疲労を今すぐラクにする即効メソッドから、根深い疲労をしっかり解消して「疲れにくい体」になるための生活習慣まで、幅広く紹介する。

http://hajime-nakane.com/

(1冊10分で読める要約サービス flier

関連記事
おススメサイト!
最新記事
スポンサーリンク
★★互助会推薦★★
QRコード
QR
カテゴリ
ランキング
ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ