あなたの健康はお金で買えますか・・・? 「プロテイン」ブームも間違った飲み方で逆効果も 意外と知らない“適切な摂取法”
fc2ブログ

「プロテイン」ブームも間違った飲み方で逆効果も 意外と知らない“適切な摂取法”

筋トレブームと言われる昨今、“筋肉の素”となるプロテイン市場が熱い。ただ、効果的な飲み方や、そもそも飲む必要があるのかについて知識不足の人も多く、一歩間違えば肥満など逆効果となる恐れもある。どんな摂取方法が適切なのか。筋肉とタンパク質の関係に詳しい専門家に聞いた。

*  *  *

 コロナ太り解消でトレーニングを始めた人が増えたこともあり、プロテイン市場が絶好調だ。ドラッグストアや量販店にはプロテイン商品を並べたコーナーがつくられ、お菓子やドリンクなどもタンパク質の量を強化した商品が登場している。

 民間調査会社の「富士経済」によると、2020年の国内の粉末プロテイン市場は817億円で前年比16・4パーセント増。21年は前年比13・8パーセント増の930億円(見込み)と2ケタ成長が続く。26年には1500億円に達すると予測している。

 また、コンビニなどでもおなじみとなった、タンパク質を強化した菓子や飲料などの「たんぱく補給食品」の市場は、11年の558億円から21年は2216億円(見込み)にまで拡大。ブームはやむ気配がない。

 ただ、心配なのはその摂取の仕方だ。

 とあるスポーツジムをのぞくと、全身の筋トレ後、シェイカーにたっぷりと粉末を入れ飲み干す若い男性の姿が。自転車型トレーニング器具を30分ほどこいで軽い負荷の筋トレを少しこなした後、15グラムのタンパク質が入った市販の飲料を飲んでいた中高年の男性もいた。

「身体が細いからもっと筋肉をつけたい」「年を取ると筋肉が減るから補強したい」などジムに通う理由はさまざまだが、本当にそのプロテインは適量なのだろうか。

「がんばって取り組んだトレーニングの効果を少しも無駄にしたくないと、プロテインをたくさん飲みたくなる気持ちはよくわかります。精神的には安心しますよね。ただ、私の授業を受けている学生にもいますが、知識不足のまま、むだに多くプロテインを飲んでしまっている方が多いのは事実です」

 そう話すのは滋賀県立大学の中井直也教授(運動栄養学)。筋肉づくりとタンパク質の関係などについて、長年研究している。

 中井教授によると、私たちの体内のあらゆるところで、タンパク質は常に合成と分解を繰り返し、バランスを保っているという。その中で、筋肉を構成しているのが「筋タンパク質」だ。

 筋トレ後、タンパク質を摂取すると、その「筋タンパク質」の合成が高まる。タンパク質の消化・吸収により、筋肉の原料となるアミノ酸の血中濃度が上昇するからだという。これが筋肉が増える仕組みである。

 厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年)」では、1日のタンパク質の摂取推奨量は成人男性で65グラム(65歳以上は60グラム)、成人女性は50グラムである。

 では、運動をしている人としていない人ではどうか。

 中井教授が示した海外の研究によると、体重1キログラムあたりに必要な一日のタンパク質の量(単位はグラム)は、以下の通り。

・運動をしていない人=0・8

・週4~5回、30分程度の筋トレ=0・8~1・1

・激しい筋トレをしている人=1・6~1・7

・激しい持久性トレーニングをしている人=1・2~1・4

 つまり、スポーツ選手並みのトレーニングをしている人は、運動をしていない人の1・5~2倍のタンパク質を取る必要があるということだ。

 中井教授は、「まずは、普段の食事でどれだけのタンパク質がとれているか。そして自分の体重、運動習慣と照らし合わせ、適切な量は何グラムくらいかを調べ過不足を確認してほしい」と話す。

 タンパク質は肉や魚、豆類、乳製品などに多く含まれる。ただそれだけでなく、白米やパン、麺類などの食品にも含まれており、うっかり過剰摂取になってはいないか気を付ける必要がある。中井教授はこう強調する。

「誤解されている方がいるかもしれませんが、プロテインは筋トレの効果を飛躍的に高めてくれる魔法のような食品ではありません。過剰に摂取したタンパク質は肝臓で脂肪に変わります。食事で十分にとれているのに、さらにプロテインを飲むと太ってしまうのです」

 肥満以外の心配もある。

 厚労省はタンパク質の摂取量の上限は示しておらず、過剰摂取による健康被害も今のところ報告されていない。だが、余分なタンパク質は肝臓で脂肪や尿素に変わる。さらに尿素は腎臓で尿中に排出する必要がある。長期の過剰摂取により臓器に負担がかかり、将来的に何らかの悪影響を及ぼすのではないかとの指摘もある。

 では、どのように摂取するのが望ましいのか。

 中井教授によると、摂取のタイミングはトレーニングの後が基本。ただ、筋肉を大きくする効果的なとり方については諸説あるという。

「海外の研究で、数年前までは筋トレ後、すぐにタンパク質を補給した方が、筋肉が大きくなりやすいとされていました。ただ、その後、海外の別の研究で、筋トレ後、筋タンパク質の合成は24~48時間にわたり高い数値が続くことが分かり、タイミングよりもその間に取るタンパク質の総量が重要だとの研究結果が報告されたのです」(中井教授)

 また、必要なタンパク質をまとめてとるか、分けてとるかについても海外で研究がなされているという。

 仮に、筋トレ後、80グラムのタンパク質が必要だとすると、「10グラムを8回」「20グラムを4回」「40グラムを2回」、と異なるとり方をした場合、20グラムが「筋タンパク質」の合成がもっとも高かった。

「あくまで筋トレ後の短い時間で『筋タンパク質』の合成がどうなったかを研究したもので、長期的な筋肥大への影響については、まだ研究が少ないのが実情です。ですが今は『筋トレ後の24~48時間以内』に『必要なタンパク質を何回かに分けて摂取する』という考え方が主流になっています。

もしプロテインを使うなら筋トレ後、プロテインで20~30グラムのタンパク質をとり、その後、24~48時間以内に、必要なタンパク質を何回かに分けて食事でとることが効果的ではないかと思います」(中井教授)

 脂肪や糖質、塩分も少なく、手軽に栄養をとれるプロテインは便利だ。運動をしていない人でも、忙しくて朝食をとらない場合などは、プロテインで一食に必要なたんぱく質を補ってもいいという。

 一方で、飲み方を誤ればリスクも生じる。

「飲みすぎは、なによりお金がもったいないですよね」(中井教授)

 お金が減って脂肪が増えてしまっては、冗談にもならない。プロテインに過剰な期待をする前に、まずは自分に必要なタンパク質の量と、現在の摂取量を調べることから始めたい。(AERAdot.編集部・國府田英之) 

関連記事
おススメサイト!
最新記事
スポンサーリンク
★★互助会推薦★★
QRコード
QR
カテゴリ
ランキング
ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ