【ベストセラー健康法】「炎症」を抑えて老化を治療 医学的な最新知見を解説
早く年を取りたい人間などいない。いつまでも若くいたいというのは人類共通の願いだ。そんな「老化」が「治せる」となれば、ちょっと話を聞こうか-と、ひと膝乗り出そうというもの。今回はそんな夢のある1冊を紹介する。
今回紹介する『老化は治せる』(集英社新書)の著者、後藤眞(まこと)氏は、東京女子医科大学客員教授で医学博士。専門分野は「老化学・内科学」で、ウエルナー症候群などの早老症治療の研究と臨床にあたる「老化研究の第一人者」だ。
そんな後藤氏が著した本書は、「老化」のメカニズムを医学的見地から検証し、その原因に対して医学的な対策を講じることで、人類にとっての究極の悩みを解決できると論じている。
著者が本書の冒頭でズバッと言い切っているのが、「老化は炎症によるもの」。炎症とは自分自身の体を守るために、体が本来備えている自己免疫システムの働きによって生じる現象。
そんな炎症にも種類がある。著者の分類は4つだ。すなわち、体内に侵入してきた外敵を排除しようとして免疫機構が作動することで起きる「急性炎症」、炎症自体が炎症を継続させ、自分自身の体を傷めつけようとする「慢性炎症」、慢性炎症の中でも、
体内などに当たり前のように存在する常在菌によって発症するものの、日常生活にほとんど影響を与えない「弱い炎症」、そして細胞の中で行われている代謝活動から発生する老廃物の処理過程や免疫システムによる排除処理過程で起きる非常に弱い炎症(「自然炎症」)の4種類だ。
このうち最後の自然炎症は、そこで生まれる熱が、人間が生きていく上で必要なエネルギー源になっていることもあり、必要不可欠な炎症ということができる。
とはいえ、成長過程においては、そうしたエネルギーも必要だが、ひとたび成熟してしまえばエネルギーも過剰となり、この余ったエネルギーが自分の体を攻撃し始める。これを指して著者は「老化」と呼ぶ。
4つの炎症のうち、自然炎症はその名の通り「自然に発生する炎症」なので、人間が自分で制御することはできない。しかし、それ以外の3つの炎症は「病気」なので、治療が可能。これを確実に抑え込んでいくことで、老化を防ごうというのが著者の考え方なのだ。
こうした炎症を抑止する方法として期待されるものとして、アスピリンに代表される消炎鎮痛剤や、抗酸化作用を持つサプリメントの利用などの可能性について、多くの紙幅を割いている。
特にアスピリンに対する著者の期待は大きく、単なる抗炎症作用以外の、疼痛緩和、血流改善、動脈硬化予防、がん予防、さらにはアルツハイマーの予防効果にも言及。「医療としての老化予防」に向けた可能性を指摘している。
「老化が『炎症という病気』によって推進されるという新しい知見を、日本で初めて平易に解説した本です。そして、炎症をできるだけ抑えることが、ずばり、老化の抑制と予防に直結することも、具体的に書かれています」(集英社新書編集部の服部祐佳氏)
高齢社会から超高齢社会へと突進する日本において、いかにすれば老化を防ぎ、健康長寿を手にすることができるのか。学んでおいて損はない。
■後藤式・老化予防のための五カ条
(1)亜鉛は多めに、塩分と糖分は少なめの食事を心掛ける
(2)低カロリーと低体温はOK
(3)老化予防運動の基本は、歩くこととスクワット
(4)見た目の若さは体の若さに直結するので、紫外線対策は万全に
(5)適度な飲酒と7時間程度の睡眠でストレス解消
今回紹介する『老化は治せる』(集英社新書)の著者、後藤眞(まこと)氏は、東京女子医科大学客員教授で医学博士。専門分野は「老化学・内科学」で、ウエルナー症候群などの早老症治療の研究と臨床にあたる「老化研究の第一人者」だ。
そんな後藤氏が著した本書は、「老化」のメカニズムを医学的見地から検証し、その原因に対して医学的な対策を講じることで、人類にとっての究極の悩みを解決できると論じている。
著者が本書の冒頭でズバッと言い切っているのが、「老化は炎症によるもの」。炎症とは自分自身の体を守るために、体が本来備えている自己免疫システムの働きによって生じる現象。
そんな炎症にも種類がある。著者の分類は4つだ。すなわち、体内に侵入してきた外敵を排除しようとして免疫機構が作動することで起きる「急性炎症」、炎症自体が炎症を継続させ、自分自身の体を傷めつけようとする「慢性炎症」、慢性炎症の中でも、
体内などに当たり前のように存在する常在菌によって発症するものの、日常生活にほとんど影響を与えない「弱い炎症」、そして細胞の中で行われている代謝活動から発生する老廃物の処理過程や免疫システムによる排除処理過程で起きる非常に弱い炎症(「自然炎症」)の4種類だ。
このうち最後の自然炎症は、そこで生まれる熱が、人間が生きていく上で必要なエネルギー源になっていることもあり、必要不可欠な炎症ということができる。
とはいえ、成長過程においては、そうしたエネルギーも必要だが、ひとたび成熟してしまえばエネルギーも過剰となり、この余ったエネルギーが自分の体を攻撃し始める。これを指して著者は「老化」と呼ぶ。
4つの炎症のうち、自然炎症はその名の通り「自然に発生する炎症」なので、人間が自分で制御することはできない。しかし、それ以外の3つの炎症は「病気」なので、治療が可能。これを確実に抑え込んでいくことで、老化を防ごうというのが著者の考え方なのだ。
こうした炎症を抑止する方法として期待されるものとして、アスピリンに代表される消炎鎮痛剤や、抗酸化作用を持つサプリメントの利用などの可能性について、多くの紙幅を割いている。
特にアスピリンに対する著者の期待は大きく、単なる抗炎症作用以外の、疼痛緩和、血流改善、動脈硬化予防、がん予防、さらにはアルツハイマーの予防効果にも言及。「医療としての老化予防」に向けた可能性を指摘している。
「老化が『炎症という病気』によって推進されるという新しい知見を、日本で初めて平易に解説した本です。そして、炎症をできるだけ抑えることが、ずばり、老化の抑制と予防に直結することも、具体的に書かれています」(集英社新書編集部の服部祐佳氏)
高齢社会から超高齢社会へと突進する日本において、いかにすれば老化を防ぎ、健康長寿を手にすることができるのか。学んでおいて損はない。
■後藤式・老化予防のための五カ条
(1)亜鉛は多めに、塩分と糖分は少なめの食事を心掛ける
(2)低カロリーと低体温はOK
(3)老化予防運動の基本は、歩くこととスクワット
(4)見た目の若さは体の若さに直結するので、紫外線対策は万全に
(5)適度な飲酒と7時間程度の睡眠でストレス解消