【これで私は助かった!】五十肩と思ったら“腱板断裂”で手術!
どんな病気も自己診断は危険だが、どうせなら重いと見積もった方が安全だ。「どうせすぐに治る」と思い込むと、意外な大手術に発展することがある。今回は「腱板(けんばん)断裂」のお話。
■佐藤雅之さん(53)=仮名=のケース
最初は「痛み」ではなく「違和感」でした。右の肩が、なんとなくしっくりとしない、関節の落ち着きが悪い-といった感覚でした。ところが次第にハッキリとした痛みに発展していき、好きなゴルフができなくなったんです。夜
寝ている間などには特に痛みを強く感じるようになり、次第に右の腕だけが上がらなくなってきました。
今、思えば、この時点で素直に病院に行けばよかったのですが、周囲のゴルフ仲間が「四十肩だな。俺もやったよ」とか、「もう50代なんだから五十肩だ」と言って心配しなくていいと思った。
聞けばみんな、放っておいたら自然に治ったというのです。そこで四十肩、五十肩の先輩たちの助言に従って、湿布を貼っておとなしくしていました。
ところが痛みが出てから3カ月が過ぎても、痛みは増すばかり。そこで病院の整形外科を受診し、MRIで肩を撮影した結果「腱板断裂」だとわかったのです。
しかも驚いたのは、手術を受けることになったこと。それでも医師は、「まだ内視鏡で手術ができる段階でよかった。
もう少し放置していたら、断裂部が拡大し、大きく切開して行う大手術だったんですよ」と言います。あの時は『四十肩だ』と笑っていた仲間を恨みましたね」。
それでも手術は成功し、3週間後には退院。その後もリハビリを続け、主治医からゴルフ再開の許しが出たのは半年後のことでした。
しかし、あの“違和感”がこんな病気の前兆だったとは驚きです。自己診断、素人判断の恐ろしさを痛感し、仲間ともども反省をしている次第です。
■医師はこう見る
麻生総合病院(川崎市麻生区)スポーツ整形外科部長・鈴木一秀医師
中年期に起きる肩の症状を、四十肩や五十肩と思い込んで、放置するうちに悪化するケースは、意外に少なくありません。
特に腱板断裂は、外傷により発症するというイメージが強いため、40-50代で疑う人は少ないのです。
佐藤さんのケースは、肩の腱板という、肩甲骨から上腕骨を支える4つの筋の集まりの一部が断裂していたようです。
腱板というのは、いわゆる「インナーマッスル」のことで、これが切れると関節での上腕骨頭の収まりが悪くなり、腕を上げることが難しくなります。
内視鏡で手術ができたということは、主治医が言っているように「重症になる前」だったということ。
そのまま悪化していたら、修復できないため、肩を大きく切開して、筋移行や筋膜移植などを選択しなければなりません。その意味で、早めに診断で下りて良かったと言えるでしょう。
佐藤さんが経験した「夜間の痛み」や「動作時の痛み」、「挙上障害」は、腱板断裂の特徴的な症状なので、こうした痛みがある時は、医師の診断を仰ぐべきです。
なお、「四十肩」「五十肩」と呼ばれる病気は、正式には「肩関節周囲炎」と言い、状態にもよりますが、自然に治っていくものもあります。
しかし、腱板断裂との判別は素人にはまず無理なので、痛みがある、腕が上がらない、などの症状があったら、一度は受診しておいたほうがいいでしょう。
■佐藤雅之さん(53)=仮名=のケース
最初は「痛み」ではなく「違和感」でした。右の肩が、なんとなくしっくりとしない、関節の落ち着きが悪い-といった感覚でした。ところが次第にハッキリとした痛みに発展していき、好きなゴルフができなくなったんです。夜
寝ている間などには特に痛みを強く感じるようになり、次第に右の腕だけが上がらなくなってきました。
今、思えば、この時点で素直に病院に行けばよかったのですが、周囲のゴルフ仲間が「四十肩だな。俺もやったよ」とか、「もう50代なんだから五十肩だ」と言って心配しなくていいと思った。
聞けばみんな、放っておいたら自然に治ったというのです。そこで四十肩、五十肩の先輩たちの助言に従って、湿布を貼っておとなしくしていました。
ところが痛みが出てから3カ月が過ぎても、痛みは増すばかり。そこで病院の整形外科を受診し、MRIで肩を撮影した結果「腱板断裂」だとわかったのです。
しかも驚いたのは、手術を受けることになったこと。それでも医師は、「まだ内視鏡で手術ができる段階でよかった。
もう少し放置していたら、断裂部が拡大し、大きく切開して行う大手術だったんですよ」と言います。あの時は『四十肩だ』と笑っていた仲間を恨みましたね」。
それでも手術は成功し、3週間後には退院。その後もリハビリを続け、主治医からゴルフ再開の許しが出たのは半年後のことでした。
しかし、あの“違和感”がこんな病気の前兆だったとは驚きです。自己診断、素人判断の恐ろしさを痛感し、仲間ともども反省をしている次第です。
■医師はこう見る
麻生総合病院(川崎市麻生区)スポーツ整形外科部長・鈴木一秀医師
中年期に起きる肩の症状を、四十肩や五十肩と思い込んで、放置するうちに悪化するケースは、意外に少なくありません。
特に腱板断裂は、外傷により発症するというイメージが強いため、40-50代で疑う人は少ないのです。
佐藤さんのケースは、肩の腱板という、肩甲骨から上腕骨を支える4つの筋の集まりの一部が断裂していたようです。
腱板というのは、いわゆる「インナーマッスル」のことで、これが切れると関節での上腕骨頭の収まりが悪くなり、腕を上げることが難しくなります。
内視鏡で手術ができたということは、主治医が言っているように「重症になる前」だったということ。
そのまま悪化していたら、修復できないため、肩を大きく切開して、筋移行や筋膜移植などを選択しなければなりません。その意味で、早めに診断で下りて良かったと言えるでしょう。
佐藤さんが経験した「夜間の痛み」や「動作時の痛み」、「挙上障害」は、腱板断裂の特徴的な症状なので、こうした痛みがある時は、医師の診断を仰ぐべきです。
なお、「四十肩」「五十肩」と呼ばれる病気は、正式には「肩関節周囲炎」と言い、状態にもよりますが、自然に治っていくものもあります。
しかし、腱板断裂との判別は素人にはまず無理なので、痛みがある、腕が上がらない、などの症状があったら、一度は受診しておいたほうがいいでしょう。