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100人規模の会社なら5人が患者 「大人のADHD」の症状とは


「大人のADHD」が少しずつ知られてきているが、それでもまだまだ浸透していない。国内でも珍しい専門外来を担当する昭和大付属烏山病院・岩波明院長に聞いた。

 ADHD(注意欠陥多動性障害)は発達障害の一種で、「注意の障害(不注意)」と「多動傾向」を主な症状とする。

 その具体的な症状として、不注意では「集中できない」「ケアレスミスが多い」「物の紛失、忘れ物が多い」「片付けが苦手」「約束を守れない」。多動傾向では「落ち着きがない」「一方的に話す」「激高したり、イライラしやすい」「衝動買いをよくする。金銭の計算が苦手」などがある。

 長く「子供の病気」と認識されてきたADHDだが、最近は「大人の病気」でもあり、むしろ子供の場合よりも深刻であることが分かってきた。

「ADHDは突然、発症するのではなく、子供の頃から症状が見られます。ただ、周囲のサポートなどでなんとか不適応を起こさずやってこられる人もいる。しかし、成人以降に社会との不適応が際立つようになるのです」

 患者数は成人の3~5%で、うつ病と同等かそれ以上。100人規模の会社なら3~5人はいる計算なので、想像以上に身近な病気だ。

 大人と子供では、特徴的な症状が多少違う。

「多動傾向は成長の過程でコントロールできるようになるため、大人では目立ちにくい。一方、不注意は継続します」

 Aさん(26)は、有名国立大卒業後、大手メーカーに就職した。配属された総務課で、重要な書類を置き忘れたり、約束をすっぽかすなど普通では考えられないミスを頻発。悩んだ末、書籍で知ったADHDを疑い、岩波院長の外来を受診した。

■発見のカギは小中学生の成績表

 デザイナーのBさん(28)は、会社員時代は「変人」と称されるも、独創的な発想でそれなりに受け入れられていた。ところが独立後、取引先との交渉や金銭のやりとりでトラブルを連発し、「デザインはいいが、仕事は一緒にしたくない」と言われるようになった。Aさんと同じく自ら調べ、岩波院長の治療を受けるようになった。

「ADHDによる不注意で、能力はあるのに低い評価を受ける。対人交渉が苦手になり、うつ病を発症する人もいます。また、多動傾向はなくなるわけではないので、それに関連した衝動性からアルコール依存症や薬物依存に走る人もいます」

 社会生活に影響を及ぼすほど不注意が目立つなら、大人のADHDかもしれない。特に、同時進行で物事の処理ができない。たとえば、「会議の書類を作っている時に、上司に別の仕事の話を振られると、書類作成の途中だったことを忘れる」「複数の仕事を並行してこなせない」「仕事中に同僚に話しかけられると、何をしていいか分からずパニック状態に陥る」などがあれば、可能性は高い。

 もうひとつ、チェックすべきポイントがある。子供の頃の行動だ。前述のように子供の頃から症状があるので、不注意、多動傾向に該当する「何か」が必ずある。

「私は、患者さんに小中学時代の成績表を見せてもらうことがよくあります。『落ち着きがない』『忘れ物が多い』といった担任のコメントが、ADHDを発見するカギになります」

 主な治療は服薬と認知行動療法。これらで「生きることが本当に楽になった」と話す人は実に多い。
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