あなたの健康はお金で買えますか・・・?  人類が登場するよりはるか昔、2億5000万年前から地球上に存在してきたゴキブリ。地上の王者として君臨してきたやつらに、想像を絶する新たな能力が発見された。
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 人類が登場するよりはるか昔、2億5000万年前から地球上に存在してきたゴキブリ。地上の王者として君臨してきたやつらに、想像を絶する新たな能力が発見された。

 人類が登場するよりはるか昔、2億5000万年前から地球上に存在してきたゴキブリ。地上の王者として君臨してきたやつらに、想像を絶する新たな能力が発見された。

 ニューズウィーク日本版(2019年7月3日付)に、「あらゆる殺虫剤に耐性を持つゴキブリが激増中」という記事が載った。米パデュー大学の昆虫学者マイケル・シャーフ教授が、家庭でよく見られるチャバネゴキブリに対して市販されている複数の殺虫剤を使って効果を検証する実験を実施したところ、殺虫剤に対する耐性は親から子へ遺伝し、たった一世代で耐性が4倍から6倍に上昇することを発見したという。

 記事には、〈驚異の生命力に、近い将来殺虫剤では殺せなくなるかもしれないと、研究者は警告する〉とある。

 あらゆる薬剤に対する耐性を身につけ、殺虫剤を浴びせても浴びせても、怯むことなくこちらに飛んでくるゴキブリを想像すると、もはやパニック映画の世界だ。人類とゴキブリの存亡をかけた戦いはいよいよ最終ステージに突入するのかもしれない。

 この記事に対して、ネット上ではさまざまな意見が飛び交ったが、その中に「ゴキブリは台所洗剤をぶっかけると窒息死する」という指摘が多数見られた。殺虫剤が効かないなら台所洗剤を使えばいいと。

 実は筆者も子供の頃、台所でゴキブリが出たときに、殺虫剤が手元になく、一緒にいた姉がパニクって台所洗剤をぶっかけたら、ゴキブリが死んでしまって驚いたという体験をしている。

それ以来、我が家では対G決戦兵器として台所洗剤が頻繁に出動するようになった。いざというとき、たいてい殺虫剤はどこに置いてあるのかわからなくて右往左往するが、台所洗剤は100%確実に流し台に存在しているからである。

 市販の殺虫剤では噴霧してもゴキブリはすぐに動きを止めず、ときに飛翔したりして阿鼻叫喚の地獄絵図が展開され、挙げ句に家具の裏などへ逃げ込まれたりする。

そうなると、生きているのか死んでいるのかもわからず、死んでいたとしてもその死骸を除去するのが容易ではなくなる。スプレータイプの殺虫剤だと噴霧時に自分もちょっと吸い込んでしまうのも気味が悪い。

 しかし、台所洗剤の場合、直撃させられれば、ゴキブリも足を取られるのか、すぐに動きが止まって無力化できる。床や壁に洗剤がべっちゃりつくが、洗剤なので拭き取るのは気楽だ。

 台所洗剤をゴキブリ撃退に利用している人は意外に多いようで、ネット通販アマゾンで販売されている花王のスプレー型台所洗剤『キュキュット クリア泡スプレー』のカスタマーレビュー欄には、「対昆虫決戦兵器」と題されたレビューが載っていて、ネットで話題になっている。

〈本来の使い方とは違いますが、これ、驚くほど虫に対する戦闘力が高いです〉という書き出しで、対G決戦兵器としていかに優秀かが雄弁に述べられている。

『キュキュット クリア泡スプレー』は結構な遠距離まで泡状の洗剤を飛ばすことができ、撃っている途中で方向を変えることも可能で、ほぼ確実に仕留めることができるとか。〈私はこのスプレーを使いコバエを6、ゴキブリを1、蜘蛛を1仕留めました〉と戦果が報告されている。

◆台所洗剤でゴキブリが死ぬ理由を識者に聞く

 ところで、台所洗剤をかけると、なぜゴキブリは死ぬのか。昆虫の研究をしている京都府立大学大学院生命環境科学研究科の中尾史郎教授はこう説明する。

「昆虫は胸や腹の節にある気門という小さな穴から空気を吸っていて、体表面の板状の張り出しや毛で気門に水が入るのを防いでいます。実は台所洗剤だけでなく、片栗粉や小麦粉をお湯に溶かしたドロドロの液体をかけてもゴキブリは死にます。おそらく、粘性のある洗剤も同様に、気門を封鎖して窒息死させていると考えられます。

洗剤に含まれる界面活性剤には水のように体表面にはじかれず、体表面を溶かすことや、体表面の毛を寝かしつけることで気門を塞ぐという効果があるのかもしれません」

 意外に難しい問題のようだが、台所洗剤がゴキブリを窒息死させるというのは事実のようだ。

 殺虫剤による駆除はゴキブリにとっての“毒”で殺す方式だが、なかにはその毒に耐性をもつゴキブリがいる。耐性のないゴキブリは殺虫剤で死に、耐性のあるゴキブリは生き残って子孫を残し、生き残りやすい性質が継承される。

こうして毒成分に抵抗性のあるゴキブリが増えていく。つまり、ゴキブリが中途半端な量の殺虫剤を噴霧され、生き残った個体だけが子孫を残すことになり、これが問題なのだ。

 しかし、窒息死させるのであれば、耐性はできないのではないか。

「研究者は個々の『耐性』ではなく、子孫に遺伝する『抵抗性』に注目します。低酸素状態やガス交換が低減した状態での生命活動維持についての抵抗性は獲得しにくいと思います。酸素の吸入を止められて窒息しないヒトはいるのか、と考えればわかると思います」(中尾教授)

 窒息に耐えられるゴキブリは存在しないし、仮に訓練して息を長く止められるようになっても、その能力は子孫に継承されないことになる。

 とすれば、殺虫剤で死なないゴキブリに対しては台所洗剤が効くし、将来的に効かなくなることもないわけで、これは新しい殺虫剤のアイデアになるのではないか。

◆殺虫剤メーカーの見解は?

 そういう殺虫剤ができないか、殺虫剤メーカーのアース製薬に提案してみた。

「そもそも、殺虫剤に抵抗性をもつゴキブリが激増しているという話が、少々、大袈裟に言いすぎているように思います。ほんのわずかずつですが、抵抗性をもつゴキブリが増えているのは事実ですが、そのように早いペースで増えるのであれば、すでにそういうゴキブリばかりになっているはずです」(同社マーケティング総合企画本部・渡辺優一氏)

 言われてみれば確かにそうだ。殺虫剤なんて日本中で何十年も前から使われているのだから、すでにあらゆる殺虫剤が効かなくなっていても不思議ではない。

「弊社の製品では、スプレータイプも抵抗性をもたせないよう薬剤をミックスして使っていますし、ホウ酸ダンゴのように餌を食べさせて殺すタイプもあり、これは薬剤抵抗性ゴキブリにも効きます。冷却して動きを止めて天然ハッカ油で殺すスプレータイプもあります。『ごきぶりホイホイ』は餌で誘って捕まえるだけで、薬剤は使っていません」(渡辺氏)

 薬剤を噴霧するより、毒餌を食べさせるほうが殺虫効果は高く、抵抗性も獲得しにくいという。

 ただ、毒餌で巣の中のゴキブリを全滅させるのが大事だというのはよくわかるが、突如として出現したときの迎撃に毒餌や『ごきぶりホイホイ』は無力である。また、夏の夜に外を歩いていると、たまにゴキちゃんが“お散歩”しているのを見かけるが、家の中に巣がなくても、あの子たちはよそからやってくるのだ。冷却するタイプも、がっつり浴びせないと動きを止めない──なので、やっぱり台所洗剤が有効なのではないか。

「実はそういう趣旨の取材を何度も受けているのですが、回答は同じで、ゴキブリを溺れさせるくらいかけないと死なないので、床や壁が洗剤でべちゃべちゃになって掃除が大変ですよね。

 この話をしてもなかなか信じてもらえないのですが、殺虫剤の薬剤は人間が吸引して体に入っても分解される成分でできているので、仮に少々吸い込んだとしても健康被害は起きません」(渡辺氏)

 市販の殺虫剤はゴキブリには有害でも人間には無害だという。

 しかし、それでも、である。筆者は別にゴキブリを殺したいわけではなく、やつらが好き放題に走り回ったり飛んだりするのを止めたいだけなのである。結果的に殺すことになるけども、たとえ床が洗剤まみれになろうとも、やつらの動きを止めたい。願いはそれだけだ。

 前述したアマゾンレビューには、追記で、コバエを撃ち落とすには消臭スプレーの『リセッシュ』が便利で、〈ほぼ100%に近い確実性で羽を封じ、床に落とすことができます〉とある。実はこれも筆者は発見済みで、我が家は『ファブリーズ』派なので使用したのは『ファブリーズ』だが、噴霧しただけで面白いくらい簡単にハエを撃ち落とせる。

除菌成分で殺しているわけではなく、羽根が濡れて飛べなくなるようなのだ。殺傷能力はないので、しばらくして羽根が乾くとまたハエちゃんはフフーンと飛び始めるのだが、いったん撃ち落としてしまえば、殺すのも外に放り出すも自由である。

 しかし、『キュキュット』も『リセッシュ』も花王の製品である。もし花王が台所洗剤ベースの殺虫剤を発売したら、少なくとも筆者は買うし、あと「本当に出した」って爆笑すると思う。

●取材・文/清水典之(フリーライター)
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