あなたの健康はお金で買えますか・・・? 最新研究で判明!アルツハイマー型認知症で脳内細胞を殺す実行犯「タウ」とは【医師解説】
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最新研究で判明!アルツハイマー型認知症で脳内細胞を殺す実行犯「タウ」とは【医師解説】

 8年後には830万人が罹患者と予想れている認知症。認知症は病気ではなく、脳の働きが低下している状態のことを指すという。なぜ人間は認知症を発症させてしまうのか。一番罹患者の多いアルツハイマー型認知症の脳のメカニズムについて専門家に詳しく説明いただいた。最新の研究で新たな事実も判明したという、早速話を聞いてみよう。

認知症大国日本 

 2030年時点で830万人、2050年には1000万人超えの見込み――。

 これは、内閣府が試算した未来の認知症患者の数。現在、推定600万人とされる罹患者は、今後右肩上がりで増加していくことが予想される。これまで約3万人の認知症患者を診療してきた認知症専門医でおくむらメモリークリニック理事長の奥村歩さんは、日本はすでに認知症大国だと指摘する。 

■認知症患者の数は右肩上がり

2050年には65才以上の認知症患者数が1000万人を超える見通し。(2017年発表の厚生労働省資料より)© 介護ポストセブン 提供 2050年には65才以上の認知症患者数が1000万人を超える見通し。(2017年発表の厚生労働省資料より)

「認知症は年を重ねるほど発症リスクが高くなり、65才以上の5人に1人、80才になると4人に1人、90才になればほぼ全員が罹患しています。要するに、平均寿命が突出して高い国は、それだけ認知症患者の数も増えるといえる。

 加えて、日本人は真面目でストレスをため込みやすい性格の人が多く、慢性的に“脳疲労”の状態になっている。つまりわれわれは、脳を衰えさせやすいという宿命を背負って生きているということ。特に罹患リスクが上がる65才からは脳を衰退させない行動を心がけ、この宿命に打ち克つ努力をしなければなりません」(奥村さん) 

◆認知症研究者さえも認知症に…

 「鉄の女」と呼ばれ英首相として辣腕を振るったマーガレット・サッチャーも、俳優からアメリカ大統領に転身し、絶大な支持を得たロナルド・レーガンも、認知症研究の第一人者だった精神科医の長谷川和夫さんさえも、その魔の手から逃れることはできなかった。脳を蝕み、大切な記憶や言語、日常生活を営む能力を徐々に奪っていくこの恐ろしい病気を遠ざける方法を、最新研究と統計をもとに探った。

認知症一番多いのは「アルツハイマー型」

 そもそも私たちの脳はどんなメカニズムで認知症を発症し、壊されていくのか。奥村さんが解説する。 

「認知症とは、実は病名ではなく、なんらかの理由で脳の働きが低下して症状が出る“状態”のことを指します。原因は100種類以上あるとされていますが、その中でも特に罹患者が多いのは、『アミロイドβ』と呼ばれる物質が脳内にたまって発症する『アルツハイマー型』、『レビー小体』という構造物が蓄積されることで起きる『レビー小体型』、複数のたんぱく質の蓄積がトリガーとなる『前頭側頭型』、血管の詰まりなどによって発症する『脳血管性』の4タイプです」(奥村さん) 

 4タイプのうちで最も発症する人数が多いのがアルツハイマー型認知症だ。

■アルツハイマー型認知症はこうして発症する

 罹患者の4割以上を占めるアルツハイマー型認知症が発症するメカニズム。アミロイドβが引き金を引き、タウが実行犯になる。

アルツハイマー型認知症はこうして発症する© 介護ポストセブン 提供 アルツハイマー型認知症はこうして発症する

『アミロイドβ』を“壊す機能”が衰えてしまうのが原因

 東京大学薬学部教授で認知症治療の研究に携わる富田泰輔さんが言う。 

「罹患者の4割以上を占めるアルツハイマー型認知症は、加齢とともに発症リスクが上昇します。これは原因物質の『アミロイドβ』を除去する機能が衰えることが理由です。アミロイドβそのものは年齢にかかわらず、生まれたばかりの子供でも生成されますが、一方で、常に“壊す機能”が体内に備わっているため、バランスが取れている。ところが年を重ねるとその役目を果たせなくなり、原因物質を脳にため込んでしまうのです」 

最新の研究で分かった『タウ』も原因のひとつ

 また、最新の研究によってアミロイドβ以外の脳内物質も認知症に大きくかかわっていることが明らかになった。富田さんが続ける。 

「『タウ』と呼ばれるたんぱく質の一種は、20代のうちから中枢神経細胞に少しずつたまり始め、加齢とともに脳全体に広がり始めます。タウそのものに毒性はありませんが、アミロイドβがたまってくると脳神経細胞に作用し、死滅させてしまう。アミロイドβは“引き金”で、細胞を殺す“実行犯”はタウであることが明らかになりつつあります」 

 奥村さんもアミロイドβが認知症のトリガーとなると声を揃える。

『アミロイドβ』が蓄積しても認知症が発症しない人も 

「アミロイドβは脳内に蓄積される過程で『老人斑』と呼ばれる大きな塊になり、神経細胞の減少や機能低下が促進されます。

 しかし一方で蓄積されたとしても発症しない人もいる。20世紀末のアメリカで678人の修道女を対象に行われた『ナン・スタディー』と呼ばれる研究によって、そのことが明らかになりました。日常の認知機能や生活状況を調査し、亡くなった後に脳を解剖して状態を確認した結果、脳内にアミロイドβが蓄積している女性の3分の1が健康なまま生涯を終えていたのです。その中には、重度の認知症患者と同量のアミロイドβがたまっていた例すらありました」(奥村さん・以下同) 

 研究者たちはこの結果を受けて、アミロイドβがたまっても認知症にならない人は「認知症を防御する抵抗力が強かった」と捉え、その抵抗力を「認知予備力」と名付けた。 

「つまり、アミロイドβの蓄積をいかに防ぐか、そしてたとえたまってしまったとしてもそれに対抗できる認知予備力をつけられるか否かが、“認知症の壁”を超えられるかどうかを左右するのです」

早期発見のための5つのチェックポイント

□ 家族旅行や孫の結婚式など少し前の印象的な出来事を忘れる

□ 同じことを繰り返し聞く

□ 鍵や携帯電話などをたびたびなくす

□ 料理がうまくできなくなる

□ 連続ドラマを見なくなる

(※)奥村歩さん(おくむらメモリークリニック理事長、『「朝ドラ」を観なくなった人は、なぜ認知症になりやすいのか』著者)が考案。

教えてくれた人

奥村歩さん/おくむらメモリークリニック理事長、富田泰輔さん/東京大学薬学部教授

取材・文/土屋秀太郎 取材/小山内麗香、伏見友里、三好洋輝

※女性セブン2022年6月9日号

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