大学生の国民年金保険料は親に支払ってもらうのがお得! どれくらいの節税効果がある?
20歳になると、大学生でも納付しなければならない国民年金保険料
大学生であっても、20歳になれば国民年金の保険料を納付しなければなりません。
2022年度の国民年金の保険料は、1ヶ月1万6590円、12ヶ月だと20万円ほどになります。一括払いや前払いをすれば納付額が割り引かれますが、それでも大学生が自分で払うには大きな額です。
大学生の年金保険料を親が払うと所得控除が受けられる
もしも仕送りをしてもらっている大学生が、自分で国民年金保険料を納めているなら、仕送り分の中から国民年金保険料を親に直接納付してもらうことで、親の所得税を減額することができます。
親が子である大学生の年金保険料を支払った場合、「社会保険料控除」という所得控除を受けられます。所得控除とは、課税対象となる所得から年金保険や健康保険、生命保険などで支出した金額を差し引くことです。
これにより課税所得金額が減少するので、最終的に所得税が安くなるのです。この恩恵を受けるためには、「大学生が親と生計を一にしている」という条件を満たすことが必要です。
「生計を一にしている」とは、通学のために別居していても、休みのたびに親元へ帰っていたり、親から生活費や学費の仕送りを受け取っていたりする場合も該当します。
節税効果はどのくらい?
1ヶ月で1万6590円(2022年度)の年金保険料を月々払いにすると、1年で19万9080円です。仮にこの金額を親が納付した場合、どれくらいの節税効果があるのか試算してみましょう。
親の所得は2019年の厚生労働省の調査で算出された、平均所得金額「552万3000円」とします。所得税の速算表から、所得税の計算式は以下のようになります。
<課税所得金額が330万円から694万9000円の場合>
・所得税額 = 課税所得金額 ×20% - 42万7500
2019年の平均所得金額で所得税額を計算すると
・552万3000 × 20% - 42万7500 = 67万7100
所得税額は「67万7100円」となります。
次に、大学生の分の国民年金保険料を親が支払った場合の所得税額を計算します。
まず、親の所得から大学生の年金保険料の支払い分を社会保険料控除として差し引くと、
・552万3000 - 19万9080 = 532万3920 ≒ 532万3000(千円未満切り捨て)
532万3000円が課税所得となります。続いて所得税額を計算すると、
・532万3000 × 20% - 42万7500 = 63万7100
所得税額は「63万7100円」となり、納税額が4万円減りました。
同じ額の年金保険料を納付する場合でも、所得のある親が納付した方が所得税の節税になります。
仕送りをしてもらっている大学生は、自分で年金保険料を納付するより親に直接納付してもらおう
「自分の将来は自分で」と思いながら、年金保険料を納付している大学生もいるでしょう。
しかし、この記事で試算したように、所得税を納めている親から年金保険料を納付してもらう方が、親の所得税負担を軽くすることができます。
仕送りをしてもらいながら自分で年金保険料を納めている大学生は、仕送りしてもらう代わりに、親に年金保険料を納付してもらうことも検討してみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 国民年金保険料
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1130 社会保険料控除
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.1180 扶養控除
厚生労働省 2019年国民生活基礎調査の概況2.各種世帯の所得等の状況
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2260 所得税の税率
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部