あなたの健康はお金で買えますか・・・? 〈たこつぼ型心筋症〉突然の胸痛を引き起こし「狭心症」「心筋梗塞」の症状に似た病気。原因はストレス? 1:9で女性に多く発症
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〈たこつぼ型心筋症〉突然の胸痛を引き起こし「狭心症」「心筋梗塞」の症状に似た病気。原因はストレス? 1:9で女性に多く発症

いつもと違う、どこか調子がよくない…と思っても、かかりつけ医のいない人はなかなか気軽に聞けないもの。小さな不調に大きな病気が隠れていることもあるので、油断は禁物です。また、人になかなか打ち明けられない悩みも、日々医療は進歩し、治療法が開発されていることも。大切な自身や家族の健康は、ぜひ医師に相談してみてください。女性に多い病気を中心に、症状、原因、治療、予防の4つの観点でご紹介します。第6回は、「たこつぼ型心筋症」です。

(取材・文/松井宏夫〈医学ジャーナリスト〉 撮影=本社写真部)

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目次

● 症状 胸が痛み、呼吸困難に

● 原因 原因は不明。ストレスが関係か

● 治療 安静にすることが一番の治療

● 予防 ストレスをうまく発散して

〈症状〉胸が痛み、呼吸困難に

2016年に起きた熊本地震の被災地で、「エコノミークラス症候群」に加えて危険性が指摘されたのが「たこつぼ型心筋症」。心疾患の一つです。突然「胸痛」に襲われ、「呼吸困難」も伴うもの。「狭心症」「心筋梗塞」の症状にとてもよく似ています。

なかには、つらいからと身体を横にすると逆に息切れが起こり、座った状態でいると比較的息苦しさが緩和される「起坐(きざ)呼吸」の症状が起きる人も。心臓の冠状動脈が狭くなったり、詰まったりして突然の胸痛に見舞われる狭心症・心筋梗塞同様、たこつぼ型心筋症も一刻を争う疾患なので、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

心臓と左心室を単純化した図。通常は、左心室全体が収縮して血液を送り出すが、右の図のように左心室の入り口だけが収縮して「たこつぼ」のような形になっている。そのため、十分な量の血液を送り出すことができず、左心室に残った血液が澱んでしまうことも© 婦人公論.jp 心臓と左心室を単純化した図。通常は、左心室全体が収縮して血液を送り出すが、右の図のように左心室の入り口だけが収縮して「たこつぼ」のような形になっている。そのため、十分な量の血液を送り出すことができず、左心室に残った血液が澱んでしまうことも

〈原因〉原因は不明。ストレスが関係か

突然の胸痛を引き起こすたこつぼ型心筋症。心臓は、左心室が規則正しく伸縮を繰り返すことで、全身に血液を送っています。ところが、たこつぼ型心筋症になると、左心室の先端部(心尖部)の収縮力が弱くなり、左心室の根元の部分(心基部)だけが収縮するので、全身へ十分な血液を送り出せなくなります。あたかも首を絞められたかのような左心室の形が、たこ漁のときに使われる「たこつぼ」に似ていることから「たこつぼ型心筋症」と命名されました。

左心室がたこつぼの形になる原因はまだ明らかになっていませんが、震災後に多く発生したことから、精神的ストレスが関係する、と考えられています。

人間は危険を感じると、身体を守るためにカテコラミンというホルモンを分泌します。別名《闘争ホルモン》と呼ばれるカテコラミンには、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質がありますが、身体の運動機能を最大限に高め、戦闘態勢時に最大の力が発揮できるようにするのです。しかし、あまりに大きなストレスを受けると、人間が持っている闘争反応が暴走し、身体にさまざまな負担をかけ、病気を発症させます。たこつぼ型心筋症はその一つ。大きなストレスが原因なので、家族を突然に亡くした時などにも起きますが、患者が特に多く発生するのは震災後です。

〈治療〉安静にすることが一番の治療

病院にたどり着く前に亡くなった方の場合は、死因を特定することができませんが、一般的に心筋梗塞と診断された人の1%程度がたこつぼ型心筋症といわれています。重症のケースでは、突然死することもある病気です。

まずは狭心症や心筋梗塞との鑑別を最優先に行います。心電図や血液検査では、心筋梗塞とほぼ同じ症状。しかし、心臓超音波(エコー)検査をすると、左心室の先端部が広範囲に収縮低下していることがわかります。「ほぼ心筋梗塞だろう」と思っていても、その収縮低下の原因を調べるために「冠動脈造影検査」を行って確定しなければなりません。

冠動脈造影検査は、肘や手首などの動脈から特殊な細い管(カテーテル)を冠動脈の入り口まで挿入。そして、カテーテルの先端から造影剤を注入してX線撮影すると、冠動脈は正常ですが、その後に行う左心室造影では、収縮期(心臓が縮んでいるとき)に左心室がたこつぼ型になっているのがはっきりとわかります。また、拡張期(心臓が広がっているとき)はむしろ過度に丸くなっていて、画像でここまで明確に診断がつく病気も珍しいといえます。

たこつぼ型心筋症と確定診断がついたら、心臓の動きを悪化させている負担を取り除くのが最も大事。それには入院して安静にすることです。1~4週間程度安静入院するだけで、この病気は自然に改善することが多いのです。もちろん、患者さんの状態を診ながら対症療法も行います。心不全状態の治療、加えて低血圧状態であれば、血圧を上げる昇圧薬を投与し、冠動脈に動脈硬化がある場合は血液を固まりにくくするアスピリンを投与。これに加えて、心理療法士がカウンセリングで患者さんの心のケアを行うケースもあります。

〈予防〉ストレスをうまく発散して

たこつぼ型心筋症は1990年に日本で初めて発見され、発見者の佐藤光医師が命名。2008年にはアメリカの研究で、発症年齢は50歳以上が90%を占め、平均年齢は68歳、男女比は1:9で圧倒的に女性に多いことがわかりました。この傾向は日本でも同じです。

発症の原因は過度のストレスなので、ストレスを上手に発散することが基本です。ところが、これは性格を変えることになるのでなかなか難しい。ですから、予防ではなく、ストレスが心臓に悪影響を及ぼすことがあること、災害直後の病気にたこつぼ型心筋症が起こる可能性があることをしっかり認識し、対応すべきでしょう。

日本は地震大国。どこに住んでいても地震災害に遭わないとはいえません。災害後に胸痛や呼吸困難に襲われたときは、放置せず、何をおいても速やかに病院で受診しましょう。

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