咳で急にむせるときの原因はコロナ?対処法は?受診は何科?
咳で急にむせるとき、「もしかしたらコロナに感染したかも?」と心配になるかもしれません。確かに咳は、新型コロナウイルス感染症の症状のひとつではありますが、ほかにも、咳で急にむせる原因はあります。咳で急にむせる原因はなにか、また、急にむせて咳が止まらないときにはどうすればいいか、その対処法について解説します。
咳で急にむせるときに考えられる原因
寝ているときや誰かと会話しているとき、咳で急にむせて焦ったことはありませんか。「もしかしてコロナ?」と疑われていないか、気になったことがある人もいるでしょう。
咳で急にむせるときに考えられる原因について解説します。
寝ている時に悪化する…気道過敏性
寝ているとき、急にむせる咳で起きてしまうことがあるなら、気道過敏性かもしれません。
気道過敏性とは、気道が普通の人よりも刺激に敏感な状態です。寝室の冷気、エアコンの風、臭いなど何らかの刺激が気道に炎症を起こし、それに伴って急にむせるように咳が出ます。
ひどくなると気道が狭くなって呼吸困難が起きることも。急にむせて夜中に起きることが増えると、寝不足になってしまう人もいます。
会話中や食後にむせる…逆流性食道炎
会話をしている最中や食後に急にむせる場合は、逆流性食道炎が疑われます。
逆流性食道炎とは、胃酸や食べたものが食道に逆流し、食道に炎症を起こす病気です。逆流性食道炎は消化器の疾患ですが、中には胃腸症状がなく咳だけが続くケースもあり、喘息と間違われることもあります。
季節の変わり目に起こる…季節性喉頭アレルギー
季節性咽頭アレルギーとは、主に花粉症によって起こる症状です。花粉症といえば、鼻水や鼻詰まり、目のかゆみなどが代表的な症状ですが、咳が出ることもあります。
スギやヒノキなど、原因となる花粉が飛んでいる間は、小さな咳が何度も続いたり、急にむせるように咳が出たり、慢性的に咳症状が現れます。
痰がのどにからむ…副鼻腔炎・後鼻漏
痰が喉に絡む場合は、副鼻腔炎(ふくびくうえん)や後鼻漏(こうびろう)かもしれません。
副鼻腔炎は、ウイルスや細菌、アレルギーなどが原因で副鼻腔の粘膜に炎症が起きた状態です。急性と慢性があり、慢性のものは蓄膿症(ちくのうしょう)とも呼ばれます。副鼻腔炎になると、ドロドロとした鼻水が出ることがありますが、その鼻水が喉の方に流れることがあります。この状態が、後鼻漏です。
後鼻漏になると、異物である鼻水を外に出そうと咳が出ます。また、粘り気のある鼻水によって喉や気管支に炎症が起こるため、咳が出やすくなります。気管支炎や肺炎の原因となる場合もあるので、注意が必要です。
急な咳はコロナの可能性もある?
急にむせるように咳が出ると、新型コロナウイルスに感染したかもしれないと心配になるでしょう。
確かに咳は、新型コロナウイルス感染症の所見の1つではありますが、症状はこれだけではありません。ですから、急に咳が出るようになったからといって、一概にコロナに感染したと決めつけることはできません。
疑わしい症状がある場合は、近くの医療機関を受診し、PCR検査や抗原検査を受けましょう。
ストレスが咳の原因になることもある?
風邪でもないのに、「コンコン」と軽く乾いたような咳が続いているのは、ストレスが原因かもしれません。ストレスや悩みなど、心理的な葛藤が原因で起こる咳症状を、心因性咳嗽(しんいんせいがいそう)といいます。
緊張したときやストレスを感じたときに咳が出やすくなることが特徴で、就寝中やなにかに集中しているときには、症状は現れません。また、喘息のように呼吸が苦しいということもありません。
治療は、薬物療法に加え、心のケアやストレスを緩和するための生活指導などが行われます。
急にむせて咳が止まらない…止め方・対処法は
急にむせるような咳が続く場合、どのようにして止めたらいいのでしょうか。急な咳症状を止めるための方法や予防法について解説します。
横向きに寝る
寝転がると、心身をリラックスさせる副交感神経が優位になり、気道が狭くなります。仰向けやうつ伏せで寝るとさらに気道が圧迫されるため、咳が出やすくなります。
横向きに寝るほうが気道を確保しやすいため、急な咳を予防することができます。
濡れマスクをつける
濡れマスクをつけると、乾燥した空気など、喉に刺激となるものを吸い込みにくくなります。また、粘膜を潤してくれるので、咳が出づらくなります。特に、気道過敏性や季節性喉頭アレルギーの人に効果的です。
濡れマスクは、マスクを水につけて軽く絞るだけで、簡単に作ることができます。市販品にも就寝用の濡れマスクがあります。
暖かい飲み物を飲む
あたたかい飲み物は血行を良くして喉を温めます。
喉をあたためると気管が広がって咳が治まりやすくなり、痰が絡んでいる場合は出しやすくなります。
抗炎症、抗菌、抗酸化作用のあるはちみつや、血行促進作用のある生姜などを入れたホットドリンクがおすすめです。
市販薬や漢方薬を試してみる
どうしても咳が止まらないときは、市販薬を使ってみるといいでしょう。咳止めの内服薬は、ドラッグストアで簡単に手に入ります。ただし、症状や体質に合うものでなければ悪化させてしまうことがあるので、購入の際は薬剤師の方に相談することをおすすめします。
漢方の服用も効果的です。乾いた咳には、喉の粘膜を潤す「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」、激しい咳が出る場合は、炎症を鎮める効果のある「五虎湯(ごことう)」など、市販薬同様、症状に合わせて選びましょう。
根本から治すには受診を
さまざまな対処法を試してみても急にむせるような咳が治まらない場合は、根本的な治療が必要です。専門医に診てもらいましょう。
急にむせる咳…何科を受診すべき?
急にむせる咳で受診するとき、どこを訪れるべきなのでしょうか。
実は、急にむせる咳の症状によって、受診科が違います。
どのような症状で、どの科を訪れればいいのか、症状ごとにおすすめの受診科をご紹介します。
呼吸器科がおすすめのケース
急にむせる咳が頻繁に出る、乾いた咳が慢性的に出るなど、咳が主な症状であれば、呼吸器科がおすすめです。
ほかに、息を吸うと苦しい感じがする、呼吸のたびにヒューヒューと音がするなど、咳以外に、呼吸や肺などに違和感がある場合にも、呼吸器科がいいでしょう。
内科がおすすめのケース
咳だけでなく、発熱や頭痛など、全身症状がある場合には、内科がおすすめ。子供の場合は、小児科にかかりましょう。
咳以外に、発熱、腹痛、咽頭痛、関節痛などの症状がある場合は、風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などが疑われます。早期の治療が必要なこともあるので、すぐに受診しましょう。
耳鼻科がおすすめのケース
ひどい鼻詰まりや喉の痛みなど、鼻や喉の症状が強い場合は、耳鼻科(耳鼻咽喉科)がおすすめです。
内科でも診てもらうことはできますが、後鼻漏などで鼻汁が喉に流れて咳が出ている場合には、耳鼻科の方がいいでしょう。
まとめ
喉に異物を感じると咳が出るのは、人間の生理的な現象です。ですから、すぐに治るとか、対処法を試すと改善するなら、ほとんどの場合で心配ありません。
しかし、咳が長期間続いていたり、発熱、ひどい鼻詰まりなど咳以外にもつらい症状があったりするなら、治療が必要です。
頻繁に咳が出ると、QOL(生活の質)が下がってしまいます。ひどくなる前に早めに受診し、根本的に治しましょう。