今世紀末「平均寿命は150歳」になる?そのカギを握る物質とは
2015年の世界保健統計によると、長寿国世界一は日本で平均寿命は84歳。一方、世界全体の寿命の平均値は71歳でした。
平均寿命はどんどん高くなり、70代、80代でも元気なお年寄りが多い今日ですが、さらにある物質を摂取することで平均寿命が100歳以上になる日も夢ではなく、同時に成人病も防げるそうです。
その物質とは? そしてもし平均寿命150歳が可能なら、どんな世の中になるのでしょうか?
■平均寿命が伸びる化学物質とは何か
ハーヴァード・メディカルスクールの遺伝子学教授であり、分子生物学者であるデイヴィッド・シンクレア氏は、人間の寿命を伸ばす薬の開発を目的に研究を続けてきました。
シンクレア氏はレスベラトロールという、ぶどうやカカオに含まれている化学物質に着目しています。レスベラトロールは、SIRT1という動物の寿命を調節するたんぱく質を活性化する働きがあるのです。
シンクレア氏は研究を推し進め、老化に関連する病気に効きそうな他の分子についても調査しています。
シンクレア氏が老化に興味を持ち始めたのは、分子生物学の博士課程に在籍していたときのこと。当時シンクレア氏の母は肺がんに罹りましたが、その後20年も生きました。
そのとき、「なぜ健康な人と不健康な人がいるのか」「なぜ60~70歳までしか生きられない人もいれば、110歳まで生きられる人もいるのか?」と考えたことが老化への関心のはじまりでした。
シンクレア氏はアメリカ食品医薬品局(FDA)に、「老化は体の機能低下だから、治療する意味があることを認めてもらいたい」のだといいます。老化は人間の宿命であり、受け入れなければいけない現象だと人々は考えています。
しかし過去300年以上にわたって人間は病気と闘ってきたのですから、老化も防げると考えてよいはずです。
シンクレア氏は老化を防ぐとともに、中年以降に見られる心臓病、糖尿病、アルツハイマー病、がんを防ぎたいと考えており、最終的には人口の50%以上がそれらの病気を防げるようにしたいと考えています。
■薬だけではなく運動や食生活も大事!
マウスを使った実験では、健康な食生活でレスベラトロールを摂取したマウスの健康状態は非常によいという結果が出ています。
マウスが肥満であまり動かない場合にもレスベラトロールは効きますが、粗食でレスベラトロールを与えられたマウスは明らかに長生きしたのです。つまり、レスベラトロールを摂取しても運動や食生活に気をつけなければいけないということ。
レスベラトールが多く含まれている飲みものである赤ワインをグラス1杯飲んでも、ほんの数ミリグラムしか摂取できません。ちなみに薬での必要摂取量は数百ミリグラム。食べもので十分に摂ることはできないのです。
レスベラトロールによる治療は、健康に生きられる時間を伸ばし、寿命末期の苦しみを減らすことが目標です。老化や病気を完全になくすわけではないのです。最後は多くの人が、心臓病などの成人病で亡くなるでしょう。
また、2050年以降に生まれた子どもたちは、80歳を超えても健康に過ごすことができ、100歳まで生きられることになります。そして今世紀末には、人々は150歳まで生きられるようになるそうです。
30歳のときに薬を飲みはじめて老化と病気を予防すれば、薬と再生医療のおかげで、寿命が伸びる可能性は高くなります。
■寿命を伸ばす薬が認可される日は?
薬で老化を防ぎ寿命を伸ばせるかどうかの研究は、始まったばかりです。少なくとも他にあと3つほど老化に関係する分子があるといわれています。老化が病気と見なされ、治験ができるどうかについて、FDAとの議論が続けられています。
最近は60歳、70歳の高齢者にも、まだ元気で仕事をしている人が増えてきました。老人とは呼べないほど若々しい人ばかりであることを考えれば、寿命は自然と伸びていく気もします。
ただ長生きできるようになったぶん、生活が苦しくなるお年寄りも増え、年老いた子どもが100歳近い親の介護をしなければならないなどの問題が起きています。寿命を延ばすと同時に、社会の側も変わっていかなくてはならないのかもしれません。
平均寿命はどんどん高くなり、70代、80代でも元気なお年寄りが多い今日ですが、さらにある物質を摂取することで平均寿命が100歳以上になる日も夢ではなく、同時に成人病も防げるそうです。
その物質とは? そしてもし平均寿命150歳が可能なら、どんな世の中になるのでしょうか?
■平均寿命が伸びる化学物質とは何か
ハーヴァード・メディカルスクールの遺伝子学教授であり、分子生物学者であるデイヴィッド・シンクレア氏は、人間の寿命を伸ばす薬の開発を目的に研究を続けてきました。
シンクレア氏はレスベラトロールという、ぶどうやカカオに含まれている化学物質に着目しています。レスベラトロールは、SIRT1という動物の寿命を調節するたんぱく質を活性化する働きがあるのです。
シンクレア氏は研究を推し進め、老化に関連する病気に効きそうな他の分子についても調査しています。
シンクレア氏が老化に興味を持ち始めたのは、分子生物学の博士課程に在籍していたときのこと。当時シンクレア氏の母は肺がんに罹りましたが、その後20年も生きました。
そのとき、「なぜ健康な人と不健康な人がいるのか」「なぜ60~70歳までしか生きられない人もいれば、110歳まで生きられる人もいるのか?」と考えたことが老化への関心のはじまりでした。
シンクレア氏はアメリカ食品医薬品局(FDA)に、「老化は体の機能低下だから、治療する意味があることを認めてもらいたい」のだといいます。老化は人間の宿命であり、受け入れなければいけない現象だと人々は考えています。
しかし過去300年以上にわたって人間は病気と闘ってきたのですから、老化も防げると考えてよいはずです。
シンクレア氏は老化を防ぐとともに、中年以降に見られる心臓病、糖尿病、アルツハイマー病、がんを防ぎたいと考えており、最終的には人口の50%以上がそれらの病気を防げるようにしたいと考えています。
■薬だけではなく運動や食生活も大事!
マウスを使った実験では、健康な食生活でレスベラトロールを摂取したマウスの健康状態は非常によいという結果が出ています。
マウスが肥満であまり動かない場合にもレスベラトロールは効きますが、粗食でレスベラトロールを与えられたマウスは明らかに長生きしたのです。つまり、レスベラトロールを摂取しても運動や食生活に気をつけなければいけないということ。
レスベラトールが多く含まれている飲みものである赤ワインをグラス1杯飲んでも、ほんの数ミリグラムしか摂取できません。ちなみに薬での必要摂取量は数百ミリグラム。食べもので十分に摂ることはできないのです。
レスベラトロールによる治療は、健康に生きられる時間を伸ばし、寿命末期の苦しみを減らすことが目標です。老化や病気を完全になくすわけではないのです。最後は多くの人が、心臓病などの成人病で亡くなるでしょう。
また、2050年以降に生まれた子どもたちは、80歳を超えても健康に過ごすことができ、100歳まで生きられることになります。そして今世紀末には、人々は150歳まで生きられるようになるそうです。
30歳のときに薬を飲みはじめて老化と病気を予防すれば、薬と再生医療のおかげで、寿命が伸びる可能性は高くなります。
■寿命を伸ばす薬が認可される日は?
薬で老化を防ぎ寿命を伸ばせるかどうかの研究は、始まったばかりです。少なくとも他にあと3つほど老化に関係する分子があるといわれています。老化が病気と見なされ、治験ができるどうかについて、FDAとの議論が続けられています。
最近は60歳、70歳の高齢者にも、まだ元気で仕事をしている人が増えてきました。老人とは呼べないほど若々しい人ばかりであることを考えれば、寿命は自然と伸びていく気もします。
ただ長生きできるようになったぶん、生活が苦しくなるお年寄りも増え、年老いた子どもが100歳近い親の介護をしなければならないなどの問題が起きています。寿命を延ばすと同時に、社会の側も変わっていかなくてはならないのかもしれません。