中国が行き過ぎたゼロコロナ緩和 訪日客の増加でなぜか見直される「ニッポンの保存食」
中国のゼロコロナ政策が緩和されました。行き過ぎた規制を見直し、減速した経済を復活させる狙いもあるのでしょう。
先週8日、ロイターの報じたニュースはちょっとした驚きでした。台湾の鴻海精密工業の創業者、郭台銘(テリー・ゴウ)氏が中国指導部に対し、ゼロコロナ政策の緩和を求める書簡を送ったと、経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」が伝えたというのです。
鴻海はアップル社のスマートフォン「iPhone」のサプライヤーとして知られています。中国の河南省鄭州に工場がありますが、コロナの影響で一時的に操業はストップ。この工場では抗議活動なども行われ、日本でもニュースになりました。
習近平国家主席がどう判断したかは分かりようがありませんが、郭台銘氏の送った書簡に感じるものはあったでしょう。何しろ鴻海は「iPhone」生産の3分の1ほどを請け負う有力企業。米中経済対立の渦のなか、習氏にとって鴻海は無視できない存在なはずです。
ゼロコロナを緩和した中国から、いずれ訪日客が大挙してやってくるでしょう。一足早く日本人は動き出したようです。先週6日、JTBが発表した年末年始(23日~1月3日)の旅行動向見通しでは、旅行者数が2115万人とコロナ前(2019年)と比べ、約7割の水準に戻ったといいます。第8波を考えると、感染防止へ慎重になる必要はありますが、経済面からはある程度歓迎すべきことです。
■訪日客の関心は「観光、買い物」から「グルメ」へシフト
訪日客の増加は日本経済復活の起爆剤のひとつ。近ごろは東京の地下鉄内で海外からの観光客を見かける機会は増えています。しかも、訪日客の関心が「観光、買い物」から「グルメ」へシフトしているようです。日本製の菓子類やレトルト食品が想定以上に売れています。
意外かもしれませんが、パックご飯や切り餅は外国人に人気です。サトウ食品は主力の「サトウのごはん」の賞味期限を10カ月から1年に延ばしました。亀田製菓のロングセラー「亀田の柿の種」「ハッピーターン」は海外客の土産品として定番になっています。
日本の食が世界で再認識されているのは間違いありません。特に保存食への注目度が高まっているように感じます。日本は多雨多湿でジメジメとした気候です。古くから足の早い食材(生鮮野菜、魚類、果物)をどう保存するかはテーマだったでしょう。
うまみ成分を閉じ込めたかつお節、干して加工した昆布……。こうした食品が生まれた背景には「素材を飽きさせない」「食欲をそそる」工夫があります。最長20年持つといわれる戦国時代の戦場で食された「干し飯」(一度炊いてから干す)は究極の保存食かもしれません。
パックご飯やカップ麺は、そんな日本の保存食の歴史を受け継ぐ商品といえそうです。
(IMSアセットマネジメント代表・清水秀和)
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