栄養価が高いことでも人気の野菜、ブロッコリー。積極的に食べている人も多いと思いますが、調理した後に茎(芯)や葉はどうしていますか? つぼみ(房)の部分だけを残して捨てているとすれば、何とももったいない話です。実はどちらも食べることができ、茎には栄養もあるのだそう。ブロッコリーを選ぶ時のポイントや保存法、茎の調理法などについて、栄養士の和漢歩実さんにお話を伺いました。
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ブロッコリーの茎と葉 どうやって調理する?
ブロッコリーは、茎や葉も捨てるところなく調理して食べられる野菜。茎は普段食べているつぼみの部分よりも栄養価が高いといわれています。特にビタミンCやβカロテンが多いため、風邪が気になるこれからの季節は積極的に摂取したいところ。また茎にはカリウムや食物繊維などの栄養素も含まれるため、ぜひ捨てずにいただきましょう。
茎を調理するにはまず、水洗い後に茎を立てて五角形か六角形になるよう、皮をそぎ落とすようにむきます。特に下部の根元部分は皮が硬いので、厚めに切り落としましょう。
次に1センチくらいの厚さに切り、房と同様に調理します。その際には房よりも長く加熱してください。また、短冊切りや角切りなど食べやすい大きさに切って、炒め物や汁物の具に使っても良いでしょう。
また、購入したブロッコリーに葉付きの細い茎が付いていたら、太い茎から切り離し食べやすい長さにカットします。葉にはやや苦味がありますが、炒め物や汁物にするとおいしくいただけますよ。
ブロッコリーは86%が水分。細胞を構成する成分であるタンパク質は量が少なく、またビタミンDはまったく含まれていません。副菜ではなく主菜としていただくのなら、タンパク質を主成分とし、なおかつビタミンDを含む魚や卵などと一緒に炒めるとバランスの良い一品になるでしょう。ツナ缶を使うと時短にもなります。
選ぶ際のポイントはつぼみ部分 常温保存はNG
ブロッコリーの房は花のつぼみです。新鮮なものを選ぶポイントは、このつぼみ部分がこんもりとしていて固く締まっていること。そして緑色が濃いものを選びますが、冬場に見かける紫がかったものは寒さに当たって甘みが増している証拠です。
茎はツヤがあって傷や変色がないものを選びます。切り口がみずみずしく、「す」の入っていないものが良いでしょう。
ブロッコリーは、購入してから数日でつぼみ部分が黄色く変色してしまいます。低温を好むので、常温保存は向きません。生のまま袋に入れて、野菜室ではなくチルド室、もしくは冷蔵室で保存しましょう。茹でてから冷蔵保存するとあまり日持ちがしません。
食感は悪くなりますが、冷凍保存をすると比較的持ちます。生を冷凍する場合は、水を張ったボウルの中で洗い、茎は切り落として皮をむきカットします。房部分は小分けに。水分を取り冷凍保存用の密封できる袋に入れて、冷凍庫に入れます。
茹でたものを冷凍する場合は、固めに加熱して冷まします。以下は生と同様に、水分を取り冷凍保存用の密封できる袋に入れて冷凍庫へ。加熱料理に使うなら、解凍せずにそのまま調理します。ブロッコリーは上手に保存して、丸ごといただきましょう。
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。